Amazon広告は、Amazonに出品している企業はもちろん、出品していない企業でも活用できる広告ソリューションです。
他の広告ソリューションと比較して、どのような特長があるのでしょうか。
当記事では、Amazon広告の基本的な特長や、利用できる広告の種類などを解説しています。広告の費用目安や出し方も解説しているので、ご参照下さい。
目次
Amazon広告とは
Amazon広告とは、Amazonのプラットフォーム上および外部のWebサイト・アプリなどのネットワークに広告を配信できるサービスです。
Amazon広告を利用することで、Amazonの検索結果ページや商品詳細ページで自社商品やブランドを目立たせることができ、Amazonでの売り上げを促進できます。
Amazonに出品していない企業でも、自社ブランドの認知度向上や自社のWebサイトへのアクセス誘導などにAmazon広告を活用できます。
Amazonのプラットフォームを利用するユーザは基本的に、商品を探しに来ていて購買意欲が高いことが特長です。
さらにAmazon広告では、顧客情報など膨大なデータを元にしてターゲティングができるため、費用対効果を高めやすいというメリットがあります。詳しいメリットは次に解説します。
Amazon広告の強み・メリット
他の広告サービスと比較したAmazon広告のメリットや、導入するメリットとして次の4点が挙げられます。
- 購買意欲の高い層に配信できる
- Amazonの購買データなどを使ったターゲティングが可能
- 売れる軌道に乗りやすくなる効果が期待できる
- Amazon以外への配信も可能
それぞれ詳しく解説します。
購買意欲の高い層に配信できる
Amazon広告は、商品を検索している「購買意欲の高いユーザ」に対して関連性の高い広告を配信できます。
例えば、「スポンサープロダクト広告」を使用すると、Amazonの商品検索結果などに、自社の商品が目立って表示されます。
ユーザは商品検索をする時点で購買に近い心理状態であることが多いため、広告がクリックされやすく、購入(コンバージョン)にもつながりやすい傾向があります。
「ユーザが欲しいと思った瞬間」に広告を表示できることが、Amazon広告の大きなメリットです。
Amazonの購買データなどを使ったターゲティングが可能
Amazon広告には膨大な購買履歴・閲覧履歴・検索キーワードなどのデータがあり、それらをもとにした精度の高いターゲティングが可能です。
例えば、「家電をよく買う層」「類似商品を買った人」など、過去の購入傾向に基づいたターゲティングができます。
通常、購入履歴を使ったターゲティングを行うには、自社ECサイトなどでデータを収集する必要があり、十分なデータが集まるまで時間がかかることがあります。
この点、Amazon広告なら膨大な履歴データをすぐに使用でき、データ収集の手間をかけずに精度の高いターゲティングが可能です。
売れる軌道に乗りやすくなる
Amazon広告を利用することで、通常の検索結果(自然検索結果)でも自社の商品が上位に表示される効果が期待できます。
Amazon広告の利用が自然検索結果の順位に直接的な影響を与えるわけではありませんが、「間接的」には影響があるためです。
Amazonでは、販売点数やレビューなどの情報に基づいて、A10という独自のアルゴリズムによって自然検索の表示順位が決定されます。広告経由で販売実績をつくることで「販売点数」や「レビュー」が増え、間接的に自然検索結果の順位が高くなることが期待できます。
その結果、広告以外でも商品がユーザの目に止まりやすくなり、商品が「売れる軌道」に乗りやすくなる効果が期待できます。
Amazon以外への配信も可能
「Amazon DSP」と呼ばれるプラットフォームを利用することで、Amazon上に限らず、Amazonの広告ネットワークでつながる外部のWebサイト・アプリにも幅広く配信できます。
そのため、一見Amazonとは関係のないWebサイトやアプリから、Amazonでの購入を促すことが可能です。
また、Amazon DSPはAmazonへ出品していなくても利用でき、自社のWebサイトへの集客など、Amazonへの集客に限らない幅広い用途で活用できます。
Amazon広告の種類
Amazon広告には様々なソリューションがあります。代表的なものは次の11種類です。
種類 | 特長 |
スポンサープロダクト広告 | Amazonに出品している商品を目立たせる広告。検索結果・商品詳細ページなどに掲載できる。 |
スポンサーブランド広告 | 自社のブランド認知度向上などに利用される広告。検索結果・商品詳細ページなどに掲載できる。 |
