アドフラウドとは?その仕組みと対策を事例も含めて紹介!|ウェブ部

アドフラウドとは?その仕組みと対策を事例も含めて紹介!

アドテクノロジー
アドフラウドとは?その仕組みと対策を事例も含めて紹介!

近年、ウェブ広告は市場の成長と共に、ブランド毀損、不正広告など配信するリスクも大きくなっています。アドフラウドは自社の広告配信を守るひとつの手段であり、その知識を得ることで広告を損なく正しいターゲットに配信することに繋がります。

この記事では、アドフラウドについての説明と対策について説明します。

アドフラウド(ad fraud)とは?

「アドフラウド=無駄クリック」のことで、明らかに広告配信の目的にそぐわない、CVに至らないクリックのことを指します。アドフラウドは「ブランドセーフティ」「ビューアビリティ」と合わせてアドベリフィケーションと呼ばれており、近年ウェブ広告業界で自社の広告配信を守る手法として注目されています。

アドベリフィケーションとは

アドベリフィケーションとは、広告が正しく配信されているか検証する仕組みのことです。多くの場合、「アドフラウド」「ブランドセーフティ」「ビューアビリティ」の3つの要素を総称するものとして使われています。

ブランドセーフティ(Brand Safety)

正しい面や場に広告が配信されているか検証する取り組みです。「ブランドセーフティ=ブランドの安全性」であり、自社のブランドイメージにそぐわない面に配信されていないかを確認します。

ビューアビリティ(Viewability)

広告が本当にユーザに視認されたのかを検証する取り組みです。かつて、ウェブ広告では画面にどれくらい表示されれば表示回数にカウントされるのかなど明示されていませんでした。直近になって、各媒体で表示回数のカウントの定義が定められてきています。

アドフラウドが発生する背景

なぜアドフラウドが発生するのでしょうか。ここでは代表的な原因3つを述べます。

アドフラウドが発生する背景

広告収入目的の悪質な水増しクリック

悪質な事業者が自社のサイトを作成し、広告枠を設置します。そしてBotなどを利用して大量に広告の表示・クリックを発生させてサイト運営者として広告収益を得ます。

データベース化目的のbotクリック

広告配信されているバナーや商品情報、価格等の情報をデータベース化し販売することを目的に、bot等で広告の表示やクリックを行う悪意のない情報収集です。

人的な嫌がらせクリック

競合の広告をクリックする事で無駄に予算を消化させることが目的です。予算切れにより広告表示をストップさせる事で、自社の露出の増加や、機会損失を狙っています。

アドフラウドが発生することによるデメリット

アドフラウドが多く発生しているアカウントでは「コスト」と「時間」を無駄にしている可能性があります。

無駄コストの発生によるCPAの悪化

CVのつかない無駄クリック増加により、無駄コストが増加かつCVRの低下しCPAの悪化に繋がります。

データ分析や自動入札のノイズ増加

広告配信の結果をもとにデータ分析や自動入札での学習が行われますが、その結果の数値に無駄クリックが多く含まれるため正しい分析や学習の妨げになります。

正当な効果測定ができず誤った判断につながる

上記2点を包括したデメリットにはなりますが、配信結果の数値に配信目的にそぐわないクリックが含まれるため誤った判断に繋がりやすくなります。

アドフラウドの種類

ここでは、アドフラウドの代表的な種類をピックアップします。以下挙げる9つだけでも、ユーザ・広告主・メディアそれぞれが気づかぬうちに被害を受けている可能性が高いことが分かります。

(1)自動リロード(Auto Refresh)

自動で何度も広告を更新することで表示回数を稼ぐ方法です。

  • サイトのページ自体を更新する手法
  • ユーザのスクロールに合わせて広告表示を更新する手法
  • 長時間の動画の下に広告を表示し、ユーザが動画を見ている間に何度も更新する手法。

など、さまざまな手法で表示回数を稼ぎます。

(2)隠し広告(Hidden Ads)

