何からやればいい? Webブランディングはじめの一歩|ウェブ部

何からやればいい? Webブランディングはじめの一歩

Webサイト構築

“このところ顕在層の刈り取りも頭打ち。次の一手をどうすれば…?”

そんな風に感じているマーケ担当の方も多いのではないでしょうか。

CPA、CPC、CTR、CVRの各指標は改善できるだけ改善したが売上の伸び悩みが続いている、そんな時、着手を検討したいのが『Webブランディング』です。

とはいえ、実際どんなことをするのか?わかりにくいのも正直なところ。そこでまず『ブランディング』とはそもそも何か?ということからお話ししたいと思います。

ブランディングとは何か

例えば、近所にスーパーストアのAとBがあり、あなたは「生鮮食品を買う時はA」「それ以外を買う時はB」という使い分けをしているとします。

おそらくAは新鮮さに信用があるスーパーで、Bは価格の安さか品揃えの豊富さに信用があるスーパーなのでしょう。この「生鮮食品ならAで」「生鮮食品以外ならBへ」という消費者心理こそ、AとBのブランドがあなたの心に浸透している証拠。

おおまかにとらえれば「○○なら」という部分が、消費者が感じている『ブランド価値』。

そして、それをターゲットとなる消費者に浸透させ、共感を得るために情報と体験を提供する活動が『ブランディング』です。

ブランド価値とブランディングの関係

Webブランディングの位置づけと役割

では、Webブランディングは、ブランディングのどの部分を担うのでしょうか?

結論を先に述べると、それはブランディングの全体です。

企業メッセージの発信といえばマス広告のイメージが強いですが、マス広告の場合、対象が不特定多数で興味のない人が大多数を占めていることや、メッセージを受け取ってもブランド価値を体験したり評価したりすることが難しいことから、消費者の反応を基にしたPDCAを回しにくいことが難点といえます。

そうしたマス広告にできないブランディング活動をカバーできるのがWebブランディング。

メリットをまとめると次の5つになります。

1.意欲:類似情報に興味がある人々が来ますので高い反応が期待できます

2.体験:詳細または疑似的な体験を提供することができます

3.分析:閲覧データから訪問者の反応が読み取れます

4.対話:評価を訪問者から返してもらい、さらにレスポンスを返すこともできます

5.改善:評価に基づきスピーディに改善することができます

Webブランディングのカバー領域

5つのメリットを具体的にWebサイトを取り巻く要素に置き換えてみると、次のようにとらえることができます。

1.意欲:検索行動、類似Webサイト閲覧、拡散と共有

2.体験:サイトデザイン、コピー、アクション、お試し、カスタマイズ、申し込み

3.分析:広告測定、Webサイト解析

4.対話:問い合わせ、SNS発信とフォロー

5.改善:解析に基づく改訂

他にもあると思いますが、こうしたWebサイトを取り巻く要素を十分に活かしてブランド価値を提供し続けることが、Webブランディングというマーケティング活動です。

掲載する情報をブランドイメージに添って表現することがWebブランディングではないことを覚えておいてください。

次の章では、ここで提供されるべきブランド価値とは一体どこから生まれるものなのか?についてお話しします。

ブランドプロミスをつくろう

そろそろ具体的なワークのお話に入りますが、その前に1章に登場したスーパーストアAとBを思い出してください。

1章では、“それぞれのブランド価値が浸透している”と述べましたが、実をいうと正しい意味でのブランド価値が浸透しているかどうかは怪しい状態です。

ブランド価値は、消費者が自己体験を通じて感じるベネフィットですが、果たしてそれらはA、B自身の意志による戦略的なものなのでしょうか?

特にBは、「生鮮食品以外なら」という引き算思考によるブランド価値。
B自身にはそんなつもりはなく、本当は生鮮食品をもっと売りたいと思っていたら…。

ここで必要になるのが『ブランドプロミス』。ブランド価値は消費者の体感ですが、ブランドプロミスは企業からの約束。企業側の想いや事業上の都合を踏まえてつくられるものです。

大切なのは、ブランドプロミスとブランド価値とが一致していること。そして、その一致を生み出すことがブランディングの最も重要な使命なのです。

Webブランディングのはじめの一歩となるワークは、このブランドプロミスをつくること。

最終的にはキャッチコピーのようなインパクトのある表現に仕上げることが望ましいですが、ここではシンプルにワーク的につくる方法をお話しします。

次の「○○」を埋めてみましょう。

私達は、
○○な人の、
○○という課題を、
○○という理想の自分になれるよう、
○○の点で優れた、
○○を使って解決します

これが、あなたの会社からターゲットとなる消費者への約束の言葉です。

事業内容や規模によって、ジャストフィットしないこともあると思いますが、語句の役割を補足すると次のようになります。

私達は、              = あなたの会社名

○○な人の、            = ターゲットペルソナ

○○という課題を、         = ターゲット課題

○○という理想の自分になれるよう、 = 競合優位性(情緒)

