マッチタイプとは、広告主が設定したキーワードと、ユーザの検索語句がどの程度一致した場合に広告を表示させるか、を決める設定です。
マッチタイプの種類や意味を正しく理解することで、より効果的なリスティング広告の運用につなげられるでしょう。
本記事では、3つのマッチタイプの役割を中心に、使い分け方や登録方法、注意点などを紹介します。リスティング広告を始めたばかりの方や、マッチタイプについてあやふやな方はぜひ、ご覧ください。
目次
マッチタイプの種類と役割
現在あるマッチタイプは、次の3つです。
- 完全一致
- フレーズ一致
- インテントマッチ(旧部分一致)
※「絞り込み部分一致」は、「フレーズ一致」のアップデートに伴い、Google広告・Yahoo!広告ともに、2021年7月に廃止されました。
本章では、3つのマッチタイプの概要と役割を紹介します。
完全一致
完全一致では、登録キーワードと全く同じ意味・意図の検索語句にのみ広告が表示されます。
3つのマッチタイプのなかで表示範囲が最も狭く、狙ったユーザにピンポイントでアプローチできる点が特長です。
▼完全一致の表示範囲
引用:キーワードのマッチタイプについて(Google広告 ヘルプ)
完全一致について、より詳しく知りたい方は、次の記事を参考にしてください。
【Google広告・Yahoo!広告】完全一致とは?概要やフレーズ一致との違い、利用シーンを解説
フレーズ一致
フレーズ一致では、登録キーワードと同じ意味の内容を含む検索語句に対して、広告が表示されます。キーワードと検索語句や語順が異なっても、同じ意味に解釈できる場合は一致と見なされます。
広告の表示範囲は完全一致より広いですが、登録キーワードに関連する検索にのみ広告を表示することができます。
▼フレーズ一致の表示範囲
引用:キーワードのマッチタイプについて(Google広告 ヘルプ)
なお、フレーズ一致は2021年2月のアップデートで、絞り込み部分一致との統合などが実施されています。アップデートされたフレーズ一致では、それまで表示対象外となっていた、同じ意図で語順の異なる検索にも表示されるようになりました。
参照:フレーズ一致と絞り込み部分一致の変更について(Google広告 ヘルプ)
フレーズ一致について、より詳しく知りたい方は、次の記事を参考にしてください。
【Google広告・Yahoo!広告】フレーズ一致とは?部分一致との違いやメリット、類似パターンを解説
インテントマッチ(旧部分一致)
インテントマッチでは、登録キーワードに関連する内容の検索語句に対して広告が表示されます。検索語句に登録キーワードそのものは入っていなくても、関連する内容の検索は一致と見なされます。
3種類のマッチタイプのなかで表示範囲が最も広く、カバーできる検索語句も多いですが、意図しない検索語句に対しても広告が表示されてしまうリスクもあります。
▼インテントマッチの表示範囲
引用:キーワードのマッチタイプについて(Google広告 ヘルプ)
なお、2024年7月までは、インテントマッチは「部分一致」の名称で呼ばれていました。名称は変わっていますが、仕様に変更はありません。
インテントマッチについて、より詳しく知りたい方は、次の記事を参考にしてください。
【事例あり】インテントマッチ(旧:部分一致)とは?フレーズ一致との違いや成果につながる活用方法を解説
キーワードの類似パターン
いずれのマッチタイプも、次のようなキーワードの類似パターンには広告が表示される仕様となっています。
類似パターン | 例 |
表記ゆれ | 「振込」「振り込み」 |
略語 | 「ステレオ用ヘッドセット」「ステレオ ヘッドセット」 |
語順 | 「靴 男性用」「男性用 靴」 |
類義語 | 「水着」「スイムウェア」 |
助詞・接続詞などの有無 | 「男性用の靴」「男性用 靴」 |
検索意図が同じ語句 | 「無料素材 画像」「フリー素材 画像」 |
そのため、予想される表記ゆれをすべてキーワードとして登録する、といったことは必要ありません。
参考:キーワードの類似パターン(Google 広告 ヘルプ)
マッチタイプの使い分け方
基本的に、完全一致が使用されることは少なく、フレーズ一致とインテントマッチの2つを使い分けることが多いです。
完全一致では、検索語句を絞ったキーワード指定ができるものの、関連語句へは広告を表示できず、機会損失が生じる可能性があるためです。
品川区にある美容院を例に説明すると、この美容院の広告を掲載する際に、完全一致で「品川 美容院」と登録すると「品川 美容院 人気」といった関連性の高い検索キーワードを取りこぼす恐れがあります。そのため、メインとなるキーワードが定まっている場合は、フレーズ一致で関連キーワードをカバーするとよいでしょう。
しかし、フレーズ一致を使用する際は、意図しない検索語句に広告が表示される可能性が、完全一致のよりも高まる点には注意が必要です。
例えば、「品川 美容院 採用」のような、本来の目的と異なるニーズに対しても、フレーズ一致では広告の表示対象となる可能性があります。
その際に活用したいのが、クエリレポートです。
クエリレポートで、関連性の低いキーワードに広告が配信されていないかを確認し、必要に応じて除外設定をすることで、機会損失を減らしながら効率的に運用できるでしょう。
ただし、フレーズ一致で全ての検索ニーズを網羅できるわけではありません。網羅性を高めたい場合は、インテントマッチも活用して対象のキーワードを拡大させる必要があります。