スポンサーディスプレイ広告 | Amazon内外の様々な場所に表示できるディスプレイ広告サービス。 |
スポンサーTV広告 | Prime Videoやその他の動画配信サービスに動画広告を配信できるサービス。 |
Amazon DSP | Amazonが提供するDSP。Amazon内外の様々な広告枠に一括で広告を配信できる。 |
Amazon Live | Amazonのライブコマースサービス。日本で利用するには問い合わせが必要。 |
Prime Video広告 | Amazon Prime Videoに動画広告を配信できるサービス。 |
音声広告 | Amazon Musicなどで音声広告を配信できるサービス(日本は2025年6月時点で未対応) |
アウトオブホーム広告 | Amazonが提供する屋外広告サービス。(日本は2025年6月時点でAmazonロッカーのみ対応) |
デバイス広告 | Amazonのデバイス向けに広告を配信するサービス。(国によって対応デバイスが異なる) |
カスタム広告ソリューション
(Brand Innovation Lab) |
企業ごとにカスタマイズされた広告キャンペーンを提案するサービス。 |
それぞれの特長を詳しく解説します。
スポンサープロダクト広告
スポンサープロダクト広告は、Amazonで販売している自社の商品(プロダクト)を、検索結果や商品詳細ページなどで目立たせて表示する広告です。検索結果で上位に表示するなどして目立たせることができ、商品の購入を促せます。
商品を検索している購入意欲の高いユーザに対して表示できるため、コンバージョンにつながりやすく、費用対効果が高いことが特長です。
出稿方法が簡単で効果も出やすいため、初めて出稿する際は、スポンサープロダクト広告から始めてみるのがおすすめです。
【広告が配信される場所】
・Amazonの検索結果
・Amazonの商品詳細ページ
参照:スポンサープロダクト広告 – 商品の売り上げ促進 | Amazon Ads
スポンサーブランド広告
スポンサーブランド広告は、商品ではなく「ブランド」をアピールするための広告です。Amazonのショッピング結果や検索結果の画面で、動画広告やディスプレイ広告によって自社のブランドをアピールできます。
広告をクリックした先には「ブランドストア」を設定できます。ブランドストアは、Amazon上に無料で公開できる自社のブランド専用のページです。ブランドストアでは写真・動画・テキスト・商品一覧などを掲載してブランドの世界観を表現できます。
ブランドストアおよびスポンサーブランド広告を使用するには、あらかじめ「Amazonブランド登録」を済ませておく必要があります。Amazonブランド登録はAmazonでブランド保護のためのツールを使うための手続きで、登録には有効な「登録商標」が必要です。
【広告が配信される場所】
・Amazonの検索結果
・商品詳細ページ
参照:スポンサーブランド広告 – ブランド認知度の向上 | Amazon Ads
スポンサーディスプレイ広告
スポンサーディスプレイ広告は、Amazon内外の様々な場所に表示できるディスプレイ広告サービスです。
スポンサーディスプレイ広告は特に、Amazon外部のアプリ・Webサイトを利用するユーザにリーチするために活用できます。
例えば、Amazonで商品を閲覧したものの購入には至らなかったユーザが、外部のWebサイトを利用している時に自社の広告を見てもらい、購入に至るよう背中を押すといった「リマーケティング」の施策で活用することが可能です。
【広告が配信される場所】
・Amazonのホームページ
・Amazonの商品詳細ページ
・Twitch
・外部のアプリ・Webサイト
参照:スポンサーディスプレイ広告 – ディスプレイ広告キャンペーンの作成 | Amazon Ads
スポンサーTV広告
スポンサーTV広告は、Amazon Prime VideoやTwitch、その他の動画配信サービスで動画形式の広告を配信できるサービスです。(国内ではTwitchのみ対応)
動画コンテンツの再生前や途中などに広告動画を配信できます。
動画コンテンツを視聴しているユーザに向けて広く配信できるため、自社の商品・ブランドに興味を持つ前の段階のユーザにもリーチでき、ブランドの認知度向上を目標とするキャンペーンに適しています。QRコードや「カートに入れる」などのCTAボタンでAmazonのブランドストアや自社のWebサイトなどに誘導でき、商品・サービスの購入を促すことも可能です。
スポンサーTV広告は、Amazonで商品・サービスを販売していない企業でも利用できます。
