LINE Ads Platformとは?(2)申込方法、費用、運用方法のポイント|ウェブ部

LINE Ads Platformとは?(2)申込方法、費用、運用方法のポイント

ディスプレイ広告

LINE Ads Platformは株式会社LINEが提供している広告プラットフォームです。前回の記事では、既存メニューとは異なる切り口で幅広いターゲット層にアプローチができるというメリットをお伝えしました。

LINE Ads Platformは、開始するにあたって最低出稿金額の縛りがなく気軽に始められる一方で、運用開始時には審査に時間を要する点や、商材・LP(ランディングページ)の審査が厳しい点を理解しておかなければなりません。さらに、継続的に効果を出して運用していくためには、いくつかの重要なポイントを意識しておく必要があります。

今回は、LINE Ads Platformに関する全3部構成のうち第2部として、出稿までの流れや注意点とともに、効果的な運用のポイントについて「入札」「ターゲティング」「クリエイティブ」を軸にお伝えします。

LINE Ads Platformの出稿までの流れと注意点

LINE Ads Platformの出稿までの流れは、次の画像のとおりです。

出典:LINE Ads Platform 2018年4-6月期 媒体資料

 

LINE Ads Platformを活用してLINEに広告を出稿する前に、まずは、配信用のアカウント発行を受ける必要があります。発行時には、「広告主名や商材の正式名称」「広告主コーポレートサイトURL」「広告に使用するLPのURL」などを含めた14の情報が必要です。広告出稿の直前までLPの制作を進めているケースも少なくないですが、LINE Ads Platformに出稿する場合は、LPを早めに用意しておいた方が審査をスムーズに進めることができます。

アカウント発行の審査期間は、申請してから約5営業日となっています。すでにLINE公式アカウントがあっても、商材・LPの審査は発生します。この商材・LPの審査を通過してはじめて「広告配信用のアカウント」が開設されます。LINE公式アカウントがない場合は、商材・LPの審査を通過したタイミングと同時に広告配信用のダミーアカウントが発行されます。

 なお、宗教関連やエステ、ギャンブル関連、タバコ・電子タバコなど、広告を掲載できない業種・商材があるので、アカウントを発行する際は注意が必要です。アカウントの発行可否自体は株式会社LINEに問い合わせて確認できるので、事前にチェックしておくとよいでしょう。

LINE公式アカウントが既にあっても商材・LPの審査は発生します。この審査を経て初めて【広告配信用のアカウント】が開設されます。LINE公式アカウントがない場合、このタイミングで同時にダミーアカウントが発行されます。

アカウント発行後は、クリエイティブの審査が行われます。この審査は、広告を出稿するたびに発生し、審査に必要な期間は約2~4営業日です。承認済となったものから順次配信可能となり、配信設定日時に広告が配信されます。

アカウントを発行する際の注意点は、LINE Ads PlatformのLP審査が、GoogleやYahoo!などほかの媒体と比べて厳しいということです。特に注意が必要なのは、化粧品や健康食品など医薬品医療機器等法(薬機法)に関連した表現を含むLPです。

<審査落ちが多いケース>

◆得られる効果や業界内指標を表す際に、「世界初」や「国内シェアNo.1」といった最大級の表現を用いるケース(使用する場合は、根拠となる出典元と調査年を正確に引用、明記する必要があります)
◆「方法特許」または「製造特許」のどちらかと、「特許番号」「特許にかかる事項」の3種をすべて併記していないケース
◆身体に悪影響を与えるリスクがまったくないかのような安心・安全をうたっている内容の記載をしているケース
◆商材を使わないと悪影響があるとユーザにイメージさせるような不快感・不安を煽る内容の記載のあるケース
◆「ビタミンたっぷり」「栄養を贅沢に配合」といった不正確な配合成分の情報を記載しているケース
◆使用前の写真と使用後の写真を並べて、商材の使用前後の比較情報を記載しているケース

