LINE Ads Platform(LINE広告)とは?(1)その概要と最新のトレンド|ウェブ部

LINE Ads Platform(LINE広告)とは?(1)その概要と最新のトレンド

ディスプレイ広告

LINE Ads Platformは、LINE株式会社が提供している広告配信プラットフォームで、バナーをクリックした場合に料金が発生するクリック課金で広告を配信できます。出稿した広告は、LINEのニュースやタイムラインを配信面として表示されます。

企業の集客担当者の方の中には、運用型広告の頭打ちに悩む方も少なくありません。LINE Ads Platformは、既存メニューとは異なる切り口で幅広いターゲット層にアプローチすることができ、集客のみならず販売促進にも効果的です。しかし、比較的新しいサービスであるため、運用の効果を出すには、サービスのメリット・デメリットをはじめとした基本的な特長を把握しておくことが重要です。

そこで、LINE Ads Platformについて、「概要と最新のトレンド」「効果的な運用方法」「効果のあった改善事例」の全3部構成で紹介します。今回は、LINE Ads Platformの概要、そして、最新のトレンドをお伝えします。

1.LINE Ads Platform(LINE広告)の特長

広告には、広告の表示回数によって費用が発生するインプレッション課金や、広告主の商品やサービスが成約された段階で費用が発生する成果型課金といった課金形態のほかに、ユーザが広告をクリックした段階で費用が発生するクリック課金など様々な出稿形式があります。クリック課金は、リスティング広告などで用いられていることからもWeb広告を出稿されている方には、なじみ深い課金形式です。
LINE Ads Platformは、国内でも屈指のMAU(Monthly Active Users)を誇る LINE上に、クリック課金で広告を表示することのできる広告プラットフォームです。

LINE Ads Platformの特長を下記の3点を軸に説明します。

  • インフィード型
  • 幅広い利用層
  • 最低入札単価は24円から

インフィード型

LINE Ads Platformはネイティブアド(自然な広告)と呼ばれる「インフィード型」を採用しており、LINEのタイムラインやニュースのコンテンツの間に広告が表示されます。

出典:LINE Ads Platform 2018年1-3月期 媒体資料

コンテンツ利用時、自然に目に入るようなユーザ体験になっているため、広告であることをあまり意識させない形でユーザにアプローチすることが可能です。2018年2月時点では、LINEマンガやLINE BLOGなどの配信面にも表示されるようになっていますが、大部分の配信面はタイムラインとニュースが占めています。

また、配信素材は「静止画」と「動画」の2種類に対応しており、用途に応じてクリエイティブを活用することができます。

幅広い利用層

LINEはタイムラインのMAUが6,800万人以上(出典:2019年10-12月 媒体資料 Ver.1.0)を誇る国内最大規模のSNSです。 国内SNSの利用率は、次の図のとおりです。

出典:【LINE Ads Platform】媒体資料10-12月_ver.1.0

これらのSNSにはそれぞれタイムライン機能がありますが、単一のSNSを使用しているユーザや、複数のSNSを同時に活用しているユーザなど、使用方法は多岐にわたります。その中で、LINEのタイムラインのみを利用しているユーザは「17.1%」と非常に高い割合を占めており、TwitterやFacebookなどほかのSNSと比べて「それだけ」を使っているユーザ比率が高いのが特徴です。

また、LINEのタイムライン利用ユーザ全体で見た場合、男女比ではやや女性の比率が高い傾向にあります。年代別では、満遍なく幅広い年齢層が利用していることが見て取れますが、その中では20代~30代の占める割合が比較的高くなっています。

LINE Ads Platformの最低入札単価は1クリック24円から

LINE Ads Platformの1クリックあたり入札単価は24円(2018年2月現在)からと決まっていますが、運用した結果、実際のCPC(クリック単価)が最低入札金額よりも低い金額になることはあります。同様に入札金額に制限のあるCriteoでは、CPCが最低入札金額以下になることはないことと比較すると、最低入札金額の条件はあるものの、運用方法しだいでは低単価で配信することができるのが特長です。もちろん逆を返せば、画像や動画などのクリエイティブ改善を疎かにすると効率的な配信が難しくなるということでもあります。また、配信時の他社入札状況によっては、入札単価を低くしすぎると広告が表示されないケースがあるため注意が必要です。

 実際のCPCの相場は業界ごとで異なるものの、LINE Ads Platformの最低入札単価に大きな差は見られません。

※LINE Ads Platformの概要についてはこちらもご一読ください。

2.ほかのSNS運用型広告と比べたLINE Ads Platform(LINE広告)のメリット・デメリット

LINE Ads Platformは、Facebook広告やTwitter広告と比べて機能面に違いがあることに加え、活用方法を考える上での特長も異なります。既存のSNS運用型広告を含めて運用する場合は、それぞれの違いを把握しておく必要があります。

