この記事では、コンバージョン獲得を目的としたFacebook広告運用で抑えておくべきポイントを「エンジンの最適化」「ターゲティング」「クリエイティブ」の3つの観点でお伝えします。
Facebook広告の基本を知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
目次
Facebook広告運用ポイントその1. エンジンを最適化して機械学習に活かす
Facebook広告を含むサービス提供の基礎となる最適化エンジンは、他の媒体と比較してとても優秀であるといわれています。理由は、「人」をベースにして機械学習を進めるからです。
他の媒体の多くは、クッキーをベースにユーザの判別をして機械学習がされ、配信が行われます。そのため、ブラウザが変われば別ユーザとしてみなされてしまうのです。
一方Facebookでは、違うブラウザであっても同一ユーザだとみなし、機械学習が行われます。ですので、Facebookはユーザ1人ひとりの深い情報を蓄積でき、他の媒体と比較して機械学習の質が高いのです。
その優秀なエンジンが広告配信の最適化を行うには、機械学習の質を高めることが必須となります。質を高めるには、統計的優位差を出せるようなるべく多いデータが必要です。
では、「質」「量」を高めるためには、具体的にどのようなことをすればよいのでしょうか。
ポイントは2つ。「量」の確保するために正しいアカウント構成の設定をすること。「質」を高めるために、正しいタグの設置をすることです。
アカウント構成
Facebook広告のアカウント構成には、3つの段階があります。
キャンペーン・広告セット・コンバージョン数(広告)です。
広告セットは、Google広告における広告グループにあたります。
真ん中の広告セットがターゲティング設定をする箇所になり、この広告セット単位で機械学習が行われます。機械学習が円滑に動き始めるためには、少なくとも1週間あたり1広告セットで50コンバージョンが必要でしょう。
どのようなアカウント構成にするのが理想でしょうか?まずは、NG例から紹介します。
上の図2は、女性向けのキャンペーンを年代ごとに広告セットを分けている例です。
各広告セットでとれるコンバージョンの数が少なくなってしまっては、機械学習の質も高まりません。年齢別・性別での広告効果を見るために図2のような設定をしているのであれば、Facebookのレポート機能で見ることも可能です。機械学習を円滑に進めるためにも、年齢や性別などで不用意に広告セットを分けることは避けたほうがいいでしょう。
下の図3が良い例です。このように1週間で50コンバージョンの獲得が見込めるターゲティングに設定することをおすすめします。
ただし、商材などによっては、コンバージョンが出せないこともあるかと思います。
そのような場合は、マイクロコンバージョン※の量を確保して、機械学習に活かしましょう。
※最終コンバージョン(=商品購入や資料請求など)一歩手前のカート追加や申し込みフォームページの到達
<配信は、すべての面に行うのがベスト>
Facebook広告では様々な配信面があり、Facebook・Instagram・メッセンジャー・Facebook社が提携しているアプリなどの配信面などがあります。
機械学習の量を担保するために、すべての配信面に配信をすることをおすすめします。
Facebookのアルゴリズムは、時間帯によって入札する配信面をその時々で変えて、安い配信面を探して配信します。ですので、「Instagramはターゲットには合わなそうだけど、Facebookはターゲットが良く見てそうだな」などのイメージでそれぞれの媒体を敬遠したり、絞りこんだりせずにまずは、すべての面に配信して効果を見てみましょう。
タグ設定
続いて、機械学習の「質」を高めるために、重要なタグの設定について解説します。
冒頭で説明したとおり、Facebookはユーザが、どのページを見たか?何を買ったか?ということを、人単位で蓄積して機械学習が行われます。正しく機械学習がされるためには、「適切なページ」に、「適切なタグ」が設置されていることが大前提です。つまり、サイトに対してタグが正確に設置されていないと配信エンジンに情報が届かず、機械学習も進まない。ということになりかねません。また、どの情報を配信エンジンに届けるかによって、広告の効果に差がでてきてしまいます。
よくあるタグ設定のNG例は下図4です。リターゲティングタグとコンバージョン(CV)タグのみ設定しているパターンです。
このように設定してしまうと、広告をクリックしたユーザがコンバージョンしたか?していないか?という情報しか配信エンジンに届きません。ユーザがコンバージョンページ以外を回遊した場合でも、TOPからカートページすべてにリターゲティングタグが統一して設置されているため、サイトに来たということしかFacebookは認識できません。
