「レスポンシブディスプレイ広告は、通常のディスプレイ広告と何が違うのか」
「レスポンシブディスプレイ広告を、より効果的に運用するにはどうすればよいのか」
このような疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
本記事では、レスポンシブディスプレイ広告の特長やメリット、入稿規定に加えて、効果を最大化するための具体的な運用ポイントを詳しく説明します。
これから広告運用を始める方はもちろん、すでに運用している方もぜひ、参考にしてください。
目次
レスポンシブディスプレイ広告とは?
レスポンシブディスプレイ広告は、ディスプレイ広告の1種で、画像や動画、テキストなどのクリエイティブを事前に複数登録しておくことで、AIが最適な素材や組み合わせを自動で選択し、配信する広告のことです。
レスポンシブディスプレイ広告の最大の特長は、掲載面に合わせて、広告のサイズやレイアウトが自動で最適化される点にあります。複数のアセット(クリエイティブ)を登録するだけで、掲載面に合った形で自動的に配信されるため、素材ごとに異なるサイズの画像を用意する必要がなく、運用の手間が削減されます。
また、過去の掲載結果を学習したAIの予測に基づいて、最適なクリエイティブの組み合わせで配信されるため、パフォーマンスの向上も期待できます。
バナー広告との違い
バナー広告は、掲載面に画像のみが表示される広告で、横長・正方形・縦長など、それぞれの掲載面の規定に合せた画像を作成する必要があります。
一方、レスポンシブディスプレイ広告は、画像、動画、テキストなどの素材を複数登録すると、AIによって自動的に最適なサイズとレイアウトで広告が生成されます。そのため、同じような画像をサイズ違いで複数枚用意する必要はありません。
▼バナー広告表示例
引用:バナー広告とは?他の広告との違いやメリット、効果的な事例を紹介(LINEヤフー for Business)
フォーマット
レスポンシブディスプレイ広告は、以下の3つの主要なフォーマットで配信されます。
イメージ広告
イメージ広告は、画像を中心としたビジュアル重視の広告フォーマットです。登録されたクリエイティブを使用して、様々なサイズの広告が自動生成されます。横長、縦長、スクエアなど、掲載面に応じて最適な画像サイズが選択されます。
テキスト広告
テキスト広告は、見出しや説明文を中心とした広告フォーマットです。広告主が提供した複数の見出しと説明文の組み合わせから、最も効果的なものが自動的に選択されて配信されます。テキストの長さや配置も、掲載面に合わせて最適化されます。
ネイティブ広告
ネイティブ広告は、掲載メディアのコンテンツに自然に溶け込むように設計された広告フォーマットです。記事型やフィード型など、メディアのデザインに合わせて、広告の見た目が自動的に調整されます。
レスポンシブディスプレイ広告は、これらのフォーマットを状況に応じて使い分けることで、より効果的な広告配信を実現します。また、AIによる最適化により、各掲載面やユーザーに対して最も効果的な広告の組み合わせが自動的に選択されます。
レスポンシブディスプレイ広告のメリット
費用対効果の向上
AIによる最適化機能で、各ユーザや掲載面に最適なクリエイティブの組み合わせが自動的に選択されるため、クリック率やコンバージョン率が高まり、費用対効果の向上が期待できます。
工数の削減
従来のディスプレイ広告では、掲載面のサイズや形式に対応するため、多くのクリエイティブを個別に用意する必要がありました。
しかし、レスポンシブディスプレイ広告では、基本となるクリエイティブ(画像、ロゴ、テキストなど)を登録するだけで、AIが自動的に様々なフォーマットの広告を生成します。これにより、クリエイティブ制作にかかる工数を大幅に削減することができます。
掲載面が増える
レスポンシブディスプレイ広告は、様々なサイズや形式の配信枠に自動的に対応するため、より多くの掲載面へ広告を表示することが可能です。
従来のバナー広告では対応できなかったサイズや形式の広告枠にも、自動的にフィットする広告が生成されるため、これまで広告を表示できていなかったユーザへのリーチ拡大が期待できます。また、ネイティブ広告にも対応しているため、ユーザへより自然な形で広告を表示することができます。
レスポンシブディスプレイ広告のデメリット
クリエイティブのコントロールが難しい
レスポンシブディスプレイ広告では、広告の表示形式やクリエイティブの組み合わせがAIによって自動的に決まるため、意図しないトリミングのされ方や組み合わせで表示される可能性もあります。
特定のテキストと画像の組み合わせを固定したい場合や、ブランドの世界観を厳密に表現したい場合、レスポンシブディスプレイ広告以外の方が向いているでしょう。
パフォーマンス分析が難しい
管理画面から広告のパフォーマンスを確認する際、広告全体での配信実績(「最良」「良好」「低」などの評価)は確認できますが、クリエイティブ単位や、クリエイティブの組み合わせ単位でのパフォーマンスは確認できません。
そのため、クリエイティブごとの分析や改善が難しいというデメリットがあります。
レスポンシブディスプレイ広告の入稿規定
Google広告とYahoo!広告における、レスポンシブディスプレイ広告の入稿規定は次の通りです。
▼画像素材の入稿規定
種類 | Google広告 | Yahoo!広告 |
横向き画像 ※必須 |
推奨サイズ:1200×628 最小サイズ:600×314 最小必要数:1枚 最大登録数:15枚 |
推奨サイズ:2400×1256 最小サイズ:1200×628 最小必要数:1枚 最大登録数:15枚 |
スクエア画像 ※必須 |
推奨サイズ:300×300 最小サイズ:300×300 最小必要数:1枚 最大登録数:15枚 |