【広告が配信される場所】
・Twitch
・Amazon Prime Video(日本は2025年5月時点で未対応)
・Amazon Publisher Direct経由の外部サービス(日本は2025年5月時点で未対応)
参照:スポンサーTV広告 – あらゆる規模のブランド向けのセルフサービスストリーミングTV広告 | Amazon Ads
Amazon DSP
Amazon DSPは、Amazonが提供するDSP(デマンドサイドプラットフォーム:Demand Side Platform)です。
DSPとは、広告枠の取得・ターゲティング・広告の配信・分析など、広告配信の全般を自動化できるサービスのことです。
DSPについて、詳しくは次の記事をご参照下さい。
【5分で分かる】DSPとは?仕組みや代表的なツールを紹介
Amazon DSPを利用することで、Amazon内外の様々な広告枠に対して一括で広告を配信することが可能です。
広告クリエイティブの管理やターゲティング設定などを一括で管理でき、効率的に広告を運用できます。
また、Amazonのデータを活用して、購買意欲の高いユーザに対して効率的にアプローチすることが可能です。
【広告が配信される場所】
・Amazon内外の広告枠(スポンサー広告とは配信先が異なる)
参照:Amazon DSP – デマンドサイドプラットフォームを使用したキャンペーンの作成 | Amazon Ads
Amazon Live
Amazon Liveは、Amazonが提供するライブコマースサービスです。
ライブコマースとは、ライブ配信でユーザとリアルタイムでコミュニケーションしながら販売を行う手法です。販売者はAmazon Liveを利用することで、Amazon上でライブ配信を行うことができ、ユーザから質問などを受け付けながらリアルタイムでの購入体験を提供できます。
Amazon Liveは国によって導入方法が異なります。日本でも利用可能ですが、事前にAmazonに問い合わせて詳細を確認する必要があります。また、対象地域での「Amazonブランド登録」が必要です。
【広告が配信される場所】
・ブランドストア
・Amazon Prime Video
・ソーシャルメディアなど
参照:Amazon Live – 商品を購入できるライブ広告ストリームの作成 | Amazon Ads
Prime Video広告
Prime Video広告は、多くのユーザが利用する動画配信サービス「Prime Video」に動画広告を配信できるサービスです。Prime Videoの動画コンテンツの再生前や途中などに、動画広告を配信できます。
VOD STREAM(ブイオーディーストリーム)の実施したアンケート調査によると、利用したことがある動画配信サービスとして最も多く挙げられたのがPrime Videoで、多くのユーザが日常的に利用しています。
Prime Video広告を活用することで、Prime Videoを利用する膨大なユーザに対して、テレビCMに近い形での訴求が可能です。
【広告が配信される場所】
Amazon Prime Video
参照:Prime Video広告: プレミアムコンテンツでブランドを宣伝する | Amazon Ads
音声広告
Amazon広告では音声広告のフォーマットを利用できます。日本では2025年6月時点で未対応ですが、北米・ヨーロッパなどでは利用可能です。
音楽・ポッドキャスト配信サービス「Amazon Music」など音楽・音声コンテンツを利用するユーザに向けて音声広告を配信できます。
標準的な音声広告では、10~30秒の音声と合わせて画像の表示が可能で、ユーザは画像をクリックすることでサイトにアクセスしたり商品を購入したりできます。
「インタラクティブ音声広告」では、ユーザは「アレクサ、カートに追加して」といった音声操作でのアクションが可能で、手が離せないシーンでもコンバージョンを促すことが可能です。
【広告が配信される場所】
・Amazon Musicの広告対応サービス
・Twitch
・Amazon Publisher Direct経由の外部サービス
・ポッドキャストサービスWonderyとWonderyパートナー
参照:音声広告 – 音声広告キャンペーンの作成 | Amazon Ads
アウトオブホーム広告
アウトオブホーム広告は、Amazonが提供する屋外広告サービスです。Amazonのピックアップポイント「Amazonロッカー」の表面や、Amazonが運営する実店舗の「デジタルサイネージ広告」などに広告を配信できます。(日本ではAmazonロッカーのみ対応)