ウェブサイトの広告をユーザが見えないように表示することで、表示回数を稼ぐ手法です。

<表示方法例>

  • ウェブサイトの表示領域の外側に広告を表示させる
  • 別の広告に重ねて表示させる
  • 目に見えないサイズの広告を表示する

ユーザ側からは見えませんが、広告表示がされているとカウントされインプレッションが発生します。

(3)ブラウザの自動操作(Imp/ClickBot)

自動でブラウザを操作するプログラムを作成し、不正の表示回数やクリックを発生させる手法です。ユーザがフリーソフトをダウンロードする際に端末がマルウェアに感染することで起こります。

(4)偽ドメイン (Domain Spoofing)

公式ウェブサイトのドメインになりすまし、類似した偽のドメインに広告を表示させる手法です。入札したサイトと、実際に表示されるサイトのドメインが異なるため、管理画面で表示回数の照らし合わせをすることで被害の確認ができます。

(5)広告の差し替え(Ad Injection)

こちらは、広告主ではなくメディア側の被害が大きい手法です。「インジェクタ」と呼ばれるプログラムによってウェブ広告の差し替えを行うことをいいます。インジェクタはブラウザの拡張機能やアプリを装っており、ダウンロードしたユーザのブラウザに組み込まれます。インジェクタによって本来のサイトと不正サイトの広告タグが入れ替えられるため、正式なサイトに入るはずだった広告収入が不正サイトへわたります。

(6)ファーム(Farm)

ボットや人間が大量に広告の表示やクリックを繰り返し、不正な表示やクリックを増加させる手法です。

(7)クリック洪水(Click Flooding)

実際のクリックがないにも関わらず、大量のクリックがあったと偽装する手法です。アプリなどで発生しやすい傾向があります。

(8)データセンタートラフィック(Data Center)

データセンターやレンタルサーバーの人間が、利用していないIPアドレスから不正に広告にアクセスする手法です。自社広告へのアクセスでデータセンターからのアクセスが多い場合は注意が必要です。直近では、一般ユーザのアクセスのように偽る手法も生まれており見抜きにくくなっています。

(9)クッキー感染(Cookie Stuffing)

(5)と同様に、広告主ではなくメディア側の被害が大きい手法です。まず、ユーザが正式なサイトで広告を見ます。その後にユーザが不正サイトを訪れた際に、Cookieを上書きすることによって不正サイトで広告を見たかのように偽装します。よって、本来は正式な際が得るはずであった広告収入を不正サイトが獲得することになります。

アドフラウドの影響率

デジタルメディア品質分野で権威性のあるIntegral Ad Science(IAS)が、世界のアドベリフィケーションの対応状況を調査しました。2021年下半期のデータによると、調査対象になった20カ国中、日本のアドフラウド率はワースト2位でした。

アドフラウド対策済みのデスクトップディスプレイ広告は、日本が2.6%、世界平均は1.4%。モバイルウェブディスプレイ広告は、日本が1.5%、世界平均が0.5%です。

これらのデータを比べてわかるようにアドフラウド対策において、日本は世界各国と比べると対応が遅れており、かつアドフラウドの影響を受けている広告が多く存在すると言えます。

参考:https://jp.spideraf.com/media/articles/affected-by-adfraud-in-japan

多くの広告を回している場合はもちろんですが、月々の広告配信量が少なかったとしてもアドフラウドの被害を受けている可能性は大いにあります。自社のコスト・時間の損失を防ぐため、できることから対策していく必要があります。

アドフラウドへの対策

ここでは、アドフラウドへ対策の手段を「費用」「作業工数」「対策レベル」を踏まえて6つ紹介します。
※「費用」はすべて自社で実施する場合に限定し、人件費は含まずツール費用のことを指します。
※「対策レベル」とは全体のアドフラウドに対してどれくらい対策できるかを表現したものです。

ホワイトリストの作成

費用 ★☆☆☆☆ 作業工数 ★★★★☆ 対策レベル ★★★★☆

自社で配信対象とする安全なサイトをリスト化する、量より質を重視した手法です。

ホワイトリストの作成においてのポイントは「定期的な更新をして広告配信拡張を維持すること」と「既存のホワイトリストが現在も安全であるかのチェック」をすることです。この2点を定期的に実施することでリストの有効性が保たれます。