薬機法関連のLPは修正が必要になることが多いため、広告配信開始日がすでに決まっているのであれば、余裕を持たせたスケジュールを組んでおきましょう。

LP審査のほかに注意が必要になってくるのが、テキストの扱いです。クリエイティブ画像にテキストを含める場合、画像内に20%以上のテキストが含まれていると承認されません。テキストの含有率は管理画面上にあるクリエイティブグリッドツールで確認できるので、入稿前に必ずチェックしておきましょう。また、クリエイティブ画像に含まれない商品タイトル・商品説明のテキスト部分 では、カッコやハイフン、引用符などの使用可能な記号以外が含まれていると審査をとおりません。特に「㎡」などの機種依存文字は使用できないため、注意が必要です。

クリエイティブ画像を制作する際は、画像内のテキストで事細かに説明するのではなく、画像自体でユーザに興味を引くような構図を意識しましょう。

LINE Ads Platformの運用方法のポイント

2018年3月時点で、LINE Ads Platformのターゲティング機能はほかのSNS広告と比べて種類が少ないです。そのためほかのWeb広告と同様の運用方法が適用できない場合があります。LINE Ads Platformを効果的に運用していく上で重要なポイントは「入札」「ターゲティング」「クリエイティブ」です。この3つをいかに上手く組み合わせて運用するかが、継続的に効果を上げるための鍵になります。

入札のポイント

LINE Ads Platformの入札で重要なポイントは「市場のトレンド」「競合他社の動向」を把握した上で、配信面を切り分けながら入札単価を調整していくことです。

市場のトレンドを加味して運用するためには、まずタイムラインやニュースといった配信面ごとに異なるユーザ訴求の特性と、商材の相性を知ることが重要です。例えば、タイムラインは新規ユーザ獲得率が高いという特長があります。それは、ほかのSNSと比べてリーチ可能な層が幅広く、かつユーザのアクション率が非常に高いことに起因します。タイムラインに訪問するユーザのうち、週1回以上「いいね」「共有」「クリック」などのエンゲージをしているユーザは半数以上にのぼります。
一方、ニュースを通してユーザが広告を目にする場所は自宅が最も多く、時間に余裕のある時に利用しているケースが多いため、具体的なアクションまでの時間が短いことが特長です。また、ユーザの購入意欲自体も高い傾向があり、新商材の発売情報や即時性のあるコンテンツとの相性が良いです。

2018年3月時点では、LINE Ads Platformに配信面の切り分け機能はありませんが、ある程度入札単価を調整することで配信面のコントロールが可能です。例えば、クリエイティブのフォーマットごとに入札単価を調整し、特定の配信面に表示されるクリエイティブの入札比率を高くすることで露出を強化することができます。ただし、掲載面の入札単価の相場は変動が激しいため、以前は切り分けることのできた単価であっても、常に配信できるとは限らない点に注意が必要です。

また、競合他社の動向を把握して運用する場合、戦略的な入札調整が必須となります。

全クライアント平均の配信面毎のCPC推移
(2017年11月1日~2017年12月31日 メディックス調べ)

例えば、クリスマス需要が高まる12月は、多くの競合他社が参入するためタイムラインのCPC(クリック単価)が高騰するケースが見られます。上記画像のとおり、11月初めのタイムラインのCPCは約110円ですが、12月4週目は約180円となっています。そのため、11月初めのCPCを前提に運用した場合、入札で競合他社に負けてしまうケースが多くなり、広告の露出量が減少します。こういった事態を避けるために、CPCの高騰傾向にある12月はタイムラインへの広告出稿量を減らし、ニュース面への出稿を強めるといったCPC高騰に合わせた戦略的な入札単価の調整が必要になります。

ターゲティングのポイント

ターゲティングで重要なポイントは、性別、年代などセグメントされたデータを用いてユーザに広告を表示させる「オーディエンス配信」と、一度サイトに訪問したことがあるユーザに対し広告を表示させる「リターゲティング配信」を同時に行うことです。

リターゲティング配信は、確度の高いユーザに積極的にアプローチできる点、任意の条件でユーザをグルーピングしたリストを活用できる点でコンバージョン率が高いケースが多く見られます。効率良くコンバージョンにつなげられるため、この手法のみで広告を配信する企業も少なくありません。一方で、対象リストが限られているため、リーチの拡大はそれほど見込めません。