Amazonから商品を発送する箱に広告を掲載する「オンパッケージ広告」も日本未対応ですが、後述する「カスタム広告ソリューション」で利用できることがあります。
【広告が配信される場所】
・Amazonロッカー
・Amazonボックス(日本は2025年6月時点で未対応)
・デジタルサイネージ(日本は2025年6月時点で未対応)
参照:アウトオブホーム: OOH広告ソリューション | Amazon Ads
デバイス広告
デバイス広告は、Fire TV・Fireタブレット・Echo ShowなどAmazonのデバイス向けに広告を配信するサービスです。(日本はFire TVのみ対応)
例えばFire TVの「スポンサー」の行に表示される「スポンサードタイル」や、操作せずに一定時間経過すると表示される「スクリーンセーバー」などに広告を配信できます。
広告の配信先となるデバイスの対応状況は国によって異なります。日本における最新の対応デバイスについては、公式サイトをご参照ください。
【広告が配信される場所】
・Amazon Fire TV
・Amazon Fireタブレット
・Amazon Echo Show)
・Amazon Prime Video
参照:デバイス広告: 定義、メリット、およびそれらの仕組み | Amazon 広告
カスタム広告ソリューション(Brand Innovation Lab)
カスタム広告ソリューションは、企業・ブランドごとにカスタマイズされた広告キャンペーンを提案するBrand Innovation Labチームによるサービスです。
カスタム広告ソリューションを利用することで、既存の広告タイプだけでは解決できないような柔軟な広告ソリューションの提案を受けることが可能です。
例えばAmazonの商品を配送する際に使用する箱を、企業・ブランドの特別仕様にカスタマイズするサービスなどが提供されています。
【広告が配信される場所】
・ニーズに合わせて柔軟に提案
参照:Brand Innovation Lab: カスタム広告ソリューション | Amazon Ads
Amazon広告を表示できる広告枠
Amazon広告はどこに表示されるのでしょうか?
基本的な広告枠の一覧は次の表のとおりです。国によって利用できない広告枠がある点にご注意下さい。
広告枠 | 説明 |
ホームページ | Amazonのトップページ。 |
検索結果 | Amazonの商品検索結果ページの上部・商品一覧の中・横など。 |
商品詳細ページ | Amazonの商品をクリックすると表示される商品詳細ページ。 |
Prime Video | Prime Videoの動画コンテンツの再生前・途中など。 |
Twitch | ライブストリーミングサービスTwitchの動画コンテンツの再生前・途中など。 |
Amazon Music | Amazon Musicの音楽・音声コンテンツの途中など。 |
Amazonロッカー | ピックアップポイント「Amazonロッカー」の表面。 |
Amazonボックス | Amazonの商品を発送する箱の表面印刷。 |
デジタルサイネージ | Whole Foods Market、Amazonフレッシュ、Amazon Goなど実店舗のデジタルサイネージ。 |
Amazon デバイス | Fire TV、Fireタブレット、Echo ShowなどAmazonデバイスの画面 |
外部サイト・アプリ | Amazon広告と連携できる様々な外部のWebサイト・アプリの配信面。 |
Amazon広告で利用できるターゲティングの種類
Amazon広告では広告の種類によってターゲティングの設定方法は異なりますが、スポンサープロダクト広告の場合、次の2つの方法でターゲティングを設定できます。
- オートターゲティング
- マニュアルターゲティング
それぞれの違いを解説します。
オートターゲティング
オートターゲティングは、広告を掲載する検索キーワードや、対象の商品詳細ページを自動的に選定する設定方法です。
オートターゲティングを利用すると、キーワード・掲載先などの細かい設定をしなくても、効果が出やすいと予想されるターゲット枠に対して自動的に広告が掲載されます。
自動的にターゲティングが行われるため、広告運用のノウハウがない場合でも利用できます。
また、広告運用に手間をかけられない場合にも適しています。
スポンサープロダクト広告を初めて利用する際などにおすすめのターゲティング方法です。
マニュアルターゲティング
マニュアルターゲティングは、手動でキーワードや対象の商品詳細ページを設定する方法です。