ユーザの挙動をチェックする

費用 ★☆☆☆☆ 作業工数 ★★★★☆ 対策レベル ★★☆☆☆

アクセス解析用のタグを設定することで、ユーザの挙動のチェックを可能にする手法です。下記の傾向があるユーザはアドフラウドを疑う必要があります。

  • 同じ端末から膨大なアクセスがある
  • 常識外の頻度でリロードが繰り返される
  • あまりにアクティブ率が高い

アドフラウドと思われるユーザのブラックリストの作成が必要になります。Google広告においてはIP単位で配信除外を行うことができます。

広告の配信結果を分析する

費用 ★☆☆☆☆ 作業工数 ★★★☆☆ 対策レベル ★★☆☆☆

広告の配信結果から、アドフラウドにつながっている不正サイトを見つける手法です。代表的なチェック項目は下記です。

  • 他のサイトと比較して不正注文や未払いが明らかに多い
  • CTR(クリック率)が異常に低い、もしくは高い

こちらも「ユーザの挙動をチェックする」と同様、不正サイトだと判断した場合ブラックリストへの追加し、出稿停止する必要があります。

DSP事業者選定の際に、アドフラウド対策を行っているかチェックする

費用 ★★★☆☆ 作業工数 ★☆☆☆☆ 対策レベル ★★★★☆

DSP会社の中にはアドフラウド対策を事前に行っている業者があり、DSP選定の基準にすると無駄なく配信することが可能になります。対策をしている業者か判断するチェック方法例は下記です。

  • アドフラウド対策専門の事業者と連携している
  • 自社でアドフラウド対策ツールを導入している
  • アドフラウドが発生した場合の対応が具体的に記されている
  • JICDAQへ加入している

PMP(プライベート・マーケット・プレイス)を利用する

費用 ★★★★★ 作業工数 ★☆☆☆☆ 対策レベル ★★★★☆

「PMP(プライベート・マーケット・プレイス)」とは、掲載媒体と広告主を限定した広告出稿の仕組みを指します。PMPでは事前に安全な広告掲載先か審査されており、通過したもののみの配信に絞られるため、アドフラウドを防ぐことができます。ただし下記2点のハードルがあるためご注意ください。

  • PMPはDSPよりも費用が高くなる傾向がある。
  • 参加するには広告主側の審査をクリアすることが必須。自社の整備も必要になります。

アドフラウド対策ツールを導入する

費用 ★★★★★ 作業工数 ★☆☆☆☆ 対策レベル ★★★★★

アドフラウド対策に特化したツールを扱っている業者も多数存在します。専門のツールを利用することで、無駄クリックだけでなく不正サイトも事前にブロックすることが可能です。どのツールも有償にはなりますが、網羅性、確実性と自社広告を不必要に狭めずに配信できるという観点では有力な手段と言えます。

<ツール例>
Spider AF

タグ設置のみでアドフラウド対策が実施できるツールです。導入後、ダッシュボード上で不正アクセス数、被害額などを確認できます。IPのブラックリスト化にも対応しているツールです。アドフラウドだけではなく、不審なサイトへの広告出稿をブロックするなど、ブランドセーフティを保つための対策も充実しています。

SpiderAF

アドフラウド対策の事例

この章では、アドフラウド対策の事例を紹介します。

下記はアドフラウド対策ツールを導入した結果、無駄配信を防げた広告費です。
各社の出稿金額とブロック金額をそれぞれ比較していただくと、出稿金額が多いほどアドフラウドの被害が大きい確率は高くなりますが、比例するわけではないことがわかります。

アドフラウド事例

まとめ

日本は世界と比較してアドフラウドの被害率が依然として高く、広告配信量の大小にかかわらずどの会社も被害にあっている可能性があります。

自社の費用感・工数と各アドフラウド対策の特徴を比較して正しく対策を実施してください。そして、自社広告への悪質なアクセスを防ぎ、本来の配信目的に合ったターゲット・サイトに正しく配信していきましょう。

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