オーディエンス配信は、セグメントによって興味関心度が高いと想定される多くのユーザに広告を表示させることができ、リターゲティングよりも新規ユーザ獲得率が高い傾向にあるのが特長です。これらを同時に配信することで、目標CPAに抑えながらもコンバージョン数拡大・リスト増加の相乗効果を見込めます。並行して配信した結果、リターゲティングのみの配信を行っていた時期と比較して、目標CPAを超過することなくコンバージョン数を15倍にした事例もあります。

なお、LINE Ads Platformでは、基本的なターゲティング機能である年齢・性別・地域・興味関心でセグメントして配信のできる「LINEオーディエンスデータ配信」だけでなく、2017年夏頃に追加された「類似ターゲティング機能」を活用できます。この機能はソースセグメント(CVセグメントやアップロードした顧客情報)に類似したユーザをLINE内で新たに探し出し、拡張して配信する機能です。ほかのSNSの同種機能と比べても、LINE Ads Platformの精度は高いとされています。

クリエイティブのポイント

クリエイティブで重要なポイントは更新頻度を保つことです。同じクリエイティブを配信し続けることでユーザが飽きてしまい、効果が見込みにくくなるケースもあります。

健康食品クライアントのクリエイティブごとのCTR推移
(2017年10月1日~2017年12月31日 メディックス調べ)

例えば、同じクリエイティブを配信し続けた結果、時間が経過するにつれてCTR(クリック率)が下がり続け、3カ月後にはピーク時の半分となってしまったケースがあります。
ターゲティングを細かく設定している場合、広告が同じユーザに表示されやすいことを考慮するとクリエイティブを更新する頻度は、1週間に1回が理想です。ただし、このペースでは運用工数の負担が大きくなることも多く、運用体制とクリエイティブ制作のバランスを見て2週間に1回、1カ月に1回など更新頻度を決めて進めていくことが大事です。
なお、更新頻度を保つことだけでなく、クリエイティブの質の担保も重要となります。インハウスでクリエイティブを制作するのが難しい場合、質を担保しながら静止画・動画あわせてPDCAサイクルを回すことができる企業への外注制作も選択肢の1つとして検討してもよいでしょう。

クリエイティブを制作する上で「ユーザの興味を引く」という視点を忘れてはいけません。ユーザの興味は移り変わりが激しいため、適切にキャッチアップできる体制をつくりましょう。以前は届いた商材の箱を開いて商材を取り出して見せる箱開け動画などがトレンドでした。しかし、2018年3月時点では、商材を手で持った画像や低価格であることがわかる画像などひと目で訴求内容がわかるクリエイティブがトレンドとなっています。こういったコンテンツは、お得な情報(友達登録しているLINE公式アカウントが配信しているクーポンなど)を探しているユーザが見ることの多い、タイムラインへの配信が効果的です。加えて、テキストエリアに「○○が20代女性に大人気と大きな話題に!」「○○のダイエット成功体験に反響の声」といった記事風タイトルのテキストを使用するのもトレンドです。こういったクリエイティブは、新情報や役に立つノウハウなどのハウツー系コンテンツが並ぶニュースへの配信が効果的です。

なお、テキストを重視したクリエイティブの場合、縮小・トリミングされて小さい枠に広告が表示されることで、文字が小さくなりすぎて見づらくなり、ユーザに不快感を与えてしまう可能性があります。テキストにこだわりすぎることなく、構図を意識してクリエイティブを制作していくと良いでしょう。

最後に

LINE Ads Platformの運用方法のポイントをまとめると次のとおりです。

  • 入札単価を調整して配信面を切り分けて広告を配信する
  • リターゲティング配信とオーディエンス配信を並行して広告を配信する
  • 更新頻度を保ちながら構図を意識したクリエイティブを入稿する

上記を踏まえた上で、業界ごとのクリエイティブのトレンドや更新頻度を意識しながら、シーズンごとの市場の入札状況の変化に合わせて運用することが大切です。

次回は今回紹介した運用方法を活かしたことで得られた改善事例を紹介します。

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