2014年のWeb広告業界のトレンドキーワードとしてDMPが紹介され、様々なセミナーで講演がされている。
ただ、未だ成功事例と明確に呼べる事例はあまり世に出ておらず、大手を中心に構築がなされている最中というのが2014年11月段階では感じるところ。
セミナーでも事例は大手の壮大な取り組みが多く、中小企業のプロモーション担当の方は少し敷居が高いと感じた方もおられるのではないだろうか。
筆者も広告代理店の立場からDMPの提案については大手企業様限定の敷居の高い取組と考えていたが、社内外のデータを統一し、活用することの有効性はどのクライアント様に対しても程度の差こそあれ有効と考えていた。
そんな中で提案を進めていくうちに、DMPと一口にいっても実は様々な形でのDMPの活用の仕方があり、大手~中小まで利用可能な手法であることが分かったので、ここでご紹介したい。
目次
DMPで実現できること
前段としてDMPでできることを改めて整理しておきたいと思う。
DMPは色々なことができるため、完全に新しい取組ができると考えられている方もおられるが、本質的には…
【「従来の手法」を底上げする施策】である。
DMPにインプットする情報の種類は「3つ」
① ログデータ
② 顧客属性情報(CRM)
③ 外部データ(他者保有データ)
DMPからアウトプットする先は「3つ」
④広告施策
⑤CRM・メール施策
⑥解析・LPO(ランディングページオプティマゼーション)
今後アウトプット先が増えていく可能性もあるが、現段階では適応先として上記以外での活用は行われていないので、上のようにシンプルに覚えていただくことを推奨する。
※インプットする情報は必ずしも3つ入れなければいけないものではなく、アウトプットも3つすべてにアウトプットできている企業は少なく、インプットであれば①ログデータ、アウトプットであれば④広告施策を中心とした取組が多い。
上のアウトプットを見ていただくと分かるように、目新しいものはなく、多くの企業様ですでに実施されている施策である。
その施策がDMPの導入により、下記の例のように、より活用しやすくなることがメリット。
他にもDMP活用のメリットとして、上のようなユーザーリストを「配信前に」効果を知るようなこともDMPを導入すれば可能となる。
DMPの種類
DMPでできることが魅力的であることは理解いただけたとしても、やはり導入には高いハードルがある企業も多い。
ただし、前段で述べたようにDMPには利用目的に応じて、活用できる種類がある。これを理解して自社の状況に合ったDMPを選んでいくことでライトな形でのDMP活用も可能となる。
プライベートDMP
よくいわれるDMPはこのプライベートDMPを指すケースが多い。フルパッケージのDMPである。
<参考記事>プライベートDMPの基礎知識と目的に合った最適な構築法
■利用データ
・ログデータ
・顧客属性情報
・外部データ
■できること
作成できるセグメントの幅が最も広い。
■大変なこと
・セグメント作成できる幅が無数。
・ログデータと顧客属性情報の紐付けが必要。
■こんな場合に利用
・顧客属性情報を使ったセグメントを使いたい
・現在はそうでなくとも将来的に上記のニーズが出る
・自社サービスの種類が多彩、会員数も豊富
パブリックDMP
第三者データ利用メインのDMP。
■利用データ
・ログデータ
・外部データ
■できること
自社にない豊富な外部データを利用して配信するため、ド新規の獲得に向いている。
■大変なこと
・外部データの質の見極め。
・データ購入費用もかかる。
・セグメントの組み合わせは無数。
■こんな場合に利用
・自社にあまりデータがない。
・新規(来訪していないユーザー)獲得をメインの目的にしたい
・顧客属性情報を絡めたセグメントは必要ない
タグマネジメントDMP
最もライトなDMP施策。
■利用データ
・ログデータ(解析データ活用)
■できること
・リターゲティングの最適化を高い精度で行える。
■大変なこと
・あくまで既存施策の最適化。
■こんな場合に利用
・現状のリターゲティングのセグメントをより細かくしたい。
・できるだけライトにDMPにトライしたい。
・顧客属性情報を絡めたセグメントは必要ない。
DMPの選定基準
下に簡単ではあるが、各DMP手法をまとめているので、3つの種類のDMPのメリット・デメリットを理解し、自社に合ったDMPを選定してほしい。
主なDMPベンダー各社比較
トレンドキーワードということもあり、多くのベンダーがDMP領域に登場しつつある。
弊社で媒体資料を元に各ベンダーの特徴を下にまとめた。(2014年各社媒体資料参照)
DMP導入の手順
① まずはDMP実施の「メインの目的」を決める
② ①に応じてDMPカテゴリ(プライベート・パブリック・タグマネジメント)を決定
③ ②で決めたカテゴリ内のベンダーで「メインの目的」を達成できるかを確認
上のような流れでどんなDMPを構築していくのかを決めていくやり方を推奨する。
DMPは人によって定義が違うケースがあり、それゆえに定義が難しい。
ただ、DMP活用は「ビックデータ活用」と同義であり、目的やゴールの共通言語化は必須である。
上で紹介した区切りもひとつの定義でしかないが、こちらを共通言語として採用していただき、導入を進めるのもひとつのやり方ではないかと提案したい。