Advantage+は、広告配信を自動化する機能をもつ、Meta広告の配信手法の1つです。
Advantage+では、アップデート前からあるAdvantageの4つの機能に、新たな機能が追加されました。
本記事では、AdvantageとAdvantage+の違いや各機能のメリット・デメリット、活用方法について、解説します。
Meta広告で成果が出ずにお悩みの方は、本記事でAdvantage+の理解を深め、続いて、Advantage+で利用できる8つの機能について解説します。広告運用にお役立てください。
目次
Advantage、Advantage+とは?
Advantage/Advantage+は「Meta Advantage」という広告自動化ツールセットの1つです。
広告の運用成果が最大化されるように、AIが広告の設定を自動で最適化する機能を持ちます。
AdvantageとAdvantage+の違いは、下記のとおりです。
Advantageは、AIが成果の向上が見込めると判断した場合に、運用者が設定した項目を自動で最適化します。例えば、運用者が設定したターゲット以外でも効果が見込まれる場合には、配信の対象となるオーディエンスが拡張されます。
一方、Advantage+は、運用者が設定した項目をもとに広告配信を最適化するわけではなく、広告作成から運用までの全ての範囲を自動で最適化、もしくは一部の範囲を自動で最適化する機能です。そのため、Advantage+を活用すると、細かな設定作業にかかっていた工数を削減することができます。
Advantage、Advantage+の機能
AdvantageとAdvantage+の機能は「Advantage+総合キャンペーンソリューション」と「Advantageシングルステップソリューション」に大別されます。
AdvantageとAdvantage+で利用できる機能が異なり、整理すると次のとおりです。
◯Advantage+総合キャンペーンソリューション(すべての範囲をAIで自動化)
・Advantage+
└ Advantage+ショッピングキャンペーン
└ Advantage+アプリキャンペーン
◯Advantageシングルステップソリューション(一部の範囲をAIで自動化)
・Advantage
└ Advantage詳細ターゲット設定
└ Advantageカスタムオーディエンス
└ Advantage類似オーディエンス
└ Advantageのキャンペーン予算
・Advantage+
└ Advantage+オーディエンス
└ Advantage+カタログ広告
└ Advantage+カタログ用クリエイティブ
└ Advantage+グローバルカタログ広告
└ Advantage+クリエイティブ
└ Advantage+配置
Advantage+の各機能の説明
続いて、Advantage+で利用できる8つの機能について解説します。
1. Advantage+ショッピングキャンペーン(ASC)
Advantage+ショッピングキャンペーン(ASC)は、広告主のオンラインのコンバージョンや売上を最大化するための機能です。名称に「ショッピング」とありますが、Web上でのコンバージョン獲得を目的としている業種であれば、ECサイトでなくとも利用可能です。
Advantage+ショッピングキャンペーンの強みは、ターゲティングやクリエイティブ(※1)などをAIで最適化し、コンバージョンを最大化させる点にあります。配信面やクリエイティブ、ターゲティングなどの自動最適化に優れていて、必要な入力事項も少なく効率的な配信が可能になります。
※1 クリエイティブ:広告を構成する画像や動画、音声、テキストなどのこと
ただし、AI学習に必要なデータ量の目安は「週あたりのCV数(成約数)が50件以上」となります。50件を下回る場合は、ターゲティング精度が低くなる可能性がありますが、その際はMCV(※2)を設定するとよいでしょう。
※2 MCV:マイクロコンバージョンの略称。最終目標の前段階に設定された、仮のコンバージョンのこと。
Advantage+ショッピングキャンペーン(ASC)のメリット・デメリット
Advantage+ショッピングキャンペーン(ASC)のメリット・デメリットは次のとおりです。
メリット
・細かな設定作業が不要
・コンバージョン確度が高いユーザへ自動で配信できる
・クリエイティブがユーザに合わせて自動で最適化される
デメリット
・機械学習に一定期間を要する
・入札戦略やターゲットなどの細かい設定や手動による調整ができず、成果を分析しにくい
・キャンペーン目的を売上しか選択できず、認知目的での活用ができない
