マーケティングオートメーション活用における3つの課題をSFA・CRM連携で解決する方法|ウェブ部

マーケティングオートメーション活用における3つの課題をSFA・CRM連携で解決する方法

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マーケティングオートメーション(以下MA)は、一連のマーケティング・営業プロセスにおいてリードジェネレーション、リードナーチャリングフェーズをカバーするツールで、主に企業のマーケターが利用するツールです。MAで取り扱うデータとしては、オンラインにおける顧客のアクション履歴(メール受信・開封、Webサイトへのアクセス、コンテンツダウンロードなど)、行動履歴によるスコアリング結果、マーケティングファネル上の顧客のステータスなどです。

しかし、その後のプロセスである営業フェーズ、サポートフェーズの情報管理(顧客の詳細情報、営業日報、案件情報、サポート対応履歴など)を担うSFA・CRMと連携することで、その活用効果をさらに引き出すことができるようになります。

この記事では、MAとSFA・CRMを連携させることで解決できる3つの課題について紹介します。

マーケティングオートメーション(MA)活用とSFA・CRMの運用で営業・マーケティング間で生じる課題と、システム連携による解決

<よくある課題1>営業との情報共有ができていない

マーケティング部門単体でMAを使ってきた。Webトラッキングや、メール配信、コンテンツダウンロードの仕組みを作り、スコアリングもできるようになった。でも、せっかくMQL(*Marketing Qualified Lead = マーケティング部門が絞り込んだ有望なリード)となったリードを営業部門に渡してもフォローしてくれない。

上記のようにマーケティング~セールスのプロセスをつなぐために導入したMAなのに、結局はマーケティング部門だけが使っている、という例は少なからずあるかと思います。

どうしてこのような状況が発生するのでしょうか?

それは、営業担当者が普段顧客の情報を参照にしたり、自身の活動の記録(日報)をするのに使っているのは、あくまでSFA・CRMシステムであり、その前段階のMAについては、普段の営業活動で利用するシステムではないと考えているためです。

もし、MQLとなったリードを営業部門に渡すために、MA内にリストを作成し、そのリストを「MAにログインして参照してください」というやり方にした場合、それは営業担当にとっては手間以外の何物でもなく、結局MQLとなったリードが放置され、ややもすればせっかくの商談機会を失いかねません。

この問題は、MAとSFA・CRMの連携によって解決できる可能性があります。

マーケティング活動を経てMQLになったリードの情報を、営業担当者は自分が使いなれたSFA・CRM側で参照できるようになります。

MAから渡される情報は、単なるステータスだけではなくWeb閲覧、フォーム入力などのオンライン上の活動履歴、スコアリングを行っている場合はそのスコアの変遷も一緒に渡されるため、営業担当はSFA・CRMを見るだけで顧客についての最新情報をいつでも確認することができ、より効果的な営業活動を実施することが可能になります。

 

※MAの情報をSFAに連携。営業担当者はSFAで、その情報を参照

 

※Salesforceに連携されたMarketo情報の例

<よくある課題2>マーケティングオートメーション(MA)でのスコアリング、メール配信などに、オフラインのイベント、営業活動、商談情報などの情報が利用されていない

<よくある課題1>では、MAからSFA・CRMにデータを渡すことで得られるメリットについてお伝えしましたが、今度はその逆でSFA・CRMから情報を渡すことで得られるメリットをお伝えします。

MAでは顧客のWeb上での行動を把握することはできますが、MAだけでは、展示会参加履歴、商談情報などの顧客のオフラインでの動きを把握することはできません。SFA・CRMからこれらのオフライン情報がMAに連携されていれば、MAでのスコアリング、ステップメールやトリガメールの配信条件、ファネル遷移の条件などに使えるようになります。

例えば、「過去1カ月の間に、製品Aについて電話で問い合わせてきた顧客に、その後のフォローアップメールを配信する」といったロジックを組み立てることもできます。

また、「6カ月間案件のステータスが変わっていない場合、顧客のスコアを0にする」といったスコアの上下をコントロールすることも可能になります。

<よくある課題③>マーケティング施策の有効性を測ることができない

そのほかMAを導入した企業で、よく聞くのは「マーケティングROIを知りたい」というものです。これはとても難しいテーマで、ここで答えをお伝えできるようなものではないと思います。

ただ、「1つのやり方として、こういうものもある」という内容をお伝えします。
(※MarketoとSalesforce間での連携が前提です。)