ここでは、LINE Ads Platformを中心にメリット・デメリットに分けて説明します。

LINE Ads Platformのメリット

LINE Ads Platformの最大のメリットは、TwitterやFacebookなどほかのSNSをあまり利用していないユーザ層にアプローチできる点です。

前段でも述べたLINEタイムラインのMAU6,300万人 に対して、Twitterは4,500万人と大きな差があり、大前提として他のSNSと比べて非常に多くのユーザが利用しています。さらに、これも繰り返しになりますが、SNSの中でLINEのみを利用しているユーザの比率は高いため、他の手段ではアプローチしにくい層に対しても情報を伝えられる、という意味では大きなメリットといえます。

また、最近ではSNSをそれほど使用することのない高年齢層が、メールの代わりとしてLINEのトークを使用しているケースも少なくありません。つまり、ITリテラシーがそれほど高くない層に浸透していることも、LINEという配信面を効果的に活用する上で、知っておくべき特長です。

加えて、ユーザの高い反応率もメリットの1つです。LINEは主要なSNSの中でも、ユーザが企業アカウントをフォローしやすいという特長があります。その結果、ユーザのタイムラインには「友だち」となった企業の公式アカウントの情報が日常的に流れている中に、配信された広告が混じって表示される形になります。ユーザはその2つをそれほど区別していないケースが多いため、他のSNSと比べて広告に対してそれほど抵抗感なくクリックすることができます。広告と意識させることなく情報を伝えられるのは、広告効果を高める上で大事な要素となります。

また、LINEのタイムラインとニュースはワンタップで移動できるため、トークだけ使用している中でも気軽にタイムラインやニュースを見られるという機能もユーザの高い反応率に貢献します。

つまり、「幅広い年齢層のユーザにアプローチできる点」「そのほかのSNSと比べて広告への抵抗感が少ない点」が連続的に効果をおよぼすことによって、今までアプローチしきれなかった層への波及効果、つまりは新規ユーザに対しての高い獲得率の実現がLINE Ads Platformを活用することの魅力なのです。

LINE Ads Platformのデメリット

しかし、LINE Ads Platformにもデメリットはあります。その1つは、ターゲティングに使用できるユーザの属性セグメントがほかのSNS広告よりも少ない点が挙げられます。 例えば、性別や年齢といった一般的なセグメントはLINE Ads Platformでも活用できますが、指定したユーザのフォロワーに対して広告を表示できるハンドルターゲティングというTwitterの機能や、学歴や結婚の有無、住所といった実名登録に基づいたFacebookの詳細ターゲティング機能などの独自のターゲティングは今のところありません。ただし、LINE Ads Platformはサービスが提供されてからまだ2年ほどしか経過していないため、今後は機能が充実することも考えられます。

LINE Ads Platformは、新しいリリースが頻繁に行われており、また、SNS領域自体もトレンドの移り変わりが早いため、今デメリットであることが、いつの間にか強みになっていることもあれば、逆に、利用者のトレンドによっては現在の優位性が保てなくなる場合もあります。常に最新のトレンドを把握しながら、企業の目的に応じてそれらを取捨選択することが重要です。

3.LINE Ads Platform(LINE広告)の利用を検討すべき状況

新しい広告メニューを検討する機会は数多くありますが、その中でLINE Ads Platformを利用するべきなのは、新規ユーザつまりは潜在層の獲得が必要なときなどです。ほかのSNS運用型広告と比べて、サービス提供開始からの期間が浅いため、配信実績の数では劣りますが、最近の運用ではブランディングのみならず、直接的な販売促進にも効果があるということが周知されつつあります。
例えば、コスメティック業界の企業では、LINE Ads Platformの実施前と比べて売上が25%も増加した事例があります。さらに、新規ユーザの獲得率は実施前と比べて15%増加した事例もあります。ディスプレイ広告などの場合、新規ユーザへのアプローチを狙って出稿した場合も、実際には他媒体と重複した結果、総数で見るとそれほど伸びなかったというケースがあります。しかし、今回の事例では、LINE Ads Platformを実施したことで他の媒体との重複がない純粋な新規のユーザにアプローチできたため、このような結果につながったと考えています。

また、前段でも述べたようにLINE Ads Platformの機能は日々進化してきており、新たなメニューを使うことで成果が見込めるケースもあります。現在(2018年2月時点)、スクエア型バナーの登録が可能になったことに加え、類似ターゲティング機能も活用できます。詳しくは次の章で紹介しますが、それらを利用する前にLINE Ads Platformの運用を試して十分な効果を感じられなかったという場合は、新たな機能を使って再度利用することを検討してみてはいかがでしょうか。

Web集客の中心がYahoo!やGoogleのリスティング広告/ディスプレイ広告頼みになってしまい、閉塞感を抱えているケースも少なくありません。潜在層を獲得して販売促進を活性化するために大切なことは、常にトライするという意識であり、現状を打開するためにLINE Ads Platformの利用は大いに検討すべきです。

4.LINE Ads Platform(LINE広告)の最新のトレンド

2017年には、広告のフォーマットでスクエア型のバナー(1080×1080) も登録できるようになりました。以前はカード型バナー(1200×628)のみでした。このアップデートによって、従来のカード型バナーと比べて大きいサイズの画像を使用することができるようになったため、訴求内容や商品自体を魅力的に見せられる手段の幅が広くなりました。 

