5つのリードジェネレーション手法と成果を出すための選び方|ウェブ部

5つのリードジェネレーション手法と成果を出すための選び方

BtoBマーケティング

「質」か「量」か…リードジェネレーション手法を悩ましくするトレードオフ問題とは

 「リードジェネレーション」が、主にBtoBマーケティング領域には欠かせない要素であるのは周知の通りであり、既に実践している企業も多い。そんな中、常に販売促進策を検討する際に悩ましいことは、「リードの「質」を取るか「量」を取るかのトレードオフ問題」ではないだろうか。

最も大きな成果(≒商談獲得、売上貢献)に繋げるためには、リード数は多ければ多いほどよい。取引が高額になりがちなBtoBビジネスにおいては特に、1件の商談化顧客を開拓するためにはその何十倍、何百倍もの芽出しリスト(≒リード)が必要になることが多い。
しかし、プロモーションの受益者に当たる営業にとっては「商談になかなか繋がらないリードを大量に渡されても困る!」となりがち。1人の営業の限りあるリソースを最大限に活用するには、商談化しやすい、質の高いリードへのフォローに集中することができるかが重要になるということも事実である。
こうして、プロモーション担当の努力によってリードの量は確保できても、営業からすると「なかなか商談化しないリード」としてフォローが後回しになり、結果としてプロモーション施策が成果につながらない、という悪循環が大小の差こそあれど筆者の顧客のほぼ全てで起こっているといっても過言ではない。

 本稿では、こうした特にBtoBビジネスを展開する企業の多くが直面しているであろう「リードジェネレーション、「質」と「量」トレードオフ問題」にスポットを当て、プロモーション実施前にしっかり定めておくべきことから、実際の手法の使い分けまで、実際の顧客の例を交えながらご紹介したいと思う。

【大前提】目指すリードの「質」を定義し、営業(以下フォロワー)と事前認識をすり合わせる

 とある企業向けセキュリティ製品販売会社の実際の事例を見てみよう。同じ商品を今までと同じメディア、今までと同じような形で、プロモーションを実施した際、ある1つのプロセスの進め方を変えただけで、突然リードからの商談化率が大幅に向上する、という夢の様なことが起こったことがある。
何を変えたのかというと、「プロモーションの原稿制作にフォロワーが参加した」だけ。
その企業は、プロモーション担当とフォロワーが完全に分業体制で存在しており、プロモーション担当はフォロワーの業務を止めないためにもとにかく量にこだわった展開を行っていた。しかし、このときは原稿内容に詰まってしまったことからフォロワーである営業にアドバイスを求めたのがきっかけで原稿制作そのものに営業が参加することになったのだった。
その結果、原稿の狙いを正確に把握した営業が、「この内容に反応するということは、こんな考えの問い合わせが多そうだな」とイメージが正確になり、結果としてリードフォローのコールスクリプトを自発的に変更することに繋がった。

  たったそれだけの変化なのに、商談化率は従来の2倍近くに跳ね上がっていた。
(もちろん、原稿内容が良くなったので優良リードが入り込みやすくなった影響ということもありえるが)
上記の顧客以外でも、プロモーション担当の意図がフォロワーに伝わっていないことはかなり多い。あるいは逆に、フォロワーの状況を汲み取らず、対応しきれないような形のリードジェネレーションになってしまっていることが少なくない。

 最適なリードジェネレーション手法を選択してより高い成果を出すためには、まずは社内コミュニケーションの円滑化が非常に重要だ。どこまでの「質」を期待できるのか、どこまでの「量」をこなせるのか、まずは相互理解を深め、共通のGOALイメージを設定することが大切。そしてそれを1度で終わらせず、実際の結果と見比べてより正確なGOALイメージとなるまですり合わせを継続することで、リードジェネレーションで失敗するリスクはだいぶ軽減されてくるはずだ。

 こうした相互理解を育むために、プロモーション担当としては様々なリードジェネレーション手法の相場感や、実施後どのような「質」「量」のリードが期待できるのか、幅広い知識を持っていることが望ましい。
そこで今回は、一般的なリードジェネレーション手法を5種類取り上げ、特にその「質」と「量」についてまとめてみようと思う。

