Webマーケターの皆さんが日々の活動の中で、何となく感じていることや気になっていることを、20万人ものモニターの行動ログからひも解くインターネット市場調査 定期レポート。
第3回の今回は、「アクティブシニアを集客しているサイト」についてです。
旅行好きや美容・健康グッズへの関心の高いアクティブシニアを上手に取り込めているサイトをご紹介します。
■分析概要
全国のVALUESモニターを対象として、2015年7月23日~8月2日に国内旅行及び海外旅行、2015年7月24日~8月10日に美容・健康グッズに関するアンケート調査を実施し、回答者のうち、年齢が60歳以上のシニア層で、次の(1)、(2)を分析対象とした。
(1)直近1ヵ月で国内旅行または海外旅行の申し込みを行ったまたは検討中である人(520人)
:「旅行派」
(2)直近1ヵ月で美容・健康グッズ(サプリメント、ダイエットサポート食品・飲料、特定保健用(トクホ)食品・飲料、美容・健康・ダイエット器具など)を購入または検討中である人(766人)
:「美容・健康派」
分析ツールは「VALUES eMark+」のユーザ分析サービス「【eMark+】Target Focus」を使用。
※ネット行動はPC上の行動ログを分析対象とした。
※サイト分類のカテゴリは、株式会社ヴァリューズが独自に定義。
■結果
旅行好きアクティブシニアに人気のサイトは、カテゴリーもバラつき、訪問者全体に対する含有率もそこまで高くはなっていません。他にはペット情報や不動産、金融などにも関心が高い傾向がうかがえます。
逆に、健康・美容派に関しては、シニア向けサプリメントを販売しているサイトなどが数多く上位に名を連ねており、各サイトともシニア層の取り込みがある程度進んでいる傾向です。
ただし、こちらについても含有率はそこまで高くはなく、シニアだけを取り込んでいるというよりも、他サイトと比べて比較的シニア層の含有率が高い傾向にあるという状況です。
■考察サマリ
◆アクティブシニア層に人気の旅行メディアは「阪急交通社」「ゆこゆこネット」「てるみくらぶ」
まず、60代以上のシニア層で、かつ7月のアンケート調査で国内または海外旅行を申し込みまたは検討中と回答したユーザにターゲットを絞り、「旅行派」として2015年6月度のサイト閲覧行動を解析してみた結果です。
下の表①は、【サイト訪問者全体に占めるターゲットの割合】が高い順にランキングしたものですが、1位に「阪急交通社」、7位温泉・宿の宿泊予約「ゆこゆこネット」、10位格安海外旅行サイト「てるみくらぶ」が入っています。
いずれも新聞広告に掲載されたツアーや宿泊プランをネット予約できることが特長的な旅行メディアで、シニア向けツアーは新聞広告や折り込みチラシからの問い合わせ・申し込みが多いという話はよく耳にしますので納得です。
◆「旅行派」シニア層では、「ペット」、「土地活用」や「マンション経営」など不動産運用、「システムキッチン」や「オール電化」もキーワード
表①で旅行メディア以外のサイトでは、愛犬家向けのライフスタイル提案誌「ONEBRAND」のWebメディアや、土地活用・賃貸マンション経営など不動産運用に関する情報サイトがランキングにあがっています。
また、システムキッチン・システムバスのメーカーサイトや、「オール電化」「太陽光発電」「ハイブリッド」といった家庭でのエネルギー消費にも関心が高く、ネットを活用して情報収集しているようです。
◆「美容・健康」派は、住まいやリフォームに対する関心の高さもうかがえる
続いて、60代以上のシニア層かつアンケートで美容・健康グッズ(サプリメント、ダイエットサポート食品・飲料、特定保健用(トクホ)食品・飲料、美容・健康・ダイエット器具など)を購入または検討中である人をターゲットに絞り、「美容・健康派」として、2015年6月度のサイト閲覧行動を解析しました。
下の表②は、【サイト訪問者全体に占めるターゲットの割合】が高い順にランキングしたものです。やはり、美容・健康グッズに関心があるだけに、健康食品、美容・エイジングケアの通販サイトが上位に多く並んでいます。
通販サイト以外では、リフォーム会社の紹介サイト、注文住宅の工務店情報サイトなど、住宅リフォームに関するサイトがランクインしており、自身の美容や健康だけで
なく、住まいやインテリアに対する関心の高さもうかがえます。
◆年々重要性を増していくネットによるシニア層の取り込み
団塊世代の大量退職やさらに進んでいく少子高齢化など、シニアを取り巻く環境については既に何年も前から叫ばれ続け、企業にとっては若者や子育て層だけでなく、新たな巨大マーケットとしてのシニア層をどう取り込んでいくかが大きな課題となりました。
そこにビジネスチャンスを見つけ、成功すれば大きな収益につながっていくであろうことは疑うべくもありません。
しかし、ことネットに関しては、当初より「シニアがパソコンを使いこなすのか?」「検索エンジンで様々な情報を調べ、収集するイメージができない」などと、シニアとネットの親和性には疑問がもたれてきました。
それでは実際の状況はどうでしょうか?家族や友人との連絡にスマホのメールやチャットを使いこなし、アクティブに活動するシニアは確実に増え続けています。
こうしたアクティブなシニア層にリーチし、訴求できるWebメディアも多数生まれてきています。次ではいくつかのシニア向けサイトにおけるプロモーションメニューを紹介します。
■趣味人倶楽部(しゅみーとくらぶ)
アクティブシニアは前述のデータにもあるように「旅行」に対してアクティブなところにも特長があります。「趣味人倶楽部」はDeNAが運営し、集客のベースをシニア向け旅行を展開しているクラブツーリズムの会員から行っている国内最大規模の「おとなコミュニティ」です。
こちらのサイトではバナー広告を始めとしていくつかの広告商品を持っていますが、人気の商品は「タイアップ広告」です。
アクティブシニアはバナーを見て新しいものに飛びつくというよりも、その商品・サービスをちゃんと理解してから利用したいという希望のある方の割合が多いです。そのため、広告商品としても通常のバナー商品ではなく、「タイアップ広告」が人気です。タイアップ広告では記事と画像でサービスを訴求するので、ユーザ浸透度を高めることができます。
また、タイアップ広告で効果を実感できた場合は、さらに深くユーザに訴求していく「コンテンツアライアンス」というメニューもあります。
このサイトがポータルのようになっているのですが、そこに現状ない「カテゴリ」を1社独占のコンテンツで作成することができます。
Ex.)「健康カテゴリ」「不動産カテゴリ」「投資カテゴリ」など
自社のサイトにいかに誘導するかという考えではなく、すでに多くのアクティブシニアを抱えている趣味人倶楽部に支店を出すイメージです。
こちらは通常広告とは違い、短期ではなく最低でも3ヵ月以上の掲載が必要となるので、コンテンツも複数用意し、支店を展開していく必要があります。
アクティブシニア層の広告での獲得は非常に難しいため、数少ないユーザが定着しているメディアを有効活用することは他年代へのプロモーションに比べても重要になります。ここでは詳しく触れませんが、広告クリエイティブに関しても工夫が必要です。
目の肥えたユーザには成熟したプロモーションが必要となります。丁寧な展開を心がけましょう!
VALUESが事業支援のためのソリューションとして立ち上げたサービスの1つが『ネット行動分析サービス』です。これは20万人規模の一般ユーザのPC上での行動ログとデモグラフィック情報を活用した、次世代のマーケティング手法です。