それでは、正確な情報を配信エンジンに届けることができませんし、なにより得られる情報量が少なくなり、機械学習の進みが遅くなってしまいます。
では、どのような設定にすればよいでしょうか。
上の図5のように、ページの階層に沿って、それぞれにしかるべきタグの設置をするとよいでしょう。広告をクリックしたユーザがコンバージョンしていなくても、「どのページ」に「どのユーザが来たか」をFacebook側で検知することができます。Facebookは学習をして、より深いページに潜ったユーザに対して優先的に広告配信をする特性があり、より深い階層のページまで潜ったユーザのほうが、リターゲティングユーザとして優良とみなされるのです。
適切なページに、適切なタグを設定し、エンジンの学習をより進みやすくなるようにしましょう。
Facebook広告運用ポイントその2.ターゲティング機能を生かす
Facebookは、外媒体と比較してもかなり細かくターゲティングを設定することができます。ですので、どのようなターゲティングがベストの方法なのか?悩むこともあるかと思います。ここでは、弊社で高い効果実績が出ている「類似オーディエンスの拡張配信」について解説します。
「類似オーディエンス」とは、指定したユーザに類似している人をFacebookが探し出した(=拡張した)オーディエンス群のことです。
例えば、自社サイトのコンバージョンユーザやリターゲティングユーザを拡張元リストとして指定すると、そのユーザに類似したユーザをFacebookが探し出し、広告配信をすることができます。
類似拡張の幅
配信に際して、Facebook全ユーザに対してはどの程度の割合で類似オーディエンスを探しだすか(=類似拡張の幅)は、まずは1%(Facebookユーザ2600万人に対しての1%の26万人)から始めていきましょう。そして、効果を見ながら徐々に3%→5%→7%と広げていくとよいでしょう。
配信元のリストは?
類似オーディエンスの拡張配信は、元リストが非常に大事です。
リターゲティングユーザやコンバージョンユーザの類似はよくありますが、弊社のクライアントの中で最も効果が出ているのは、顧客データ(顧客のアドレス)を使った類似拡張配信です。さらにその中でも、リストを精査することにより効果に違いが出てきます。
実績
下記は、金融関連会社の実績です。
顧客データを使った類似配信ですが、細分化し、2パターンに分けて類似拡張配信をした結果、下段のハイクラスユーザの類似のほうがCVRも高く、CPAも低いという結果が出ました。
Facebook広告運用ポイントその3.クリエイティブ
Facebook広告は、1つひとつの広告にスコアがふられます。このスコアの値によって、CPCが10倍以上の差が出ることもあります。ですので、都度テストをしながらクリエイティブの効果を追っていくことが非常に重要です。
フォーマットを活用する
Facebookには、活用できるクリエイティブのフォーマットがたくさん用意されています。まったく同じ訴求であっても、フォーマットによって効果がかなり変わってくることがあります。
テストを繰り返し、訴求にあった、ベストなフォーマットを探していきましょう。
どんなにいいクリエイティブも、ユーザに飽きられてしまうと効果が出にくくなります。では、劣化(飽きられないこと)のスピードを抑えるためには、どのようなPDCAサイクルが必要でしょうか。
一例として次の方法をおすすめします。
① 2カ月分のクリエイティブを用意 ②週次で切り替えてテストを実施 ③1カ月が経過した段階で結果の集計と分析をしつつ次のバナーを作成する、という方法です。
<テストすべき要素とは>
媒体によって若干の違いがあります。
Facebookでテストすべき要素は、主にフォーマットと画像とテキストをテストします。Instagramでは、主にフォーマットと画像のテストを行いましょう。
Facebookのテスト要素にテキストが含まれているのは、ユーザのモチベーションの違いにあります。Instagramは、主に画像を楽しむユーザが多いですが、Facebookは、友達の投稿やメディアの発信する記事を読むために来ているユーザが多く、広告でも文章が読まれやすい傾向にあるからです。
まとめ
この記事では、コンバージョン獲得を目的としたFacebook広告運用で抑えておくべきポイントをお伝えしてきました。
最後に、大切な点をおさらいします。
(1) Facebookの配信エンジンを最大限に活かすためには、適切なアカウント構成とタグ設計を行うこと。
(2) ターゲティングは類似オーディエンスへの配信を行うこと。拡張を行うには、元になるリスト選びが成功のカギとなる。
(3) クリエイティブの劣化は早いので、計画的にPDCAを回し、効果を計測していくこと。
以上となります。皆様のFacebook広告運用が、よりよい効果を出せることを願っております。