Marketoのプログラムというマーケティング施策を管理するものには、「何をもって、そのプログラムを成功とするのか」という設定をすることができます。

※対象とするチャネルと、そのチャネルでの成功の定義画面

また、プログラムにはそのマーケティング施策にかかったコストの設定も可能です。

商談情報が、SalesforceからMarketoに連携されている場合、あるプログラムが成功となった際、商談の受注金額がそのプログラムに割り当てられます。

もし、複数のプログラムで成功となっており、商談が受注になった際は、受注金額は均等に割り振られます。

こうして、プログラムに対してSFA側の商談・受注データが紐づけられることで、そのプログラムのおおよその収益性を見ることができるようになります。

Marketoではプログラム間収益性を比べる機能もあり、収益性の低いプログラムは廃止し、収益性の高いプログラムに注力する、といった方針の打ち出しも可能になるのではないでしょうか。

営業とマーケティング間の連携をスムーズにする方法-顧客情報を一元管理するプラットフォームに

これまで見てきたように、MAとSFA・CRMを連携させると、顧客情報を一元的に管理することができるプラットフォームになります。

ここでは、そのプラットフォーム上ではどのような業務フローになるのかを少し具体的に示します。

  1. 展示会が終わり、数百枚の名刺を取得した。
  2. それをリスト化し、MAにインポートする。(自動マージ)
  3. MAにインポートされた顧客に対し、来場お礼~展示物の紹介・・・といったフォローメールを3か月に渡って実行
  4. 3カ月間のステップメール配信や、Web閲覧などで高スコアとなりMQLとされた顧客をSFA・CRMに連携し、担当営業にデータを渡す
  5. 営業は渡されたMQLとなった顧客にコンタクトを取り、追いかける案件かどうかを見極める。もし、追いかける案件とするのであれば、商談データを新規作成し、データを更新していく。その間も顧客のオンラインでの動きは把握している。
  6. 営業活動が実り、受注となった場合、その3週間後にサポートチームからのフォローアップメールが自動で配信される。

マーケティングオートメーション(MA)とSFA・CRMを連携する際に気をつけるポイント

連携前にデータクレンジングは行っておく。

MAとSFA・CRMのどちらにもデータを持っている場合、両データ間の重複削除、表記ゆれの訂正、データの新旧などに表記ルールを設けるなど、データをきれいな形にしておく必要があります。

クレンジングが行われていないと、MAになったデータが複数存在することで、アクティビティのログが割れてしまい、本来辿ってほしい導線を通らなくなるということや、正しくスコアリングができないなどの問題が発生する可能性が高くなります。

顧客データの重複をなくすための工夫が必要。

データクレンジングは連携前の1回のみ行えば良いものではありません。

展示会や、営業担当の名刺交換、フォームの入力など顧客データは増えていき、その時々でデータ重複削除を行う必要があります。

また、顧客データをクリーンな状態にしておくためには以下のようなことを行っておく必要もあります。

データクレンジングのルールを定義しておく。

  • 新しく入ってきたデータを常に正として、旧データを全て上書きする。
  • 営業担当者がコンタクトするための情報(社名、部署名、電話番号など)については、上書き対象から外す。

などです。

データクレンジングの手順をマニュアル化しておく。

例えば、Marketoで重複データのマージを行う際は、下のような画面で行います。この画面でのマージ方法を誰でもできるようにマニュアルとしてまとめておき、日々のルーチン業務化にされていることが望ましいです。※Marketoでの重複データマージ画面

顧客データの入り口を決めておく

顧客データの重複削除にも関係しますが、顧客データの入り口はできるだけ少なく、かつ、データインポート時に自動でマージされるようにしておくことで、日々のデータ管理が格段に楽になります。次の図は、「マーケティング活動で得られるデータはMAに」、「営業活動から得られるデータはSFAに」とする場合の例です。

マーケティング(インサイドセールス)・営業・サポートの各部門を横断した業務プロセスを定義しておく。

誰が、どのデータを見て、どんなアクションを起こすのかを定義しておき、業務がある程度ルーチン化されていないと、「ツールは連携したけど、どうするんだっけ?」という状況になりかねません。

この部門横断での業務プロセスを検討する際に、併せて各部門のメンバーが一緒にカスタマージャーニーマップの作成を行うのも効果的な方法の1つです。

MAとSFA・CRMのシステム的なツール連携はそれほど難しいものではありませんが、その前後に発生する様々な業務的な課題をクリアにし、しっかり検討・課題解決を行っておく必要があります。

弊社ではMAの導入・活用支援サービスの中の1つのメニューとしてSFA・CRMとの連携支援もおこなっておりますので、お気軽にご相談いただければと思います。

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