2. Advantage+アプリキャンペーン(AAC)
Advantage+アプリキャンペーン(AAC)は、ショッピングキャンペーンのアプリ版に相当する機能です。アプリのインストールを最大化するために、ターゲティングやクリエイティブを自動で最適化します。
Advantage+アプリキャンペーンは、最大50本の広告を作成でき、商品数が多いカタログ広告でも利用可能です。
Advantage+アプリキャンペーンの設定には、Meta のプラットフォーム上でアプリやサービスを開発するためのツールやAPI、ドキュメントなどを提供するプラットフォーム「Meta for Developers」への登録が必要です。また、運用効果を計測するためには、アプリ開発キット「Facebook SDK」を設定しなければなりません。
Advantage+アプリキャンペーン(AAC)のメリット・デメリット
Advantage+アプリキャンペーン(AAC)のメリット・デメリットは次のとおりです。
メリット
・キャンペーン作成時の設定がシンプル
・多くのクリエイティブを入稿できる
・成果が期待できるクリエイティブに自動で最適化される
デメリット
・アプリの配信以外のターゲティングが使用できない
・細かなターゲティング設定ができない
3. Advantage+カタログ広告
Advantage+カタログ広告は、カタログの商品データを活用して広告を配信する機能です。ユーザごとに最適な商品を、自動でレコメンド配信します。
Webサイトに訪問したものの購入に至らなかったユーザや、Webサイトに未訪問のユーザにも、興味・関心に基づいた配信が可能です。
カタログ広告で成果を得るためには、次のポイントを押さえることが重要です。
■ Metaピクセルで商品IDを取得する
「Metaピクセル」は、Meta社の提供する、FacebookやInstagram広告の効果測定に用いるJavaScriptコードのことです。MetaピクセルをWebサイトに設置することで、ユーザのWebサイト内の行動情報を取得できます。
Advantage+カタログ広告の場合、Metaピクセルを設置した商品Aのページを閲覧しているユーザの閲覧情報(商品IDなど)を取得し、商品Aに関連する商品をカタログから抽出して、ほかのページを見ているときに自動でレコメンドする、といったことが可能となります。
■ 商品の情報(データフィード)をカタログへ登録し、「商品セット」を作成する
カタログ広告は、Metaピクセルなどで取得したデータによって、ユーザが最も興味を示しそうな商品とフォーマットへ最適化された状態で表示されます。
カタログ広告で配信したい商品は、すべてデータフィードとしてカタログへ登録し、さらに条件ごとに「商品セット」を作成する必要があります。その後、広告セットで「商品セット」を指定することで、カタログ広告を配信できます。必ずしもすべての商品を配信する必要はないので、状況に応じて配信商品を絞った商品セットを活用すると効果的です。
※キャンペーン作成時のデフォルトの設定では、製品カタログに登録しているすべての商品が配信対象に設定されています。
Advantage+カタログ広告のメリット・デメリット
Meta Advantage+カタログ広告のメリットとデメリットは次のとおりです。
メリット
・ユーザの興味に合う商品で訴求できる
・リターゲティングだけではなく、Webサイトへの訪問履歴がない新規ユーザにもリーチできる
・広告作成の時間を削減できる
デメリット
・カタログを用意する必要がある
・動的タグ※を設置する必要がある
※動的タグとは、Metaピクセル同様にWebサイトに設置するJavaScriptコードで、主に動的広告で使用されます。(動的広告:ユーザの商品閲覧履歴などのデータに基づいて、自動的にパーソナライズされた広告を生成・配信する広告形式のこと)
4. Advantage+カタログ用クリエイティブ
Advantage+カタログ用クリエイティブは、Advantage+カタログ広告で使用できるオプション機能です。
ユーザの反応を参考に、最適なフォーマットやリンク先、クリエイティブを自動で表示させるため、各ユーザにパーソナライズされた広告を配信可能です。
Advantage+カタログ用クリエイティブのメリット・デメリット
Advantage+カタログ用クリエイティブのメリット・デメリットは次のとおりです。
メリット
・ユーザごとに最適な広告を配信できる
デメリット
・カタログの商品から動画クリエイティブが自動で作成される可能性がある
5. Advantage+グローバルカタログ広告