次の2種類のターゲティング方法があります。
・商品ターゲティング:広告を表示させる商品詳細ページを指定、もしくは除外する
・キーワードターゲティング:広告を表示させるキーワードを指定・除外する
いずれも「指定」と「除外」の両方が可能で、除外設定についてはオートターゲティングでも利用できます。
オートターゲティングよりもターゲット設定や予算を細かく調整できるため、ノウハウがあれば精度を高められる点がメリットです。
適切な設定には専門知識が求められるため、ノウハウがない場合には代理店などのサポートを受ける必要があります。
Amazon広告の費用・予算の目安
Amazon広告は、広告タイプによって料金体系が異なりますが、例えばスポンサー広告の場合、1クリックごとに課金される「クリック課金(CPC)」と、1,000回表示されるごとに課金される「インプレッション課金(CPM)」の2種類があります。
スポンサー広告それぞれの課金形式・費用相場は次のとおりです。
広告の種類 | 課金形式 |
スポンサープロダクト広告 | ・クリック課金 |
スポンサーブランド広告 | ・クリック課金 ・インプレッション課金 |
スポンサーディスプレイ広告 | ・クリック課金 ・インプレッション課金 |
スポンサー広告のクリック課金の相場は、1クリックあたり数円~数百円、インプレッション課金は1,000回表示あたり数百円が目安です。1日あたりの予算を設定できますが、1ヶ月にわたって平均化されるため、1日の費用が設定した予算より少なくなることもあれば、最大で25%多くなることもあります。
予算の相場は広告タイプによって大きく異なりますが、スポンサー広告の場合、十分な効果を上げるには最低でも1ヶ月あたり20万円ほど必要になるのが一般的です。
Amazon広告の出し方・始め方の種類
Amazon広告を出すための基本的な方法は、次の2種類です。
・Amazonセラーセントラルから出稿する
・Amazon DSP経由で出稿する
それぞれ広告の配信先が異なるため、両方を併用することも可能です。
それぞれの特長や出稿の手順を詳しく解説します。
Amazonセラーセントラルから出稿する
Amazonの出品者が利用する管理画面「セラーセントラル」から、Amazon広告を出稿できます。
セラーセントラルはAmazon広告を利用しない出品者でも利用できますが、Amazon広告のアカウント登録をすることで、セラーセントラルからAmazon広告を出稿できるようになります。
数ステップで簡単に出稿できるので、広告運用が初めての方にもおすすめの方法です。
セラーセントラルを利用するには、Amazonの「セラーアカウント」を保有していることが前提です。詳しい出稿手順については次に解説します。
Amazonセラーセントラルから出稿する手順
AmazonセラーセントラルからAmazon広告を出す基本の流れは、次の4ステップです。
- Amazonセラーアカウントの登録
- Amazon広告のアカウント登録
- Amazonブランド登録
- キャンペーンの作成
まずは、Amazon出品者用のページ(sell.amazon.co.jp)にアクセスし、Amazonセラーアカウントの登録を行います。
出品プランには「小口出品」と「大口出品」の2種類がありますが、Amazon広告を出せるのは大口出品のプランのみです。
次に、Amazon広告のアカウント登録も行う必要があります。
アカウント登録が完了すると、管理画面にアクセスできるようになるため、「キャンペーンを作成する」のボタンから必要項目を入力し、広告を作成します。
Amazon DSP経由で出稿する
Amazon DSPというAmazonの提供する広告配信プラットフォーム経由で広告を出稿する方法もあります。
特に、Amazonストア以外の、幅広いWebサイト・アプリに向けて広告を配信したい場合に適した方法です。
Amazon DSPは、Amazonに出品していなくても利用可能で、Amazonを利用していない潜在的な顧客にもリーチできます。
Amazon DSPとスポンサー広告では配信先が異なるため、両方を併用することでより幅広いユーザに向けてアプローチすることが可能です。
Amazon DSP経由で出稿する手順
Amazon DSPは自社運用も可能ですが、高度な専門知識が求められるため、一般的には広告代理店やAmazon本体のサポートを受けながら運用します。
Amazon本体のサポートを受けたい場合は、公式のAmazon DSPの登録ページにアクセスして、「登録」ボタンからアカウント登録を行います。
