ネイティブ広告とは?定義や種類、ほかの広告との違いを解説|ウェブ部

ネイティブ広告とは?定義や種類、ほかの広告との違いを解説

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當流谷 圭

私たちは日常的に、Webコンテンツの閲覧中に数多くのバナーを目にしています。訪れたことのあるサイトのバナーが何度も現れることもしばしばあることでしょう。

多くのバナーを目にすることでユーザはストレスを感じるようになりました。
そこで生まれたのが「ネイティブ広告」です。

ネイティブ広告は、バナーのように広告として目立つものではなく、我々がよく目にしているメディアに溶け込んだ形で表示される広告のことです。

本記事では、ネイティブ広告の定義や種類、メリット・デメリット、代表的な媒体、効果的に利用するポイントなどを解説します。

Web広告初心者の方にも分かりやすい内容となっているので、ぜひ、最後までご覧ください。

 

ネイティブ広告とは?

最初に、ネイティブ広告とは一体どのような広告を指すのか、その定義やほかの広告との違いを説明します。

ネイティブ広告の定義

ネイティブ広告とは、Webメディアやアプリのコンテンツに自然に溶け込む形で掲載される広告のことです。

メディアの通常コンテンツと同じデザインや形式で表示されることで、ユーザに違和感を与えることなく情報を届けることができる、という特長があります。

ネイティブ広告は、デジタル広告業界における枠組みや指針を決める組織である、IAB(Interactive Advertising Bureau)によって、次の条件を満たすもの、と定義されています。

  1. DESIGN(デザイン)…広告の見た目やレイアウトが、掲載メディアの通常コンテンツと自然に調和していること
  2. LOCATION(場所)…フィードや記事など、ユーザの閲覧体験の中に自然に溶け込んでいる位置で表示されていること
  3. AD BEHAVIOR(広告の動作)…広告の挙動(クリックや遷移など)が、周囲の通常コンテンツと同様であること
  4. DISCLOSURE(開示)…「広告」「スポンサー」「PR」など、ユーザが即座に広告と認識できる表記がされていること

※IABが2013年12月に発行した「IAB Native Advertising Playbook」の更新版である「IAB Native Advertising Playbook 2.0」から抜粋

ネイティブ広告は、従来のバナー広告やポップアップ広告のように、明らかに広告だとわかる形式とは異なり、コンテンツの流れを妨げることなく、ユーザの閲覧体験に自然に組み込まれていることが条件です。

ただし、広告であることを隠しているわけではなく、必ず「PR」「広告」「プロモーション」「Sponsored」などの表記により、広告であることを明示している点が重要です。

 

記事広告、SNS広告との違い

ネイティブ広告とは、広義の概念であり、記事広告やSNS広告はその一部として含まれます。

記事広告は、メディアサイトの編集記事と同じ体裁で作成される広告コンテンツで、インフィード型のネイティブ広告の代表例です。

また、SNS広告も、タイムラインの通常の投稿と同じように自然な形で表示される、インフィード型のネイティブ広告として分類されます。

ネイティブ広告の概要図

つまり、記事広告やSNS広告は「ネイティブ広告の一種」で、記事広告は主に情報系メディアで、SNS広告はFacebookやInstagram、Xなどのソーシャルメディアで展開され、それぞれの媒体に最適化された形で配信されています。

 

ネイティブ広告とステマの違い

ネイティブ広告とステルスマーケティング(ステマ)は、しばしば混同されがちですが、明確な違いがあります。

ステマは、広告主から金銭を受け取っているにもかかわらず、あたかも中立的な立場からの意見や評価であるかのように装って商品やサービスを宣伝する行為です。

これは消費者を欺く不正行為として、国内では2023年10月から「景品表示法違反」として規制対象となっています。

一方、ネイティブ広告は、コンテンツに自然に溶け込む形式を取りながらも、必ず広告であることを明記します。

「広告」「PR」「プロモーション」といった表示により、ユーザが広告であることを認識できるようになっています。

この透明性の確保こそが、ネイティブ広告とステマを分ける最も重要な要素です。

ネイティブ広告は、正当な広告手法として認められていて、適切に運用すれば企業とユーザの双方にメリットをもたらす効果的なマーケティング手法となります。

 

