広告掲載のために、媒体でかならず実施するのが広告審査です。化粧品や健康食品を扱った広告では、薬機法(正式名称:医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)で定められた広告表現を逸脱してしまうことで、広告審査で不承認となるケースが少なくありません。
特に化粧品や健康食品に関する広告に関しては、明確に標ぼう可能な範囲が定義されており、予備知識を持った上で広告を用意する必要があります。(各広告規制に触れると1つの記事では納まらないため、本記事での紹介は割愛します。)
今回の記事では、広告で採用されやすく、また広告審査で落ちやすい「使用感」「口コミ(個人の感想)」といった広告表現にフォーカスし、改善例やリライト例を一部紹介いたします。
※薬機法の表記は、正しくは「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」ですが、この記事では一般的に広く知られている「薬機法」という言葉で解説します。
目次
薬機法により使用感やクチコミ要素(個人の感想)の広告表現が難しい理由
はじめに、なぜ、「使用感やクチコミ(個人の感想)」といった要素の扱いが、広告表現として難しいのか?という点をお伝えしたいと思います。
薬機法(旧薬事法)を広告実務に則って解釈し、医薬品などの広告が、消費者にとって適正な内容になるよう、厚生労働省が設けた「医薬品等適正広告基準」を参照すると、使用体験談等については「(5)効能効果等又は安全性を保証する表現の禁止の項目」に記載があります。
(5)効能効果等又は安全性を保証する表現の禁止
医薬品等の効能効果等又は安全性について、具体的効能効果等又は安全性を摘示して、それが確実である保証をするような表現をしてはならない。<共通>
(5)使用体験談等について
愛用者の感謝状、感謝の言葉等の例示及び「私も使っています。」等使用経験又は体験談的広告は、客観的裏付けとはなりえず、かえって消費者に対し効能効果等又は安全性について誤解を与えるおそれがあるため以
下の場合を除き行ってはならない。
なお、いずれの場合も過度な表現や保証的な表現とならないよう注意すること。
つまり、個人の使用感やクチコミといった個人の感想は、効果の保証のようにとらえられがちであるため、原則広告としては使用できないもの、とされているのです。こうした背景があるため、事実として存在する感想であっても、掲載することはできません。
ですが、まったく掲載ができない、というわけではありません。
以下、広告審査で落ちてしまうクチコミ引用事例と、どのような改善例・リライト例が考えられるかを紹介します。
広告審査で落ちる使用感・口コミ(個人の感想)引用事例(1)機能性の保証
まず、1つ目に紹介するのは、「機能性の保証」になるクチコミのNG例です。
媒体側より「クチコミによる効果効能への言及はできない」という指摘から、広告審査不承認となりました。クチコミから「毛穴詰まり」という具体的な課題に触れた内容を引用したことが、効果効能への言及=機能性の保証として取られた例です。
効果効能に触れない、「使用方法」「利便性」「使用感」「香り」に対しての感想やイメージに関しては、事実に基づく使用者の感想の範囲であれば広告表現として利用可能です。
#もちろん、第三者に対して誤解を与えるような過度な表現は控えてください。
広告審査で落ちる使用感・口コミ(個人の感想)事例(2)持続効果の保証
2つ目に紹介するのは、「持続効果の保証」になってしまうクチコミのNG例です。
医薬品等適正広告基準では、原則として即効性、持続性などについての表現は認められていません。
こうした持続効果を保証する内容は、たとえ事実として存在するクチコミでも、広告審査で不承認となります。
<対応策>
引用するポイントを、「持続効果に言及する要素」ではなく、「使用した感想」に変更
広告審査で落ちる使用感・口コミ(個人の感想)事例(3)安心の保証・他者への推薦
3つ目に紹介するのは、「安心の保証」や「他者への推薦」になってしまうクチコミのNG例です。
効能効果や持続効果を保障する表現が禁じられている点は、前段でご説明した通りです。
加えて、安全性を保証する広告表現についても、明示的、暗示的ともに認められない、と明記されています。
また、他者への推薦という広告表現も、暗示的に効能効果を保証する表現となっているため、採用ができない表現方法となります。
<対応策①安心の保証>
安心を誤認される表現を避け、気分に言及した内容にフォーカスさせる
<対応策②他者への推薦>
対象者を明示せず、あくまで個人の感想に留めた内容にフォーカスする
最後に 薬機法に関わる商材のLP改善・LPOにお困りのかたへ
今回、広告審査で不承認になりやすい「使用感やクチコミ(個人の感想)」といった要素にフォーカスし、改善例やリライト例をご紹介しました。
掲載媒体や取り扱い商材にもより、広告表現の採用条件は変わってくるため、例に出したものが、すべて承認できるというものではありません。しかし、広告上の制約を理解しておけば、「クチコミがNGだった…!」と、対象要素を全削除することなく、訴求すべき内容はしっかり伝える対処ができるかと思います。
メディックスのアドクリイティブ特化チーム「B-SOKU」でも、薬機法・景表法を加味し校閲チェックを行う制作体制です。
審査不承認になりやすい商材でも、過去の知見を用いて広告法規を考慮したうえでクリエイティブを用意することが可能です。
ぜひお気軽にご相談ください。
B-SOKUご紹介ページ
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