出典:Amazon DSP – デマンドサイドプラットフォームを使用したキャンペーンの作成 | Amazon Ads
Amazon本体ではなく広告代理店を利用してAmazon DSPを運用するのもおすすめです。
広告代理店の多くはAmazon広告以外にも様々な広告サービスを扱っているため、総合的な広告戦略を相談できるなど、多くのメリットがあります。
広告代理店経由でAmazon DSPを利用する場合は、任意の広告代理店に問い合わせを行い、提案を受けることからスタートします。詳細は代理店によって異なりますが、基本的な流れは次のとおりです。
- 広告戦略のコンサルティング
- 配信・運用開始
- 効果検証・改善
単に広告の配信・運用だけでなく、前提となる広告戦略を立案するためのコンサルティングや、配信開始後の効果検証・改善もサービスに含まれるのが一般的です。
広告代理店を利用するメリットについて、詳しくは後述する「Amazon広告の導入サポート・運用代行を依頼するメリット」をご参照下さい。
Amazon広告を効果的に運用するためのポイント・注意点
Amazon広告は運用方法によって成果が大きく変わることがあります。高い成果を上げるには、次の3つのポイントを押さえておくことが大切です。
- 商品ページを最適化する
- 季節・セールなども考慮する
- 効果分析・改善を繰り返す
それぞれ詳しく解説します。
商品ページを最適化する
コンバージョン率を高めて広告の費用対効果を高めるために、Amazonの商品ページの最適化は必須です。
またAmazonの自然検索でも上位に表示されるためには、品質の高い商品ページが不可欠です。
具体的には、次のポイントを押さえて商品ページを最適化しましょう。
・商品タイトルに適切なキーワードを含める
・魅力的な商品画像を設定する
・説明文に必要な情報を漏れなく含める
・Q&Aで分かりやすく回答する
・良いレビューを集める
季節・セールなども考慮する
Amazonでは定期的にセールを開催しています。セールの時期はAmazonのアクセス数の増加が見込まれるため、広告の配信効果も高めやすくなります。
あらかじめセール開催のスケジュールを把握しておき、広告の運用計画に盛り込んでおきましょう。
毎年、定期的に開催されているセールとしては、次のような種類があります。
セール名 | 開催時期 |
初売りセール | 1月 |
新生活セール | 3月 |
Amazonプライムデー | 7月 |
Amazonプライム感謝祭 | 10月 |
Amazonブラックフライデー | 11月~12月 |
Amazonサイバーマンデー | 11月~12月 |
年末の贈り物セール | 12月 |
また、商品によっては「季節」を考慮する必要もあります。季節性の商品については時期が終わったら広告の配信が終了するように「終了日」を設定しておくなど、配信時期をよく計画しておきましょう。
効果分析・改善を繰り返す
Amazon広告の効果を最大化するには、配信後の「分析・改善」が不可欠です。
運用開始後は、セラーセントラルのレポート機能などを活用して定期的に効果分析を行いましょう。
クリック率(CTR)・コンバージョン率(CVR)などのデータを見て、効果が低い部分がないか分析することで、改善すべき点が明確になることがあります。
例えば「反応の悪いキーワードを除外する」などの調整を繰り返すことで、費用対効果を高めていくことが可能です。
Amazon広告を導入した企業の成功事例
Amazon広告を導入して、売り上げアップや認知度向上などに成功した企業の事例を参考にしましょう。Amazon広告の公式サイトに載っている事例から、次の3社のケースをピックアップして紹介します。
- ロレアルプロフェッショナル
- ネットギア
- エヌエフ貿易
ロレアルプロフェッショナル
世界最大の化粧品会社として知られるロレアルグループの一部門「ロレアルプロフェッショナル」では、ヘアケア商品の認知度向上・エンゲージメント促進・売り上げ拡大を実現するため、Amazon DSPとスポンサー広告を併用したキャンペーンを行いました。
Amazon DSPでは、動画広告・ディスプレイ広告によって「タイムマシン」をコンセプトに視覚に訴えるクリエイティブを配信し、「1回の使用で2年間蓄積された髪のダメージを補修する」という商品テクノロジーを紹介しました。
スポンサープロダクト広告とスポンサーブランド広告では、「ヘアケア商品の品質を重視するユーザ」をターゲットに、商品の強み・メリットが分かる広告を展開。スポンサーディスプレイ広告では「ヘアケア商品を積極的に探しているユーザ」をターゲットに、認知度向上につながるキャンペーンを展開しました。