主だったリードジェネレーション手法5種類のメリット・デメリット

リードジェネレーションを目的でのプロモーション施策のうち、一般的な手法を5種類取り上げ、そのメリットデメリットを整理したい。

①    リスト購入+テレマーケティング
②    ダイレクトメール(以下DM)・FAX配信
③    メディア広告
④    セミナー開催
⑤    展示会出展

①    リスト購入+テレマーケティング

 【メリット/期待できること】
・「営業訪問先」をダイレクトに獲得できる
・フォロワーにあまり負担をかけずに取り組むことができる

 【デメリット/リスク】
・顧客名簿購入に関する世間のマイナスイメージ
・アポ取得単価が高騰になりがち

 直接訪問できるアポイント取得を営業のリソースを使わずに実現するのだから、質の高いリードジェネレーション手法と評価し、常時フル稼働させている企業も少なくない。
しかし、見知らぬ企業から突然電話がかかってくることに顧客から強いアレルギー反応を示されることがあったり、昨今も頻発する個人情報漏洩事件などの影響で、リスト購入に関する世間のイメージは芳しくないことについて十分に注意する必要がある。
また、リスト購入費用+外部のテレマーケティング会社への委託費用を合わせると、1件のアポイント取得に5万円~10万円以上かかってしまうことがあり、コスト効率が妥当かどうかはきちんと判断する必要がある。

②    DM・FAX配信

 【メリット/期待できること】
・自社ハウスリストの掘り起こしに活用できる
・FAX送信の配信単価は非常に安価

 【デメリット/リスク】
・顧客からのリアクション率は低く、量を獲得することには向かない
・FAX配信では顧客からのクレームに繋がることがある

 BtoBのプロモーション手法としてもDMは古くから存在しており、最近フォローしていない古い営業リストの情報が活きているかを確かめるべく、メールで反応しない方向けの掘り起こしなどにも活用することがある。FAX配信によるDMも健在であり、狙いたいターゲット層に対して高い確率で情報を送ることができ、それでいて1件配信単価が数円とかなりコストが安くなっている。
ただし、リードジェネレーションの手法としては、配信後に顧客の方からのアクションを起こしてもらう必要があるが、その数はあまり多くない。実施単価が安い分、獲得単価は安く収まることもありえるが、量を獲得するのが目的だとすると少し厳しい。また、FAX配信の場合は、顧客のFAX用紙を使っての告知に対して、わずかではあるが一定数のクレームが入ることがあるため、その対応も必要になることは実施経験のある方は皆ご存知のことであろう。

③    メディア広告

【メリット/期待できること】
・短期間で量を確保しやすい(数十~数百件程)
・メディアの特性やセグメント手法次第で、ある程度、条件を絞ったリード獲得が狙える

 【デメリット/リスク】
・数あるメディア毎の特徴、最適な掲載方法に関する知識が求められる

会員情報を保有しているメディアに対して広告を出稿して問い合わせを獲得する手法。リードジェネレーションとしては2000年代初頭より一般的に行われている。純広告やホワイトペーパーダウンロード用のコンテンツを作成し、メールやバナーなどからその広告へ流入させる形を取るものが現在主流となっている。
メディアの特性によっては、自社の狙いたい顧客イメージに近いリードを集中して取り込めるような利用方法を練ることも可能だが、それには数あるメディアの様々なサービスメニューの特徴に関する知識が求められる。
媒体メニュー次第と掲載を希望する商品ジャンルによって変動するが、1プロモーションあたり50万円~150万円程で約2ヶ月掲載、リード1件あたりの獲得単価は5000円から1万円程が相場となっていることが多く、リード量を確保するために間を空けずに利用し続けている企業も少なくない。
もちろん、メディアの情報は「なんとなく」見ているユーザーも多いため、獲得したリストのうち営業に繋がるような熱い案件が取れるかについては、過度な期待は禁物。とりあえず資料をダウンロードしておこう、と思っているリストが多いこともきちんと理解しておく必要がある。

