バナー広告は、街頭のポスターや交通広告と違い、1クリックさせる事で伝えたい情報にすぐにリーチさせる事ができる広告手法です。潜在的なユーザへのファーストタッチはもちろん、顕在的なユーザと特定した後に、リターゲティングとしてユーザの目に常時触れさせる事ができます。
一方で、ユーザのネットリテラシーも年代問わず日増しに向上しており、バナーを目にする機会が増えるほどに、無視する事にも慣れてきています。
無視されないためにはどうするべきか。バナーを制作するクリエイティブチームは、日々頭を悩ませています。効果が上がるバナーデザインを作るためにも、そもそものバナーの目的とネットサーフィン中のユーザの思考を整理し、理解しておく必要があります。
本稿ではユーザのクリックを獲得するために、バナー広告に持たせないといけない3つのデザイン(コピー)要素をお伝えします。
目次
バナー広告の役割とは?-ユーザにクリックを促すこと
バナーに求められるのは、ユーザの目に触れた(画面に表示された)表示回数ではなく、クリック回数(CTR)です。バナー広告でサービスのすべてを知ってもらう必要はなく、それはクリック後にユーザが見るページ、いわゆるランディングページの役割となるのです。
バナー広告に持たせないといけない3つのデザイン(コピー)要素
ユーザのクリックを獲得するために、バナー広告に持たせないといけないデザイン(コピー)要素が3つあります。
- attract attention(注意を惹きつける)
- generate interest(興味をかき立てる)
- ask for the click(クリックを促す)
これら3つの要素が完全に満たされていれば、クリックしてもらえる可能性がある良いバナーデザインという事になります。いかに美しいデザインを施したとしても、これらの要素を満たしていなければ、クリックされないバナー、つまり、まったく効果の上がらないバナーとなってしまうでしょう。
では、それぞれをどのように表現していくべきなのか、ネットサーフィン中のユーザの心理を考えながら見ていきましょう。
【バナーデザインのポイント1】“注意を惹きつける”ためにターゲットコールを目立たせる
バナーは、ユーザが開いているページ上に表示されます。多くの場合ユーザは、何かしらの目的や興味・関心を持って、そのページのコンテンツを閲覧しているはずです。バナーに持たせる「気づき」は、それらの「今見ているもの、読んでみるもの」から、興味を剥がす力を持っている必要があります。
このように書くと、とても難しい表現が必要で大変そうですが、我々が良く実践している手法で「ターゲットコールを目立たせる」ようにする事です。これは、とてもシンプルな施策ですが、ユーザに瞬時に気付きを与える事ができます。
例えば、商品が「マンション」だった場合は、「マンション購入を検討中の皆さま」とバナー上部にデザインを施します。そのほか、転職サイトなら、「広告代理店にお勤めの皆さま」「IT業界にお勤めの皆さま」など、その職業の名前を明記します。ホテルなどであれば、「温泉旅行を検討している方」など、これらは極端にシンプルな例ではありますが、できるだけ単純明快に表現する事が重要です。わかりやすくする事で、「あ、これは私のための(私が興味がある事の)バナーだ」とユーザが、瞬時に判別可能となります。
文字によるターゲットコールに加えて、写真のイメージも含めたデザインにすれば、より強く注意を惹きつける事もできます。ただし、写真は非常に具体的な認識をユーザに与えるので、人それぞれの認識や価値観が様々であるという事を意識する必要があります。ある人の認識とマッチしたとしても、別の人にとっては、商品に対する認識が違う場合があります。そのためイメージ選びには、十分に注意が必要です。
ターゲットコールとなりえるイメージがはっきりしない場合は、文字によるターゲットコールをいかに読ませるか、に注力してバナーのデザインを考える方が得策と言えるでしょう。
【バナーデザインのポイント2】興味をかき立てるバナーデザインはコピーが重要!
ユーザの興味をページ上のコンテンツから、バナーに持ってくる事ができたら、そのユーザは既に商材に興味を持っている人の可能性が高いと考えられます。すぐに元のコンテンツに戻ってしまわないように、ユーザの興味をかき立てる内容を加えます。デザインとしては、メイン部分になります。ここでありがちな誤りは、「良い感じの情緒的な広告コピー」を入れてしまう事です。弊社のこれまでの実績から、情緒的な方向性では、なかなかユーザの興味をかき立てられないケースが多いと考えています。文言であれば、ユーザメリットをはっきりと記載したり、クリック後にユーザメリットがある事を喚起させるのが重要です。
また、この部分は3番目のask for the click(クリックを促す)と連動して内容を考える事が重要です。「もっと見たい」「もっと詳しく知りたい」と思わせれば、クリックを獲得する近道となります。そのため、「もっと見たい」「もっと詳しく知りたい」の内容としてヒキの強い表現(訴求内容)を考える事が重要となります。
また、リターゲティングの機能を使って顕在的なユーザの画面に表示され始めると、表示回数(インプレッション)が増えるので、ユーザにもすぐに飽きられてしまいます。飽きられてしまうとクリック率も低くなるため、バナークリエイティブの運用は、この訴求内容が飽きられないように、日々あの手この手でアプローチを変えてデザインを新しくしていく事も必要となります。
【バナーデザインのポイント3】バナー上にクリックできそうな場所を作る
クリックを促すには、「詳しくはこちら」という疑似的ボタン(CTAボタン)をバナー内に置くことが基本中の基本となります。メインの訴求に興味を持っていれば、後は一押しです。バナーは通常1枚の画像ですが、まるでボタンがあるかのように見せて、「クリックする」というアクションを想起させればバナーの役割は終了します。あとはすべて、この基本の応用となり、②番目の訴求ポイントと連動してクリック誘導の方法を変えていきます。
何かお得な条件を訴求ポイントに置いた場合は、「さらにお得な条件はこちらから」「お得な条件を今すぐ見る」などで、ボタン風にデザインします。「クリックして今すぐ見る!」のように直接的な表現で誘導するのも良いでしょう。これらは例となりますが、とにかくクリックをはっきりと想起させるデザインである必要があります。
まとめ。クリックされるバナーに優れたデザインは必要ない!?
前述のとおり、「注意を惹きつける」「興味をかき立てる」「クリックを促す」。この3つの要素を満たす事が、クリック獲得できるバナーデザインには必須となります。基本的には、これら3つの要素をデザイン上それぞれ個別に満たしていく形が最もシンプルな考え方ですが、一枚の写真やコピーで、2つの要素を担うこともあったり、3要素の担保の方法は様々です。
とにかく、ターゲットコールのみを全面に打ち出すバナーや、興味をかき立てる要素とターゲットコールの要素を兼用させたバナーなど、コピーの作り方とデザインのやり繰りでバリエーションを作り、実際に運用しながら勝ちパターンを探っていきます。バナーデザインにおける優れたデザインとは、必ずしも美しいデザインとは限りません。
どれだけ綺麗に作り込んでも、クリックされないバナーも多々存在します。バナーの役割を再度定義し、3要素をうまく表現するデザインを目指すことが重要となります。