結果として費用対効果が32倍以上に達し、認知度向上・エンゲージメント促進・売り上げ拡大といった目標の達成に成功しています。
出典:ロレアルプロフェッショナルのキャンペーンが32倍の費用対効果を達成 | Amazon Ads
ネットギア
米国のネットワーク機器メーカーNetgear(ネットギア)では、従来の広告戦略では対象外になっていた新しいオーディエンスにアプローチしてコンバージョンを増加させるため、スポンサーTV広告を導入しました。
スポンサーTV広告はAmazon DSP広告とは違うオーディエンスに向けて配信できるという特長を利用して、新規ユーザの獲得が期待できる「潜在層」に対して効率的にアプローチしました。
結果、Amazon DSPだけのキャンペーンと比較してインクリメンタルリーチ(新しいオーディエンスへのリーチ)が67%増加し、購入率を2倍に上昇させることに成功しています。
出典:Netgear社によるAMCの活用がブランド新規顧客の急増をサポートする | Amazon Ads
エヌエフ貿易
日本の貿易商社エヌエフ貿易では、従来スポンサープロダクト広告を利用して商品の露出度向上につながるキャンペーンを展開していましたが、潜在層に対してブランドの認知度を高めて新規顧客を獲得するため、スポンサーブランド広告を導入しました。
スポンサーブランド広告を導入するために自社のブランドをAmazonに「ブランド登録」することで、ブランディング目的の広告展開がしやすい体制を構築しました。
Amazon広告を活用して潜在層へのリーチとブランド認知度向上を促進した結果、2018年3月から2022年12月の総計売り上げは80%が新規顧客で、2019年12月から2022年11月までの間に30%の売り上げ拡大を実現しています。
出典:お客様に選ばれ続けるためのスポンサーブランド広告の活用方法 | Amazon Ads
Amazon広告についてよくある疑問
Amazon広告の導入を検討している企業の担当者が抱きやすい、よくある疑問として次の2点の回答をまとめました。
- Amazonに出品していなくても広告を利用できる?
- Amazonでの検索順位に影響する?
Q. Amazonに出品していなくても広告を利用できる?
Amazonに出品していない企業でも、Amazon広告を利用できます。
ただし、一部の広告タイプはAmazonへの出品やブランド登録が必要です。
Amazonへの出品が必要な広告と不要な広告の例は、それぞれ次のとおりです。
該当する広告タイプ | |
Amazonへの出品が必要 | ・スポンサープロダクト広告 ・スポンサーブランド広告 |
Amazonへの出品は不要 | ・スポンサーディスプレイ広告 ・スポンサーTV広告 ・Amazon DSP※ |
※Amazon DSPとスポンサー広告では、広告の配信先が異なります。
Q. Amazonでの検索順位に影響する?
Amazon広告を利用しても、Amazonに出品している商品の検索順位に「直接的」な影響はありません。ただし「間接的」には検索順位に影響することがあります。
Amazonでの検索順位は「販売数」「評価・レビュー」などが影響しますが、広告によって売り上げが増え、良い評価・レビューが集まることで、検索順位の上昇が期待できるためです。
Amazon広告の導入サポート・運用代行を依頼するメリット
Amazon広告の導入・運用は、自社で取り組むことも可能ですが、広告代理店に依頼することで次のようなメリットがあります。
- 戦略面のコンサルティングが受けられる
- 運用担当者の負担を軽減できる
- 分析・改善の提案を受けられる
- 最新機能・トレンドについて情報が得られる
特に、初めてAmazon広告に取り組む企業にとっては、「コンサルティング」「分析・改善の提案」を受けることができ、最新機能・トレンドなどの情報が得られることが大きなメリットでしょう。
また広告運用のリソースが限られている企業にとっては、代理店に代行してもらえることで担当者の負担を軽減できる点がメリットです。
まとめ
Amazon広告は購買意欲の高い層に配信でき、Amazonの購買データなどを使ったターゲティングができるなど多くのメリットがある広告配信サービスです。
代表的な4種類の「スポンサー広告」のほかにも、様々なタイプの広告ソリューションがあり、目的に応じて使い分けることができます。
Amazon広告は自社運用も可能で、例えば「スポンサープロダクト広告」は初めてでも簡単に導入できます。ただし高い成果を上げるには専門的なノウハウが求められるため、必要に応じて広告代理店などのサポートを受けるようにしましょう。