推奨サイズ:1200×1200 最小サイズ:300×300 最小必要数:1枚 最大登録数:15枚 |
ロゴ
|
スクエア 推奨サイズ:1200×1200 最小サイズ:128×128 横長 推奨サイズ:1200×300 最小サイズ:512×128 最小必要数:0個(任意) 最大登録数:5個 |
サイズ:180 × 180 最小必要数:0個(任意) |
対応ファイル形式 | JPG PNG GIF |
JPG PNG GIF |
ファイルサイズ上限(1ファイルあたり) | 最大:5120KB | 推奨:300 KB以内 最大:10MB |
▼動画素材の入稿規定
種類 | Google広告 | Yahoo!広告 |
動画
|
推奨アスペクト比:16:9、1:1、4:3、9:16 長さ:30秒以下 ※YouTubeにアップロードされている動画のみ設定可能 |
– |
▼テキスト素材の入稿規定
アセットの種類 | Google広告 | Yahoo!広告 |
広告見出し ※必須 |
文字数制限:全角15文字(半角30文字) 最小必要数:1個 最大登録数:5個 |
文字数制限:20文字 最小必要数:1個 最大登録数:5個 |
長い広告見出し ※必須 |
文字数制限:全角45文字(半角90文字) 最小必要数:1個 最大登録数:1個 |
– |
説明文 ※必須 |
文字数制限:全角45文字(半角90文字) 最小必要数:1個 最大登録数:5個 |
文字数制限:90文字 最小必要数:1個 最大登録数:5個 |
会社名 ※必須 |
文字数制限:全角12文字(半角25文字) | 文字数制限:20文字 |
入稿の注意点
レスポンシブディスプレイ広告を入稿する際は、次の点に注意しましょう。
■画像内のテキスト量
画像内のテキストの割合(テキスト入りのロゴを含む)は、画像全体の20%を超えないようにしましょう。20%を超えていると、審査で不承認となる可能性があります。
レスポンシブ広告の要件(Google 広告ポリシー ヘルプ)
■画像内の要素の配置
入稿した画像は、両端が最大5%までトリミングされる可能性があるため、重要な要素は画像の中心に配置しましょう。
レスポンシブディスプレイ広告の設定方法
Google広告とYahoo!広告それぞれの、レスポンシブディスプレイ広告の設定方法を説明します。
Google広告:レスポンシブディスプレイ広告の設定方法
Google広告のレスポンシブディスプレイ広告の設定は、次の手順で行います。
-
- Google広告のアカウントにログインし、該当するキャンペーンと広告グループを選択
- 広告内で「+」ボタンをクリックし、「レスポンシブディスプレイ広告」を選択
- 各項目を入力
Google広告では、設定画面の上部に広告の有効性が表示されるため、効果的な配信をするために必要な要素を満たしているか、確認しながら設定しましょう。
- 「保存」をクリック
Yahoo!広告:レスポンシブディスプレイ広告の設定方法
Yahoo!広告のレスポンシブディスプレイ広告の設定は、次の手順で行います。
-
- Yahoo!広告のアカウントにログインし、該当するキャンペーンと広告グループを選択
- 新規広告作成から「レスポンシブ広告を追加」を選択
- 各項目を設定し、「広告を追加」をクリック
レスポンシブディスプレイ広告の運用ポイント
アセットを上限数まで設定する
レスポンシブディスプレイ広告は、AIが自動でアセットを最適化して広告を配信します。
そのため、アセットをできるだけ多く設定し、配信できる広告のバリエーションを増やすことで、より最適化の精度を上げることができます。
ただ、設定したアセットの量に対して予算が足りていないと、配信されないアセットが出てくる可能性があります。その場合、少し広告の本数を減らすなど調整しましょう。
広告とLPに一貫性を持たせる
広告内容とランディングページ(LP)の一貫性は、コンバージョン率に大きく影響します。
広告の訴求内容とLPの内容が一致していないと、ユーザは広告をクリックしてもすぐに離脱し、コンバージョンにはつながりません。
また、基本的に広告は訴求ごとに分けた方がよいことも頭に入れておきましょう。
クリエイティブは定期的に入れ替える
レスポンシブディスプレイ広告に限った話ではないですが、同じ広告が何度も表示されるとユーザが飽きてしまい、反応率は落ちてしまいます。広告の鮮度を保ち、パフォーマンスを維持するためには、クリエイティブの定期的な更新が重要です。
こまめに広告のパフォーマンスを確認し、効果が悪いクリエイティブは差し替えるようにしましょう。また、季節性のある商品やサービスの場合は、その時期に合わせたクリエイティブの準備と入れ替えを計画的に行いましょう。
プレースメントの除外設定をする
配信先を指定するプレースメントですが、必要に応じて除外設定も行うとよいでしょう。
特に、非課金型アプリのアプリ内広告では、広告収入が主な収益源となっているため、意図しない誤タップを誘発する設計になっている場合や、明らかに広告配信の目的にそぐわない、CVに至らないクリック(アドフラウド)が発生する場合があります。
このような質の低いプレースメントは、パフォーマンスに悪影響を与える可能性があるため、定期的なチェックと除外設定を行いましょう。
関連記事:アドフラウドとは?その仕組みと対策を事例も含めて紹介!
まとめ
レスポンシブディスプレイ広告とは、画像や動画、テキストなどのクリエイティブを事前に複数登録しておくことで、AIが自動で最適化して配信するディスプレイ広告のことです。
掲載面に合わせたサイズ調整や、最適な組み合わせでの配信など、自動的にパフォーマンスを向上してくれる点が魅力です。
効果的に運用するためには、十分な数のアセットの準備、定期的なクリエイティブの更新、適切なプレースメント管理などが重要です。
運用の注意点やコツを踏まえた上で、レスポンシブディスプレイ広告を活用しましょう。