Webマーケターの皆さんが日々の活動の中で、何となく感じていることや気になっていることを、20万人ものモニタの行動ログからひも解くインターネット市場調査定期レポート。
今回は、「ショッピングモールサイトのセール効果」についてです。Amazonや楽天が行っているセール時にユーザがどんなアクションをしているのか、ショッピングモールに出店している企業にとって非常に興味深いデータとなっています。
■分析概要
全国の20万人規模のモニタ会員の協力により、ネット行動ログとユーザ属性情報を用いたマーケティング分析サービス「VALUES eMark+」を使用し、「Amazon.co.jp」の『CYBER MONDAY(サイバーマンデー)』、「楽天市場」の『楽天スーパーSALE』各時期における訪問者数推移を作成し、訪問者の属性や行動を分析。
※サイト訪問者数はPCからのアクセスを集計
※集計期間は2015年12月
■結果
◆セールが開始されると、両サイトとも10%以上のアクセスの伸びを記録
◆セール開催中とそれ以外の時期で来訪者の性別シェアは変わらず
◆両サイトともセールの期間中は併用ユーザが増加
となりました。
セール期間にはその前後と比べ、ユーザ数は確実に増加しているようですが、来訪者の属性は大きく変わりませんでした。
また、両方のサイトで同時にセールが行われていた期間は、両サイトを併用するユーザが増え、単独利用者が減っています。
■考察サマリ
◆セール開始日、「Amazon.co.jp」は対前日比111%、「楽天市場」は対前日比116%
「Amazon.co.jp」の『CYBER MONDAY(サイバーマンデー)』と「楽天市場」の『楽天スーパーSALE』の訪問者数をセール開始前後で比較したものが以下のグラフになります。
セール開始日と前日を比較すると、Amazon.co.jpでは111%、楽天市場は116%とそれぞれ10%以上増加しており、お得に購入できる『セール』に魅力を感じサイトを訪問しているユーザが多いことが伺えます。
◆セール開催中の来訪者に占める性別のシェアに大きな変化ナシ
続いて訪問者の性別属性を見てみると、セール開催中は大きなシェア変化はありませんでした。Amazon.co.jpは男性が6割以上、楽天市場は若干男性比率が上回る結果となりました。
◆両サイトで同時にセールを開催していた期間は併用ユーザが増加
下の表のように、【12/2~12/4をセールなし期間】、【12/5~12/7を楽天市場のみセール期間】、【12/8~12/10をAmazon.co.jp・楽天市場セール期間】、【12/11~12/14をAmazon.co.jpのみセール期間】と分類し、Amazon.co.jpと楽天市場のユーザの併用状況の推移をみてみました。
表4を見ると、【セールなし期間】は、『Amazon.co.jpのみ閲覧ユーザ』と『楽天市場のみ閲覧ユーザ』がそれぞれ3割ほどいますが、楽天市場でセールが開催されると『Amazon.co.jpのみ閲覧ユーザ』は4ポイント減少、『併用ユーザ』が3.1ポイント増加していることが分かります。
また、『楽天市場のみ閲覧ユーザ』はAmazon.co.jpのセール開催を境に減少傾向となり、【セールなし期間】と【Amazon.co.jpのみセール期間】を比較すると6.4ポイント減少していることがわかります。
最終的に『併用ユーザ』は43%までシェアを伸ばしており、”セール”という企画により併用するきっかけを与えていることが考えられます。通常時はどちらかのみを閲覧しているユーザも、セール期間は併用しているユーザが多いことから、やはりセールは集客性の高い企画と言えそうです。
※ヴァリューズ調べ
Amazon.co.jp、楽天市場以外にもY!ショッピングやZOZOTOWNなど、大型のショッピングモールは複数存在します。
各モールともセール時にはTV CMをはじめ、様々な集客施策を行って出店社への売上拡大をサポートしています。
少し前までは、モールごとにポイントシステムなどによるユーザの囲い込みを行っていましたが、今回の調査結果を見ると、それらによるユーザの囲い込み以上の効果もセールでは出ているように見えます。
セールをきっかけに新しいモールを訪れるユーザもたくさんいますので、このタイミングを逃さずに、モール内での新規ユーザの獲得を検討されてはいかがでしょうか。
VALUESが事業支援のためのソリューションとして立ち上げたサービスの1つが『ネット行動分析サービス』です。これは20万人規模の一般ユーザのPC上での行動ログとデモグラフィック情報を活用した、次世代のマーケティング手法です。
http://www.valuesccg.com/service/service_detail/id=71