ディープリンクという言葉をご存じだろうか?
ディープリンクとは、Webサイトにおいてトップページ以外の特定ページへのリンクのことを指している。しかし、スマートフォンの普及とそれに伴うアプリの発展により、ディープリンクの示す意味が変わってきている。
単にWebサイトの特定のページへのリンクのことだけではなく、
スマートフォンアプリの特定ページへのリンクも指すようになってきているのだ。
本稿では、そんなスマートフォンアプリのディープリンクの紹介と活用方法を記載したい。
目次
スマートフォンアプリへのディープリンクの必要性
なぜスマートフォンアプリへのディープリンクが必要なのか?
それは現在のトレンドとして、スマートフォンアプリは複数機能を持つのではなく、シンプルな構成の1アプリ1機能が主流だからである。
スマートフォンというデバイスの特性上、複雑な構成で複数の機能を持つ高機能なアプリよりも、
シンプルな構成でぱっと使えるアプリの方がユーザーへの印象は良い。
そのため、その流れはまだまだ続いていくだろう。
しかし、それだと様々なスマートフォンアプリをインストールすることになるので、
アプリを起動→TOPページ→特定ページへ遷移というフローを何かあるごとに辿るのが非常に億劫になってくる。
そこでスマートフォンアプリの特定ページへダイレクトに遷移できるディープリンクの出番というわけだ。
スマートフォンアプリへのディープリンク
あれば非常に便利なスマートフォンアプリへのディープリンクではあるが、
Webサイトへのディープリンクと異なり、単に該当ページのURLがあればよいというものではない。
Web側とアプリ側の両方へディープリンクの機能を実装する必要がある。
下図はGoogle社の提供しているディープリンクの機能「App Indexing」について記載したものとなる。
現在のところAndroid限定の機能となっており、対応するアプリも多くはないが、
導入すればWebでのアクションをそのままアプリにも延長でき、非常に便利な機能となる。
各社のディープリンクへの取り組み
Goolge:App Indexing
Googleでの検索結果からアプリの特定ページを開く仕組みを提供。
また、リスティング広告:Adwordsの結果からもアプリの特定ページを開けるようなった。
媒体の説明ページはこちら
https://developers.google.com/app-indexing/webmasters/app?hl=ja
(出典:GoogleDevelopers)
【具体的な活用方法:駐車場を探したい時の地図アプリの場合】
<ディープリンクを使わない場合>
駐車場を探したいユーザーは、近くの駐車場を検索してから地図アプリを開いて、検索した駐車場を地図アプリに打ち込み、駐車場までのナビを表示させる必要がある。
<ディープリンクを使った場合>
ユーザーがGoogleで近くの駐車場を検索した時に、検索画面から直接、目当ての駐車場までのナビを地図アプリで見られるようになる。
つまり、ディープリンクを活用することで、「駐車場までのナビのために地図アプリを起動して、
検索結果に表示された駐車場を打ち込むといった煩雑な手順」が省けるようになる。
特に駐車場を探すことなどは、移動中に行うことがメインとなるため、少しでもユーザーの手間を省いてあげると、アプリの好感度アップへつながるのでぜひお勧めしたい。
Twitter:Twitterカード
Twitterカードは、写真や動画などのリッチメディアをツイートに添付してwebサイトへのトラフィックを促進させる仕組みだが、
その機能の1つAppカードでディープリンクへの対応を行っている。
この機能により「つぶやき」のリンク先をアプリの特定ページにすることが可能になる。
媒体の説明ページはこちら
https://dev.twitter.com/ja/cards/overview
(出典:TwitterDevelopers)
【具体的な活用方法:ゲームアプリの場合】
<ディープリンクを使わない場合>
ゲームアプリの評価をつぶいやいても、つぶやきを見たユーザーは直接ゲームアプリを開くことができないためゲームアプリを試してみたくても、
・インストール済みユーザーは、ホーム画面などへ戻ってゲームアプリを立ち上げる
・未インストールのユーザーは、Google PlayやApp Storeでそのゲームアプリを探す必要がある。
という煩雑なフローがあるため、気軽にゲームアプリを立ち上げてくれない。
<ディープリンクを使った場合>
ゲームアプリについての評価などをつぶやいて、リンクからゲームアプリを開かせることで、
・インストール済みユーザーは、そのままゲームアプリを起動する。
・未インストールユーザーは、Google PlayやApp Storeのそのゲームアプリのページへ遷移させることができる。
ディープリンクを活用することにより、ワンクリックで、インストール済みユーザーはアプリを起動し、
未インストールユーザーはアプリダウンロードページへ遷移する。
ユーザーの煩雑な手間を省くことで、ユーザーがアプリを起動・ダウンロードしてくれる可能性を高めることができるのだ。
FaceBook:App Links
Facebookも投稿に設置したリンクをアプリの特定ページにすることができる。
媒体の説明ページはこちら
https://developers.facebook.com/docs/applinks?locale=ja_JP
(出典:FaceBookDevelopers)
具体的な活用方法としては、こちらもtwitterと同じように
ゲームアプリについての評価などをつぶやいて、リンクからゲームアプリを開かせることで、
アプリ起動のハードルを極めて低くすることができる。
ゲームに関わらず、他の方の意見を聞いて自分もやってみようと思えるアプリであれば有効活用できるので、検討いただきたい。
Criteo:モバイルアプリ内パフォーマンスディスプレイ広告
Criteoでもディープリンクを用いたユーザーへのアプローチを展開している。
これはアプリへ表示する広告のリンク先へディープリンクを使用するというものとなる。
詳細は下の図を参照いただきたい。
【具体的な活用方法:ECアプリの場合】
<ディープリンクを使わない場合>
一度見たが、購入orカートに入れなかった商品を、別のアプリを開いているときに広告で訴求しても、
その商品のページではなくECアプリのTOPへ遷移させることしかできない。
Webサイトであれば表示された広告の遷移先が商品の詳細ページになっているのが一般的だが、
アプリの場合は、アプリのTOPへ遷移させるしか方法がないのだ。
<ディープリンクを使った場合>
一度見たが、購入orカートに入れなかった商品を、別のアプリを開いているときに広告で訴求して、
広告クリックでECアプリのその商品の詳細ページに遷移させることで、ユーザーの購入を促すことができる。
アプリのTOP画面ではなく、商品の詳細ページに直接遷移させることでユーザーへの訴求をより明確にすることができるのだ。
見た商品の広告を他のサイトでも表示させて購入へ結びつけるという、Webでは当たり前の導線の
それが、アプリでも可能になるため効果的にユーザーへの訴求が行えるので、ぜひ活用いただきたい。
ディープリンクのまとめとこれからの展望
ディープリンクを使用したユーザー訴求を各社が展開してきており、日本国内でもディープリンクを提供するソリューションが出始めてきている。
Webでできた当たり前のことをスマートフォンアプリでも行えるという、当たり前だが画期的な手法であるため、今後さらにディープリンクへ関わるプレーヤー・サービスは増えることが予想される。
スタートアップの現段階でディープリンクの活用方法をおさえておいて、Webだけではなくアプリも交えたユーザーへのアプローチの検討をお勧めしたい。