④    セミナー開催

【メリット/期待できること】
・購買意欲の高いユーザーの含有率が他手法に比べて高い
・直接対話することも可能なので、リードの質に関してある程度正確に把握できる

 【デメリット/リスク】
・集客、会場押さえ、事務局など運営にパワーがかかる
・コンテンツに魅力がないと、参加者が集まらず徒労に終わるリスクがある

自社でセミナーを企画し、外部の会場、あるいは自社の広めの会議スペースに見込み顧客を集めることを行う企業も多い。参加者はわざわざ時間を割いてまで会場に足を運んでいるということで、検討意欲が高く、具体的な案件になりやすい方が含まれやすいと言われている。
また、電話やメール、Webページで説明するよりも口頭で説明でき、かつ来場者の疑問にも直接回答することも可能なため、より深くユーザーの理解を得ることができる。
ただし、開催そのものにパワーがかなりかかる。例えば、申し込みがあった際の受講票の送付、当日は会場に数名張り付けた事務局としての運営など、コスト換算すると安くはない。一連を代行会社に依頼することも可能だが、その場合は数十万円単位のコスト増を見込む必要がある。
そして何より肝になるのは「直接出向いてでも拝聴したい!」と顧客に思わせるコンテンツを用意できるかどうか。コンテンツの魅力に欠けたセミナーでは全く参加者が集まらず、徒労に終わってしまう。

⑤    展示会出展

 【メリット/期待できること】
・数日間で膨大なリード数(数百~数千件程)を獲得できる
・短時間ながら直接顧客と対話できるため、優先順位の判断がつきやすい

 【デメリット/リスク】
・展示会開催時期に合わせる必要がある
・出展に必要な総額が高く、スモールスタートができない
・同業者の情報収集目的の人が多く紛れ込みがち

 展示会は運営会社が会場や集客を行ってくれるし、また規模が大きいものが多く、名刺を大量に獲得することができる。毎年、国際展示場で開催されている業界最大級のイベントに出展している企業からは「開催3日間合計で数千枚単位の名刺を確保した」という話をよく耳にする。また、説明員が実際に来訪した方に直接説明することができるので、真剣に購入を検討している方かどうかなどコミュニケーションを通じて把握できるという点も良い点としてあげられる。
しかし、展示会は参加費用が高くなりがちで、それなりの見栄えで展示をしようと思うのであれば数百万から数千万円単位での出費が必要になる。また、展示会にも当たり外れがあったり、天候によっては参加者が大幅に減るなど、どうしても開催当日にならないと効果が予測しにくいこともリスクとして存在する。
更に展示会出展企業から必ずと言ってよいほど聞くのが「名刺交換した人の多くが同業他社の情報収集だった」ということ。筆者がよく知っている顧客には、感覚的だが「獲得した名刺の7~8割は同業」とこぼす方もいた。説明員も名刺をもらって「同業だ」と確認するまでは説明をやめるわけにもいかず、その点も実施する前段階で把握しておくべきことである。

まとめ 

今回、リードジェネレーションに関するトレードオフ問題から、基本的な5種類の手法のメリット・デメリットを改めて確認することで、自社にとって最適なプロモーション施策とは何かを改めて再考する一助となれれば幸いです。
リードジェネレーションには今のところ「これが正解」というシンプルな答えは出ていない。また最近では様々なプロモーション手法を組み合わせたクロスメディア型のリードジェネレーションに挑戦する企業も増えており、多様化が進んでいる。
たとえば、展示会やメディアで大量に獲得したリードに対してセミナー情報を送って呼びこむことで商談化率の高いリードを選別することへ挑戦することや、自社のWebサイトのコンテンツを充実させ、様々な手法で取得したリードに対して自社メールマガジンなどによる顧客醸成(リードナーチャリング)に力を入れる企業など。
ますます、自社にとって本当に必要なリードの質と量はどのようなものか、狙いをしっかりとセットすること、ならびに狙ったリードを的確に取得するために最適な手法は何か、あるいはどんな組み合わせか、またどのようなターゲットにどんなメッセージを伝えると良いか、しっかりと検討しておくことが今後も求められるだろう。

 

 

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