インテントマッチは拡張範囲が広い分、関連性の低い検索語句を表示対象としてしまう可能性も高まります。広告予算に余裕がない、もしくはリスクを可能な限り減らしたい場合は、フレーズ一致を中心に活用するとよいでしょう。
しかし、「フレーズ一致と比べて、インテントマッチのほうが費用対効果が悪い(関連性の低い検索に表示してしまって効率が落ちる)」とは必ずしも言い切れないため、状況に応じて使い分けることが大切です。
複数のキーワードがマッチする場合の優先度について
検索語句とマッチするキーワードが複数登録されている場合は、次の優先順位に基づいて広告が表示されます。
【優先順位】(1.に近づくほど優先順位が高い)
- 検索語句と同じ「完全一致」キーワード
- 検索語句と同じ「フレーズ一致」キーワードもしくは「インテントマッチ」キーワード
- AIが関連性が高いと判断したキーワード
- 広告ランク・関連性が最も高いキーワード
基本的には、検索語句と関連性の高いキーワードほど、優先度が高くなる仕組みです。
例えば、検索語句が「男性 靴 おすすめ」で、「男性 靴 おすすめ」(完全一致)と「男性 靴」(インテントマッチ)の2種類のキーワードが登録されていた場合は、「男性 靴 おすすめ」(完全一致)が優先されます。
ただし、優先順位の高いキーワードの予算が上限に達している場合などには、上記の優先順位が適用されない可能性があります。
マッチタイプの登録方法
次に、Google広告とYahoo!広告のマッチタイプを、管理画面で登録する方法を説明します。
Google広告
Google広告のマッチタイプの登録・変更方法は、次のとおりです。
- Google広告アカウントにログイン
- マッチタイプを登録・変更したい広告グループを選択
- 登録の場合:「+」からキーワードを登録
変更の場合:キーワードマッチをプルダウンから選択
なお、登録の際はマッチタイプに対応した記号を、キーワードの前後に入力する必要があります。
マッチタイプごとに必要な記号は、次のとおりです。
マッチタイプ | 記号 | 例 |
完全一致 | [ ] | [マッチタイプ] |
フレーズ一致 | “ ” | “マッチタイプ” |
インテントマッチ | なし | マッチタイプ |
Yahoo!広告
Yahoo!広告のマッチタイプの登録方法は、次のとおりです。
- Yahoo!広告アカウントにログイン
- マッチタイプを登録・変更したい広告グループを選択
- 登録の場合:「+キーワード作成」からキーワードを登録
変更の場合:既存キーワードのマッチタイプの変更はできないため、新規で作成し、既存のものは削除または一時停止
なお、Yahoo!広告はGoogle広告と異なり、キーワード設定時に記号入力は不要(プルダウンの選択式)です。
マッチタイプを登録・変更する際の3つの注意点
マッチタイプを登録・変更する際に注意したい、3つのポイントを紹介します。
全角記号は指定できない
Google広告でキーワードを登録する際、完全一致では[ ]を、フレーズ一致では“ ”の記号を使用しますが、この記号を全角で入力してしまうとマッチタイプの指定ができません。
マッチタイプを指定する記号は半角で入力しましょう。
マッチタイプを変更すると過去の配信データはリセットされる
配信中のキーワードのマッチタイプを変更すると、変更前のキーワードは削除され、変更後のマッチタイプのキーワードが新しく登録される仕組みとなっています。キーワードが上書きされてしまうことで、過去の配信データが見れなくなったり、自動入札の学習がやり直しになったりするため注意が必要です。
そのため、マッチタイプを変更したい場合は登録済みのキーワードのマッチタイプを変更するのではなく、新しくキーワードを登録し、過去のキーワードは停止のステータスに変更することをおすすめします。
過去のキーワードを残しておくことで、配信データも残り、元のマッチタイプに戻したいときもスムーズに対応することができます。
除外キーワードのマッチタイプは、通常のキーワードと挙動が異なる
除外キーワードとは、広告を表示させたくない検索語句を指定するキーワードのことです。
除外キーワードを設定すると、意図しない検索語句への広告表示を減らし、費用対効果を高めることができます。
ただし、除外キーワードのマッチタイプは、通常のキーワードのマッチタイプと拡張の範囲が異なるため、注意しましょう。
各マッチタイプの除外条件は次のとおりです。
マッチタイプ | 除外条件 |
完全一致 | ・検索語句が、語順を含めキーワードと全く同じ ・別の語句を含まない |
フレーズ一致 | ・検索語句が、キーワードと語順を含め全く同じ語句を含む |
インテントマッチ | ・検索語句が、指定したキーワードをすべて含む(語順問わず) |
また、除外キーワードには類似パターンが適用されないため、除外キーワードに設定した内容と類似する関連語句を含む検索には、広告が表示される可能性があります。
まとめ
マッチタイプは、広告主が設定したキーワードと、ユーザの検索語句がどの程度一致した場合に広告を表示させるかを決める設定で、拡張範囲の異なる、完全一致・フレーズ一致・インテントマッチ(旧:部分一致)の3種類があります。
拡張範囲が広くなるほど、幅広い検索語句に対応できる一方、意図しないタイミングで広告が表示されてしまう可能性も高まります。
基本的には、フレーズ一致とインテントマッチの2つを使い分けていれば問題ありませんが、予算や目的に合わせて臨機応変に対応しましょう。
また、定期的にキーワードのパフォーマンスを確認し、必要に応じてマッチタイプの変更や、除外キーワード設定を行いましょう。