スクエア型バナーが登録できる前は、動画広告がトレンドでした。しかし、動画は素材の準備が大変なため、継続的に検証を回していきながら活用されることがあまり多くありませんでした。動画に比べ静止画は素材準備も容易なため、制作リソースがボトルネックで施策検証を進めていけなかったケースでも、スクエア型のバナーを使って再度LINE Ads Platformを使った施策を再加速させているケースもあります。また、スクエア型バナーはタイムラインのみに配信可能なフォーマットなので、カード型バナーを使ったタイムラインでの販売促進に伸び悩んでいるケースでは特に効果的です。実際にカード型のバナーと比べてCVR(コンバージョン率)やCTR(クリック率)が向上した数多くの事例があります。

また、CV(コンバージョン)したユーザのセグメント情報を用いた類似ターゲティング機能も追加されました。この機能を利用すれば、CVに至ったユーザに近いユーザをターゲットとして、LINEのシステムが判断する確度の高いユーザに対して広告を配信できます。

出典:【LINE Ads Platform】媒体資料10-12月_ver.1.0

スクエア型バナーで効果検証を繰り返して配信素材の改善を進めていきながら、類似ターゲティングでその効果を確度の高い新規ユーザへ波及させていく。これが、高い効果が期待できる最近のトレンドとなっています。

類似ターゲティング機能は2017年の夏に行われたアップデートの1つです。小規模のアップデートは頻繁に行われているものの、大規模なアップデートは6カ月に1~2回行われていることが多いようです。LINE Ads Platformの細かい仕様変更などのトレンドをできるだけ早く把握して運用に活かすことで、競合他社に先んじて高い効果を創り出していくことが重要です。

5.LINE Ads Platform(LINE広告)をインハウスで運用する場合の注意点

LINE Ads Platformの運用は、広告主が直接LINEに申し込んで開始することが可能です。以前は、最低出稿料金が100万円からでしたが、2018年2月時点では最低出稿金額の設定はありません。しかし、LINE Ads Platformの導入を検討する際、注意すべき点があります。それは、LINEのセールスパートナー認定代理店のみ実施できるメニューが一部にあることです。例えば、「CPF ad」というメニューがそれに該当します。
このメニューは、広告にワンタップで友だちになることのできるタブを追加できるものです。確度の高いユーザと友だちになることができ、効果的に広告を配信できます。新たな運用方法が可能となったこのメニューは、2017年10月~2018年2月までの4カ月間、セールスパートナーのみが先行実施できるメニューでした。このメニューが一般でも実施できるようになったのは2018年2月21日以降です。インハウスで運用する場合、セールスパートナーに運用を依頼している競合他社と比べて施策が一歩遅れてしまうデメリットがあります。
また、LINE Ads Platformは、ほかの運用型広告と比べて、様々な機能が十分に揃っているとはいえません。効果測定を精緻に行えないことは、自社運用で改善を進めていく場合に、高いハードルとなります。例えば、1つの商材でうまくいった施策を、横展開して運用したのに効果が出ないケースがあります。十分なデータが揃っていれば、横展開の失敗した要因も推測しやすいのですが、データが少ないと、検証結果から原因を推定することが難しくなります。こういった状況では、正しく推測できるようにするためには、多くの知見を蓄積していくしかありません。インハウスで運用する場合、検証する数には限りがあり、そのため現在の環境では自社単体でLINE Ads Platformについての運用ノウハウの知見を蓄積するには時間がかかります。

LINE Ads Platformは自社での運用が可能ですが、「一部のメニューを使用できない」「運用知見を蓄積するのに時間がかかる」などの注意点があります。LINE Ads Platformを運用する場合は、すべてのメニューを活用でき、かつ知見集約があるセールスパートナーに依頼するのも1つの手段です。

最後に

LINE Ads Platformは、国内最大規模のSNSであるLINEのタイムラインやニュースに広告を配信できる広告プラットフォームで、本記事で述べてきた概要は次のとおりです。

  • 他のSNSと比べて幅広いターゲット層にアプローチ可能
  • 潜在的な新規ユーザの獲得期待大
  • 以前に比べ導入ハードルが低下
  • メニューの一部は認定された代理店のみが利用可能
  • トレンドの推移が早く情報のキャッチアップが重要

LINE Ads Platformの運用は、新しい可能性を秘めていますが、トレンドを加味した正しい運用方法の知見を素早く蓄積していかなければ施策が失敗に終わるケースもあります。本記事の内容をもとにそれぞれの状況に応じて、LINE Ads Platformの運用を検討してみてください。

本記事では、LINE Ads Platformの概要と最新のトレンド、企業自身で運用する際の注意点をお伝えしました。次回は、入札やターゲティング、クリエイティブの効果的な活用法など、もう一歩踏み込んだ形で具体的な内容を紹介します。

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