○○の点で優れた、         = 競合優位性(機能)

○○を使って解決します       = 商品・サービス・事業領域

全部の「○○」が埋まったら、次の2つのことを考えてみてください。

1つ目は、できあがった文章は継続的に続けられるものかどうか?。

ブランドプロミスは、いわば法人の性格です。

知人の性格が猫の目のように変わるようだとお付き合いしにくく、だんだん疎遠になってしまうのと同じです。

少なくとも今後10年くらいは続けられる内容でなければ、ブランドプロミスの浸透は難しいと思います。

2つ目は、消費者から見たあなたの会社の価値、つまり認知されたブランド価値と一致しているかどうか?。

本章のはじめに話したように、これを一致させることがブランディングの使命です。もしも大きなギャップがある場合は、提供する情報・体験の内容を見直す必要が出てきます。

ブランドプロミスとブランド価値

消費者の課題=ニーズを考慮しないブランドプロミスはあり得ないのです。

その場合は、自分達が考える約束にはニーズがないことを素直に受け止める必要があります。

そうしたことに気づくためにも、ブランドプロミスをつくるというワークは、とても意義のあるはじめの一歩なのです。

Webサイトには「体験」をつくろう

最後にブランドプロミスができ上がったのち、それをWebサイトにどのように反映するかについて簡潔にお話します。

デザイン、言葉遣い、情報区分の仕方、ナビゲーション配置は、ブランドプロミスを伝えるポイントとして重要です。

なぜかというと、それらはブランドプロミスの「体験」そのものだからです。

例えば“お客様と同じ目線で考えた商品です。”と謳いながら、「製品の写真が小さくて見えない」「アングル数が少なくて買うべきかどうか判断できない」といった訪問者のストレスにつながる体験を訪問者がしてしまったら…?きっと“お客様目線なんて口先だけ”と感じ、そのWebサイトには来なくなってしまうでしょう。

ブランドプロミスは、Webサイトでの体験においても果たされるべき約束であるという意識を常に持つようにしましょう。

またWebブランディングでは、見た目や使い勝手だけでなく、訪問者がブランドプロミスを体験し、ブランドへの共感を高めていく理想の回遊ルート『カスタマージャーニー』を設定することも重要です。

カスタマージャーニー フロー

例えば、競合他社との差別化ポイントを、訪問者が気づいていない課題にあって、それに応えられる競合優位性(機能)を伝えているのに、その「課題の新発見」をスルーされてしまっては意味がありません。どこから見せて、どこを経由して、どんな訪問者の行動を期待するのかを仮説によって設定し、そのためのリンク位置はどこが良いのかなど情報設計を工夫しましょう。

また、Webブランディングの利点は、リアルでの消費者のフィードバック情報も取り込み、ブランドへの評価を分析して改善していくことができるという点にもあります。

一度目の購買行動のあと、どのようなフォローをしてWebサイトを再訪させるか、というLTV向上のためのカスタマージャーニーまで設計することを心がけましょう。

<参考記事>
どう作る?どう使う?カスタマージャーニー
https://medix-inc.co.jp/webbu/customer-journey-2532

まとめ

顕在層から潜在層へアプローチ対象を広げるにあたって、ブランディング戦略を立てるということは、商品・サービス価値が仮に他社と同等であっても、企業価値を理由として消費者に選ばれる姿を目指すということです。

まずは自社がターゲットに対して提供する普遍的な価値について、格好の良さや表現としてのクオリティは一旦置いておいて、シンプルにストレートに考える時間を持ちましょう。それが『Webブランディングはじめの一歩』です。

またリアルでの営業、接客、商品・サービスから感じられるブランド価値が、評価を決める上で決定的なポイントであることに変わりはありません。

Webサイト上にいくら美辞麗句があっても、フォームから問い合わせた際の返信、電話対応、店舗接客、そして、もちろん商品・サービスそのものが消費者にとって不十分であれば、企業価値はゼロもしくはマイナスになってしまいます。

Webサイトを中心に置きながらも、それを変えれば良い訳ではない、ということも忘れないようにしましょう。

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