ネイティブ広告の種類(全3種類)

次に、ネイティブ広告の種類について解説します。

※IABが2013年12月に発行した「IAB Native Advertising Playbook」では、ネイティブ広告は6種類に分類されていましたが、2018年以降に更新された「IAB Native Advertising Playbook 2.0」では、ネイティブ広告の進化を反映して次の3種類に絞り込まれています。

インフィード/インコンテンツ広告

インフィード広告の表示例

All About

インフィード/インコンテンツ広告は、ネイティブ広告の中で最も一般的な形式です。

SNSのタイムラインやニュースサイトの記事一覧、動画配信サービスなどのフィード、またはコンテンツ内に、通常の投稿や記事と同じ形式で表示される広告です。

この形式の特長は、配信先のコンテンツと同じデザインやレイアウトで表示されることです。
これにより、ユーザはスクロールしながら自然に広告を目にすることになり、従来のバナー広告のような強い広告感を与えません。

【掲載先】
Webメディアやニュースサイト(Allabout、OZmall、グノシー、SmartNewsなど)、SNS(Facebook、Instagram、X、LINE、Youtubeなど)、ECサイト(Amazonなど)

【遷移先】
広告掲載先と同一サイト内、または外部サイト

 

コンテンツレコメンデーション広告

コンテンツレコメンデーション広告の表示例

はちま起稿

コンテンツレコメンデーション広告(レコメンドウィジェット型広告)は、記事やコンテンツの下部に「おすすめ記事」「関連記事」「あなたにおすすめ」といった形で表示される形式です。

ユーザが記事を読み終わった後に自然と目に入る位置に表示されるため、次に読むコンテンツを探しているタイミングでアプローチできるという利点があります。

この形式の特長は、アルゴリズムによってユーザの閲覧履歴や興味関心を分析し、ユーザそれぞれに関連性の高い広告を表示できることです。

記事の内容やユーザの興味関心と関連性の高い広告を表示することで、自然な流れでクリックを促すことができます。

ただし、ページの下部に表示されることが多いため、インフィード広告と比較すると視認性はやや劣る傾向があります。

【掲載先】
ニュースサイトやブログ(特定のメディアがあるわけではない)

【遷移先】
外部のサイト・ページ

 

ブランドコンテンツ(ネイティブコンテンツ)

ブランドコンテンツの表示例

instagram

ブランドコンテンツ(ネイティブコンテンツ)は、ブランド(広告主)が費用を支払って、掲載メディア・サイトのコンテンツチームと協力して記事コンテンツを掲載する形式です。(現在は記事形式だけでなく、インフィード/インコンテンツ広告とコンテンツレコメンデーション広告の形式でも配信されています)

いわゆる「記事広告」「タイアップ記事」と呼ばれるもので、メディアの編集記事と同じ品質・形式で作成され、読み物として価値のある内容を提供します。

この形式の特長は、メディアの信頼性や権威性を借りながら、専門的な情報や詳細な説明など、通常の広告では伝えきれない価値を、ストーリーテリングを通じて訴求できる点です。

また、良質なコンテンツはSNSでのシェアや拡散も期待でき、広告費以上の効果を生み出す可能性もあります。

ただし、メディアとの調整や原稿作成に時間とコストがかかるため、計画的な運用が必要となります。

【掲載先】
SNS(Instagram、TikTok、YouTubeなど)、ブログなど

【遷移先】
広告掲載先のコンテンツの1つとして掲載するため、遷移先は通常のコンテンツ同様に記事本文

 

ネイティブ広告のメリット

ネイティブ広告には次のようなメリットがあります。

ユーザ体験を損なわない自然な訴求

ネイティブ広告のメリットの1つは、ユーザの閲覧体験を妨げることなく、自然な形で情報を届けられることです。

従来のバナー広告やポップアップ広告は、コンテンツの閲覧を中断させたり、画面を覆い隠したりすることで、ユーザにストレスを与えることがありました。

しかし、ネイティブ広告はコンテンツの流れに沿って表示されるため、ユーザは違和感なく広告に触れることができます。

この自然な形での情報提供により、広告に対する拒否反応が軽減され、ブランドイメージが悪くなるリスクも減らせます。

また、ユーザが自発的に興味を持って広告をクリックする可能性が高まるため、質の高いトラフィックを獲得でき、結果的にコンバージョン率の向上も期待できます。

 

