数年前から徐々に注目を浴び始めた「Web接客ツール」ですが、貴社では導入されていますか?
EC事業者様では「Web接客ツール」を、これから導入するためのツール選定についてや、すでに導入されその運用についてなど、悩まれていることも多いのではないでしょうか。
流行っているからといって目的もあいまいなまま導入してしまうと、せっかくのテクノロジーも最大限に活かすことができないばかりか、既存業務を圧迫する結果につながってしまうこともあります。
そこで、この記事では「Web接客ツールの」選び方について、重要なポイントに絞って紹介します。
目次
Web接客ツールとは?
「Web接客」とは、実店舗と同じようなWeb上の接客のことです。
つまり、ECサイトへ来訪されたお客様に対し、その1人ひとりにあわせた接客コミュニケーションを行うことを一般的に「Web接客」といい、それを実現するためのツールを「Web接客ツール」といいます。
お客様1人ひとりの状況にあわせた接客を行うためには、お客様の状況を把握するためのデータが必要です。主にサイト上のお客様の行動履歴(ページ閲覧履歴や閲覧時間)や、属性データ(性別や年代、メルマガ購読状況など)、購買履歴(注文日時や注文内容)などをもとに、あらかじめ設定したシナリオ(どんな条件でどんな訴求をどこでどのように表示するか)に基づいてコンテンツ配信が行われます。
お客様との関係構築やCV獲得のためのコミュニケーションを行うことから、CRM領域として語られることが多くなっています。
Web接客ツールでどんなことができるの?
主に購入率の改善やロイヤリティの向上を目的に、ユーザ1人ひとりの状態に合わせたコンテンツを表示することができます。
例えば、初めてECサイトに来訪される方へのトライアル商品を訴求する接客、トライアル商品を購入後、一定期間が経過した状態でECサイトに再来訪したお客様への定期購入訴求の接客、しばらく色々なページを閲覧しているのに購入されないお客様へのチャットサポートの表示、などというようにお客様の状況にあわせた訴求が可能です。
表示するコンテンツとしては、
- テキストメッセージ
- キャンペーン訴求バナー
- レコメンドシステムとデータ連携することによるレコメンドバナー
- チャット機能
- キャンペーン期間のカウントダウン
- メルマガ登録フォーム
など多種多様な訴求が可能です。
これらのコンテンツはポップアップで表示される場合が多いですが、最近ではWebサイトのコンテンツの一部として埋め込まれた状態で、ユーザの行動を妨げないよう配慮した形で表示する事例も増えています。
代表的なWeb接客ツール
Web接客ツールは、主に告知に重きを置いた「ポップアップ型」と、チャットに特化した「チャット型」に分けられます。
こちらの記事に代表的なWeb接客ツールを解説していますのでご覧くださいませ。
Web接客ツールの導入を成功させるための5つのポイント
Web接客ツールを流行に乗って導入したけれど、運用に乗らなかった、期待した程の効果が出ていない、何となく運用しているけれども効果がよくわからない、といった声をよく耳にします。
では、Web接客ツール導入の際に必ず見ておくべき選定ポイントはどんなところでしょうか。
①Web接客ツールでどんな課題を解決したいのか?
そもそもどんな目的で、どんな課題を解決するのか、曖昧なままツールを導入してしまい失敗するケースが見られます。
ツール導入で「購入率が何%上がった」「売上が上がった」「リスクが無い」などのワードに踊らされないよう注意しましょう。
事前に解析レポートや受注データ分析によるリピート状況の把握などで、解決すべき課題を明確にした上で、その課題を解決する1つの手法として、明確な目的をもってWeb接客ツールを導入する必要があります。
例えば、トライアル購入から定期引き上げ率をもっと向上させたい、という課題においても、メールやチラシなどほかの施策はすでに取り組んでいて、Webページ来訪者へのピンポイントの訴求ができておらず、そのターゲットの定期引き上げ購入率が低い、など課題が明確になっているほど、Web接客ツール導入後の施策への落とし込みや、その後の効果検証もスムーズにできます。
②その課題はWeb接客ツールでないとクリアできないのか?
目的・課題が明確になっても、その課題は本当にWeb接客ツールでないとクリアできないのでしょうか?ほかにもっとできる施策はないのでしょうか?
基本的な施策を行わないまま、むやみに新しい手法に手を広げても結局、運用ができずに思った程の効果が出ないケースも見られます。
例えば、
-
- 購入後ステップメールを配信母数の多いメールで実施できていないのに、配信母数の少ないWeb接客でやろうとする。
- カゴ落ち率を下げる接客を購入フロー中に配信できるよう実装したが、Web接客ツールを使わなくてもできる訴求だった。
などです。
③目的のメッセージ訴求を実現するのに、必要なデータは取得できるか?
実現したいシナリオが明確になっていても、そのターゲットをセグメントするためのデータが取得できなければシナリオは実現できません。
例えば、購入商品に応じたフォロー接客をしたい場合は、当然、購入履歴データが必要ですし、男女セグメントによる接客や、訪問回数による接客をする場合も、そのお客様をターゲティングするための性別データの取得や累計訪問回数の取得が必要不可欠です。
- 目的のメッセージ訴求を実現するのに必要なデータは何か?
- そのデータはどこでどのタイミングで取得できるのか?
- シナリオを配信するのに十分な母数は確保できるか
などは事前に調査や準備をしておくと安心です。
④Web接客ツール導入で期待される効果とそのためのコストは?
Web接客ツール導入費の方が期待効果を上回ってしまっては、費用が無駄になってしまいます。Web接客ツールを主に購入率改善で導入するケースであれば、
- どんなターゲットに配信し、それぞれ現状何%の購入率が、ツール導入でどのくらいの改善が想定されるのか?
- それによって向上する収益は月間/年間でどれくらいか?
- それはツール導入費に見合ったものなのか?
は、必ず試算しておくべきポイントです。
⑤Web接客ツールの運用体制は?ツールの操作性やサポート体制に問題はないか?
Webの導入において、誰がどのように運用するか?という点も重要な検討事項です。
- シナリオ設計からツールへの実装、その後の検証プランまでひととおりのPDCAをどのような体制で回すか
- そのPDCAを回すうえで、ツールの操作性やサポート体制に問題はないか
を事前に確認しておかないと、せっかくWeb接客ツールを導入したのに、日々の業務に追われた結果、配信しているのは全配信のセールバナーだけ、ということにもなりかねません。
AIによる自動運用が可能なWeb接客ツールも出始めていますが、自動で実現できることはまだまだ限定的です。
お客様にあわせた最適なメッセージ訴求による課題解決を実現しようとすると、人の目、人の手によるツールをこえた全体視点のプランニングと環境構築・運用が、しばらくは必要な状況といえるでしょう。
メディックスでは効果的なWeb接客のシナリオプランニングおよびPDCAによるチューニング、運用の知見が豊富なプロがそろっていますので、Web接客の導入を考えている、導入したが効果がよく分からない、どう改善していってよいか分からない、といったことでお悩みでしたらいつでもご相談ください。