Webマーケターの皆さんが日々の活動の中で、何となく感じていることや気になっていることを、20万人ものモニタの行動ログからひも解くインターネット市場調査定期レポート。
第2回の今回は、「まとめサイト」についてです。NAVERやnanapiなど、検索からまとめサイトにたどり着くケースも多くなっています。これらの利用状況などをご報告します。
■分析概要
全国の20万人規模のモニタ会員の協力により、ネット行動ログとユーザ属性情報を用いたマーケティング分析サービス「VALUES eMark+」を使用し、2015年2月度の各サイト訪問者数を集計。
また、ユーザが情報収集・編集・投稿した記事をテーマ別に集約した「まとめサイト」について、ランキングを作成。
上位サイトについて、2014年12月~2015年2月のサイト訪問者の属性、アクセス時間帯、流入元構成、
LP(ランディングページ)を分析しました。
※サイト訪問者数はPCからのアクセスを集計
※「まとめサイト」と「カテゴリ」はヴァリューズが独自に定義
■結果
NAVERまとめ・nanapi・MERYにみる、コンテンツマーケティングの集客構造
~「まとめサイト」ユーザ数ランキングと人気コンテンツ~
■ユーザ数では「NAVERまとめ」が他を圧倒するも、対前年比では「MERY」や
「Rettyグルメ」が躍進
■集客は広告ではなく自然検索流入がメイン。季節感や深層心理を
タイミング良くとらえたコンテンツが人気
■考察サマリ
◆ユーザ数では「NAVERまとめ」が他サイトを圧倒。対前年比では、「MERY」、
「Rettyグルメ」も伸長!
2015年2月度の「まとめサイト」のサイト訪問者数と前年同月比を集計したところ(表①)、
「まとめサイト」訪問者数ランキング第1位は「NAVERまとめ」で、他サイトを圧倒していました。
第2位は、「暮らしのレシピnanapi」ですが、前年同月比:68%と上位サイトの中では唯一前年比がマイナス。
一方、前年からの伸び率が高いサイトは、第3位「女子向け情報まとめ MERY(メリー)」(前年同月比:312%)、第4位「Rettyグルメ」(前年同月比:299%)となっています。
女性ターゲットのファッション・メイクのトレンド情報や、「Retty」のような実名によるクチコミグルメ情報、「iemo」のようなインテリア・DIYに特化したサイトなど、特定ジャンルを強化したまとめサイトが直近ではユーザ数を伸ばしているようです。
◆サイトごとに異なるユーザ属性やアクセスされる時間帯
- MERYは女性が約7割。nanapiのアクセスピークは午前中とお昼過ぎで夜間は減少
前述の「まとめサイト」訪問者数ランキング(2015年2月度)」での上位サイトについて、2014年12月~2015年2月の3ヵ月間のサイト訪問者の性別を集計したところ(表②)、「NAVERまとめ」は男女比が半々、「nanapi」は女性が59%と若干多く、「MERY」では女性が70%を占めていることがわかりました。
また、各サイトのアクセス数を時間帯別に見てみたところ(表③)、「NAVERまとめ」「MERY」は21時以降の夜間のアクセスが多くなっていました。
一方、「nanapi」では午前中と午後14時~17時にアクセスの山が分かれており、夜はアクセス数がさほど伸びていません。「nanapi」は料理やスイーツに関するコンテンツが豊富で、主婦層がおやつや夕食作りの参考にしている様子がうかがえます。
表②
表③
「まとめサイト」は全体として伸びており、この結果を踏まえると、今後のデジタルマーケティングにおいて、「まとめサイト」をうまく活用したプロモーション施策も重要になってくることが予想されます。
また、販売する商材によってもプロモーションに活用する「まとめサイト」の使い分けも必要です。
◆「まとめサイト」はオーガニック検索からの集客がほとんど
「まとめサイト」の集客状況を調べてみました。2014年12月~2015年2月の3ヵ月間で、上位3サイトの流入元を調査し、「一般広告」「リスティング広告」「自然検索」など流入元の構成比を比較してみました(表④)。
各サイトとも、「自然検索」の比率が高く、「NAVERまとめ」「MERY」では「自然検索」からの流入が
80%以上になっています。