潜在層へのアプローチ

ネイティブ広告のもう1つのメリットは、まだ商品やサービスを認知していない潜在層にアプローチできることです。

検索連動型広告が顕在的なニーズを持つユーザをターゲットとするのに対し、ネイティブ広告はコンテンツを閲覧している幅広いユーザ層にリーチすることができます。

例えば、子育て関連のメディアに育児用品の広告を掲載したり、ビジネス系メディアにBtoBサービスの広告を掲載したりすることで、その分野に興味はあるものの、まだ具体的な商品を探していないユーザにも訴求できます。

興味関心や行動履歴に基づいたターゲティングを上手く活用することで、相乗効果も期待できます。

 

ネイティブ広告のデメリット

続いて、ネイティブ広告のデメリットについて解説します。

クリエイティブ作成の手間がかかる

ネイティブ広告を成功させるためには、質の高いコンテンツの作成が不可欠ですが、これには相応の労力とコストがかかります。

単に商品やサービスの特長を羅列するだけでは効果は期待できず、ユーザにとって価値のある情報を提供する必要があります

配信先のメディアごとに、そのメディアの読者層や編集方針に合わせてコンテンツをカスタマイズする必要もあり、複数のメディアに展開する場合は、それぞれに最適化した広告素材を用意しなければなりません

また、ブランドコンテンツ(ネイティブコンテンツ)の場合、プロのライターやデザイナーの協力が必要になることも多く、制作費用が高額になる傾向があります。

 

すぐに効果がでるわけではない

ネイティブ広告は、主に潜在層へのアプローチや認知拡大を目的としているため、即座にコンバージョンや売上につながるとは限りません。

リスティング広告のように、今すぐ商品を購入したいという明確なニーズを持つユーザを対象としていないため、広告を見てからコンバージョンに至るまでには、一定の検討期間が必要となることが多いです。

特に高額商品や比較検討期間が長い商材の場合、ユーザは広告を見てすぐに購入を決断することは稀で、複数回の接触や情報収集を経て、ようやく購入に至るというプロセスを辿ります。

そのため、短期的なROIを重視する場合には適さない広告手法といえます。ネイティブ広告の効果を正しく評価するためには、中長期的な視点でブランド認知度の向上や潜在顧客の育成効果を測定し、他のマーケティング施策と組み合わせて総合的に判断する必要があります。

 

ネイティブ広告の代表的な配信媒体

ネイティブ広告を配信できる媒体は、大きく分けてSNS系、ニュースアプリ系、そしてネイティブ広告ネットワーク上の媒体の3つのカテゴリに分類されます。

それぞれの特長を理解し、自社の目的やターゲットに応じて適切な媒体を選択することが重要です。

SNS系の代表的な媒体としては、Facebook、Instagram、X、LINEなどがあります。

これらの媒体では、ユーザの年齢、性別、興味関心、行動履歴などの詳細なデータを活用した精緻なターゲティングを利用したネイティブ広告の配信が可能です。

特に、FacebookとInstagramは同じMeta社が運営しているため、両媒体を横断した配信ができます。

XやLINEも、それぞれ独自のユーザ層を持ち、リアルタイム性の高い情報発信や、日本国内での高いリーチ力という強みがあります。

ニュースアプリ系では、SmartNewsやグノシー、Yahoo!ニュースなどが主要な媒体です。

これらのアプリは、ニュースや情報を積極的に収集するユーザが多く利用しているため、情報感度の高い層にアプローチできます。また、記事の内容に応じた文脈ターゲティングも可能で、記事と関連性の高い広告配信ができる点も魅力です。