Advantage+グローバルカタログ広告は、カタログ広告をユーザの国や言語に合わせて配信する機能です。
例えば、アメリカ在住者に配信をする場合、商品説明は英語になり、価格はドル表記になります。日本以外にも販路を拡大したい場合に活用するのがおすすめです。
ただし、言語や価格は自動で変換されるわけではなく、国や言語に対応したデータフィードを用意する必要があります。
Advantage+グローバルカタログ広告のメリット・デメリット
Advantage+グローバルカタログ広告のメリット・デメリットは次のとおりです。
メリット
・ユーザの国や言語に対応した価格や説明が自動で表示される
デメリット
・国フィードと言語フィードを作成する必要がある
6. Advantage+クリエイティブ
Advantage+クリエイティブは、ユーザのアクションを促す見込みが高い画像・動画が表示されるよう、システムが自動で最適化する機能です。画像や動画の選定だけでなく、エンハンスと呼ばれる様々な機能でクリエイティブを自動編集します。例えば、「画像の明るさとコントラスト」のエンハンスでは、パフォーマンス改善につながると予想された場合に、画像の明るさやコントラストが自動的に調整されます。
また、最近ではAIによる画像生成の機能も追加され、対象物に対する背景の自動生成や、参考画像を元にしたフル画像の自動生成もできるようになっています。
Advantage+クリエイティブの注意点は、設定したクリエイティブがAIで編集されるため、意図しないクリエイティブが表示される場合があることです。エンハンスごとに機能をオフにできるため、必要に応じてオフにしましょう。
▼エンハンスの例
・アートフィルターの適用
・アスペクト比の変更
・画像アニメーション
・音楽
・画像の拡大 など
参考:Advantage+クリエイティブについて(Metaビジネスヘルプセンター)
Advantage+クリエイティブのメリット・デメリット
Advantage+クリエイティブのメリット・デメリットは次のとおりです。
メリット
・画像・動画・テキストが自動調節されることで、ユーザの反応が得やすい
メリット
・画像・動画・テキストが自動調節された結果、意図しない表現になる可能性がある
7. Advantage+配置
Advantage+配置は、広告の配信成果に応じて、配信面を自動で最適化する機能です。
Facebook、Instagram、Audience Network、Messengerで利用可能なすべての配信面に対応します。
Advantage+配置は、Meta広告マネージャで広告の設定「配置」セクションで、次の広告の作成ステップへ進む前に「Advantage+配置」を選択することで設定できます。
なお、Advantage+配置を利用する際は、アスペクト比などを各配信先に合わせて最適化できる「アセットカスタマイズ」を設定すると便利です。
Advantage+配置のメリット・デメリット
Advantage+配置のメリット・デメリットは次のとおりです。
メリット
・パフォーマンスが高い配信面に予算が割り当てられるため、効率的に成果を上げやすい
・自社の商品と相性が良い配信面を検証できる
デメリット
・様々な配信面に広告が掲載されるため、配信面ごとに適したクリエイティブを用意する必要がある
8. Advantage+オーディエンス
Advantage+オーディエンスは、ターゲティングを自動化する機能です。過去のコンバージョン・ピクセルデータ・以前のアクション情報をもとに配信を最大化し、オーディエンスを見つける仕組みで、反応する見込みがあるユーザに自動で配信します。
なお、オプション機能「オーディエンスの提案」を使えば、効果の見込めるオーディエンス情報を予めMeta広告に伝えられます。成果が見込めるユーザ層が明らかな場合などに有効です。
また、類似機能として「Advantage詳細ターゲット設定」「Advantageカスタムオーディエンス」「Advantage類似オーディエンス」がありますが、次の点に違いがあります。
・Advantage+オーディエンス…オーディエンスのすべてを自動化する機能
・Advantage詳細ターゲット設定/カスタムオーディエンス/類似オーディエンス…手動で設定したオーディエンスを拡張する機能
Advantage+オーディエンスのメリット・デメリット
Advantage+オーディエンスのメリット・デメリットは次のとおりです。
メリット
・過去のコンバージョンデータやピクセルデータなどに基づき、ターゲットを自動で選定してくれる
デメリット