ユーザが新しいコンテンツを投稿する仕組みのため、旬のキーワードを盛り込んだページがストックされ、「自然検索」からの流入されやすい構造になっています。
同じ検索でも「リスティング広告」からの流入は、各サイト共に皆無です。その他の広告経由の流入もあまり見受けられません。広告媒体に出稿をせずとも、「自然検索」流入や、ブラウザのお気に入り経由、facebookなどのSNS経由など、無料の集客施策で効率良くユーザを集客していることがわかります。
尚、「nanapi」は「外部サイト」からの流入比率が43%と、他サイトに比べて高くなっています。流入元のドメインは「www.yahoo.co.jp」が多く、「Yahoo!JAPAN」でコンテンツを取り上げられたことが流入増につながったようです。
表④
◆各サイトの人気コンテンツは?季節に関連するページにアクセス集中
どのようなコンテンツがユーザに人気なのかを計るために、各サイトのLP(ランディングページ)について、2014年12月~2015年2月の3ヵ月間でユーザ数を集計しました(表⑤)。
※TOPページは対象外
「NAVERまとめ」では、毎年恒例の年賀状ニーズをしっかり掴んでおり、TOP3は2015年未年の年賀状テンプレートや、羊の無料イラスト・素材集のまとめコンテンツとなっていました。
年賀状の発送枚数が年々減っている中でも、まだまだ根強いコンテンツのようです。
「nanapi」では意外と知られていないトイレのマナーや、年間50万円貯める方法、寄せ鍋をリメイクした炊き込みご飯の作り方など、日常生活におけるちょっとした知恵やコツなどのコンテンツが上位を占めていますが、寄せ鍋はやはり季節感を反映しています。
「MERY」では、海外で人気、国内でも女の子の間ではやったゴムアクセサリー「Funloom(ファンルーム)」の紹介・作り方や、編み込みヘアアレンジのコツを紹介したまとめなど、女子目線でトレンドをおさえたコンテンツが人気です。
ジャンルは多岐に渡っていますが、いずれも季節感や消費者の深層心理をタイムリーにとらえたコンテンツラインナップとなっています。
「まとめサイト」の中にはプロモーションに活用できるメニューやサービスを展開しているところもあります。下にいくつか紹介しますので、自社のプロモーションに活かしてみるのもいいのではないでしょうか?
【NAVERまとめ】
「NAVERまとめ」にはタイアップの広告があります。NAVER編集部の人間が、貴社の商品・サービスについて、Web上のあらゆる情報をリサーチし、ストーリー立てた上で、記事を構成し、商材の必要性を訴求します。
この広告は「NAVER編集部の人間」が記事を書くことが重要なポイントで、「NAVERまとめ」を閲覧しているユーザは「NAVERまとめのテイスト」を気に入っていて、その書き方(まとめ方)によってスッと情報が入ってくるという特長があります。その書き方を熟知している「NAVER編集部の人間」が記事を書くことにより、より貴社商品・サービスが自然な形で訴求されます。
比較的高額な商品なので直接的な販売や会員獲得には向いていませんが、商品・サービスの啓蒙はもちろん、他のまとめサイトや普段SNSから訴求できない層からのサイト流入と、NAVERまとめを見て検索をするユーザも多くなっており、間接的な効果も期待できます。
主に新サービスや、内容が難しいサービス、旬な話題の場合は効果が高いため、おすすめです。
【nanapi・MERY】
「nanapi・MERY」にも「NAVERまとめ」同様のタイアップ広告があります。「nanapi・MERY」の「まとめサイト」はNAVERに比べても女性比率が高いため、女性向けのタイアップ記事が多いのが特長です。明らかな女性向け商材の場合は親和性が高いです。
料金などの違いもありますが、基本はサイトのテイストが自社商品・サービスに合うかどうかで判断してください。
急速にユーザ数を伸ばす「まとめサイト」。普段情報が届かない層へのアプローチのため、おすすめします。
【調査データ提供】
株式会社ヴァリューズ
VALUESが事業支援のためのソリューションとして立ち上げたサービスの1つが『ネット行動分析サービス』です。これは20万人規模の一般ユーザのPC上での行動ログとデモグラフィック情報を活用した、次世代のマーケティング手法です。