ネイティブ広告ネットワーク※上の媒体へは、Taboola、Outbrain、popInなどのサービスを利用することで配信できます。

これらのサービスは、複数のメディアサイトと提携していて、1つのプラットフォームから幅広いメディアへの広告配信が可能です。

国内ではpopInが多くの大手メディアと提携しており、質の高い配信面を確保できることで知られています。

※ネイティブ広告ネットワーク:複数のウェブサイトやアプリなどの「広告媒体」を集約し、それらの媒体にネイティブ広告をまとめて配信できるプラットフォーム

 

ネイティブ広告で効果を出すためのポイント

最後に、ネイティブ広告はただ出稿すれば効果が出るわけではありません。

配信面やターゲット、クリエイティブにおいて気を付けるべきポイントを2つ紹介します。

 

コンテンツと親和性の高い媒体を選定する

ネイティブ広告の成功において最も重要なのは、自社の商品・サービスの特性と、配信先メディアのユーザ属性が合致していることです。

単に多くのユーザにリーチできる媒体を選ぶのではなく、そのメディアを利用しているユーザが、自社のターゲット層と重なっているかを慎重に検討する必要があります。

例えば、ビジネスパーソン向けのBtoBサービスを訴求する場合、NewsPicksやダイヤモンド・オンラインなどのビジネス系メディア、またはLinkedInのようなビジネス特化型SNSが適しています。

一方、20代女性向けのコスメティック商品であれば、InstagramやMERY、CanCamオンラインなどのファッション・美容系メディアが効果的です。

また、媒体選定においては、メディアの雰囲気やトンマナも考慮すべきです。

堅実で信頼性を重視するメディアには、データや根拠を重視した理論的な広告が、エンターテインメント性の高いメディアには、感情に訴えかけるストーリー性のある広告が適しています。

このように、媒体とコンテンツの相性を総合的に判断することが、ネイティブ広告の効果を最大化する第一歩となります。

 

読んでもらえるクリエイティブを作成する

ネイティブ広告は、ユーザにしっかりとコンテンツの内容を読んでもらうことで、価値が発揮されます。

そのため、コンテンツを読んでもらえるよう、ユーザの注意をひくタイトル設定が重要です。

例えば、具体的な数字や期限を含めたり、「知らないと損する」「今すぐできる」といった行動を促すフレーズを含めたりすることが有効です。

ただし、過度な煽りや誇大表現は逆効果となるため、メディアの信頼性を損なわない範囲での工夫が求められます。

また、せっかくクリックしてくれたユーザの期待にこたえられるようなコンテンツの内容(本文)も重要です。

「こんな悩みはありませんか?」「実は多くの人が誤解していることがあります」といった導入で読者を引き込み、その後、問題提起から解決策の提示へと自然に流れる構成にするなど、ユーザが引き込まれるようなストーリーを工夫しましょう。

 

まとめ

ネイティブ広告は、メディアのコンテンツに自然に溶け込むことで、押し付けがましい印象を与えることなく、届けるべきユーザに届けられる有効な広告手法の1つです。

本記事で解説したように、ネイティブ広告にはインフィード広告、コンテンツレコメンデーション広告、ブランドコンテンツという3つの種類があり、それぞれに適した活用シーンがあります。

ネイティブ広告の媒体の選定やクリエイティブ制作、運用に迷った際は、代理店に相談するのも1つの手です。

弊社メディックスでは、ネイティブ広告に限らずWeb広告全般のサポートも可能です。

お気軽にお問い合わせください。

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記事監修者

當流谷 圭

株式会社メディックス Digital advertising officer

2007年、株式会社メディックスに新卒で入社して以来、18年以上デジタルマーケティングの最前線で活躍。
広告運用領域を中心に大規模案件を担当し、運用改善だけではなく、LTVを加味した運用設計など、ROAS・ROI改善も得意とする。
現在は、Digital advertising officerとして運用型広告の研究や、AI活用推進組織を運営。
趣味は、生き物の飼育(爬虫類と蟻)。

略歴

2007
株式会社メディックスに新卒入社
2018
Google主催の「Premier Partner Event | Tokyo2018」で機会学習について講演(国内代理店で唯一)
その他、セミナー登壇多数

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