・ターゲティングを細かく設定できないため、ターゲットを細かくコントロールしたい場合は不向き
Advantageの各機能の説明
Advantageで利用できる4つの機能について、解説します。
Advantage詳細ターゲット設定
Advantage詳細ターゲット設定とは、設定した詳細ターゲット以外でも運用効果の向上が見込まれる場合に、配信オーディエンスを自動で拡大させる機能です。設定によっては配信先が過度に広がり、費用対効果が悪化する場合もあります。
配信が拡大される対象は詳細ターゲットのみであるため、詳細ターゲット以外の年齢や性別などは拡張されません。
Advantageカスタムオーディエンス
Advantageカスタムオーディエンスとは、指定したカスタムオーディエンス以外にも成果が見込める場合に、オーディエンスを拡張して配信する機能です。
カスタムオーディエンスでは、これまでに自社と何かしらの接点があるユーザをオーディエンスとして設定できます。代表例としては、自社サイトの来訪者(リターゲティング)や、既存顧客への配信が挙げられます。
オーディエンスの種類と対象ユーザは、次のとおりです。
オーディエンス名 | 対象ユーザ |
カスタマーリストに基づく カスタムオーディエンス |
・自社でメールアドレスなどの情報を保有しているユーザ ・該当ユーザが Facebook を利用している、かつアップロードした情報と紐づけできることが前提条件 |
Webサイト カスタムオーディエンス |
・自社のWebサイトを訪問したユーザ ・最新のコンバージョンデータが反映される ・同時配信によるオーディエンスの重複が起こらないように注意が必要 |
エンゲージメント カスタムオーディエンス |
・自社の FacebookやInstagramコンテンツにアクションしたユーザ ・手動での更新の手間が不要 ・新規ユーザへの配信に比べてコンバージョン率が高くなりやすい |
モバイルアプリ カスタムオーディエンス |
・自社のアプリに対しアクションしたユーザ ・アプリを起動していないユーザや、購入に至らなかったユーザに、購入を促す広告を配信できる |
オフラインアクティビティ カスタムオーディエンス |
・店舗での購入、電話注文、予約など、自社とオフラインで接点を持ったユーザ ・オフラインイベントセットの作成が必要 ・ターゲティングの範囲が狭いため、大きなビジネス(ユーザと接点を持つ機会が多いビジネス)でなければ有効に活用できない |
Advantage類似オーディエンス
Advantage類似オーディエンスとは、指定した類似オーディエンス以外にも成果が見込める場合に、類似度を拡張して配信する機能です。
類似オーディエンスは、類似度を指定してオーディエンスを作成しますが、適正な類似度の判断が難しいことがあります。その場合、Advantage類似オーディエンスを活用することで、類似度を自動で調整して配信してくれます。
Advantageのキャンペーン予算
Advantageのキャンペーン予算とは、キャンペーンの効果が最大化されるように、成果に合わせて自動で予算配分が最適化される機能です。効果の良い広告セットに多めに予算が配分され、効果の悪い広告セットの予算は縮小されるため、キャンペーン全体の効果を高めることが期待できます。
ただし、広告セット単位で予算を分けたい場合は、手動で予算の設定が必要です。また、Advantageのキャンペーン予算は広告公開後にオフにできますが、再度オンにするためには2時間以上がかかります。
なお、Advantageのキャンペーン予算を利用するためには、キャンペーンが次の条件を満たしている必要があります。
・すべての広告セットで同じ予算タイプ(通算または1日)を使用している。
・すべての広告セットで同じ入札戦略(最大数量、入札価格上限、結果の単価目標)を使用している。
・入札戦略が最大数量の場合、すべての広告セットで同じ配信の最適化イベントを使用している。
・すべての広告セットで通常配信タイプを選択している。
引用:Meta Advantageのキャンペーン予算を設定する(Metaビジネスヘルプセンター)
まとめ
Advantage+は、広告を自動配信できる、Meta広告の配信手法の1つです。広告配信の成果を高めるとともに、配信作業の時間を短縮できるメリットがあります。
Advantage+を活用することで、キャンペーン設計や配置、予算、クリエイティブ設定などの作業を自動で最適化でき、手動で設定する場合も広告配信作業の工数削減につながるはずです。
Meta広告配信の効果を上げたい方は、本記事を参考にAdvantage+の機能を最大限に活用しましょう。