この記事では、「コンテンツSEO」とは何か?について、具体的な事例・数字をもとに、コンテンツSEOのメリットや効果、施策を実施する手順、成功させるためのポイントについて説明します。
目次
1.コンテンツSEOとは
コンテンツSEOとは、検索からのトラフィックを獲得することを目的とし、サイト内(ドメイン内)に、ユーザにとって有益な情報をもったオリジナルコンテンツ(ページ)を数多く、継続的にアップするSEO施策です。
この施策により、検索数の多いビックキーワードで、より順位を上げ、検索ユーザの誘導を増やすことができるほか、複数のテールキーワードで上位表示を狙うことで、検索数の少ないキーワードからの流入も積み重ねることができます。
もともとSEOの「内部施策」の一環で、検索結果の上位表示を行うには競合サイトよりも多くのオリジナルコンテンツをもっていることが必要といわれております。
「コンテンツ施策」自体は目新しい施策ではないのですが、「コンテンツマーケティング」というキーワードに代表されるように、コンテンツの重要性への意識が高まるとともに、SEOの分野でもあらためて注目されています。
また、Googleの検索エンジンが文脈を理解するようになってきており、以前のように「キーワードがページに含まれていれば順位が上がる」という考えから、意味のある・価値のある内容をもったコンテンツをもつ必要性が高まったということも重視されている要因の1つです。
2.コンテンツSEOの効果
それでは、具体的にコンテンツSEO施策を行うことでどのような効果が得られるのでしょうか。
下記の事例は、「ある事業経営の支援サイト」にて施策を行った結果です。
サイト内に読み物コンテンツのディレクトリを作成し、1ヵ月に4記事をアップしました。
結果、記事ページにて検索順位も改善し、1年間でサイト全体でのセッション数が1.7倍に成長しました。そのうち、記事をアップしたディレクトリ内のセッションが22%を占めています。
また、サイト全体で900キーワードでのオーガニック流入がある中、371キーワードが記事ディレクトリへの流入となりました。
「●● 起業」や「●●ビジネス起業」といった直接効果に結びつきやすいキーワードについても順位をあげ、流入数増加に貢献しています。
また、今ご覧いただいているこの「ウェブ部」も、それぞれの記事に「テーマ」があり、キーワードを設定しています。
インターネット広告に何らかの形で関わる皆さまへウェブ部の記事を届けるため、手法やメディア名で検索した際に、そのキーワードで検索する人がどのような情報を欲しているかを想像し、記事を書いています。
例えば、「ネイティブ広告」で検索した人に向けては、下記のような記事を挙げています。
——————————————————–
これさえ読めばすべて分かる!ネイティブ広告の全種類と活用法
https://medix-inc.co.jp/webbu/native-ad-669
——————————————————–
「ネイティブ広告」と検索したユーザの要望に合った記事と判断されたため、「ネイティブ広告」で検索すると1位に表示される記事となりました。
ネイティブ広告について知りたい人が多い(検索数)ためと、SEO順位が良いこともあり、ウェブ部の中でも長く「人気の記事」にランクインする記事となっています。
3.コンテンツSEOの成功のポイント
冒頭で、下のように「コンテンツSEO」を説明しました。
——————————————————–
コンテンツSEOとは、検索からのトラフィックを獲得することを目的とし、サイト内(ドメイン内)に、ユーザにとって有益な情報をもったオリジナルコンテンツ(ページ)を数多く、継続的にアップするSEO施策です。
——————————————————–
コンテンツSEOを成功させるポイントは、下の4点です。
- ユーザにとって有益な情報 = キーワードが盛り込まれていれば良いのではなく、読んだ人にとって価値のある必要がある。
- オリジナルコンテンツ = 他サイトからの引用やコピーであってはならない。
- 数多く = 質だけではなく量も重要。
- 継続的に = 短期的ではなく、長期的な視点でじっくり行ってこそ効果を発揮する。
特に、コンテンツSEOを取り組む上で意識したいポイントは、はじめの設計をしっかりと行うことと、単月の効果に一喜一憂せずに「継続的に」施策を行うことにあります。
4.コンテンツSEOの具体的な手順
次に、コンテンツSEO施策の具体的な手順について説明します。
——————————————————–
4-1.キーワード選定
4-2.記事内容の設計
4-3.効果計測
——————————————————–
4-1.キーワード選定
コンテンツSEOの施策を始める際、重要なのがキーワードとコンテンツ(記事)の設計です。
この章ではコンテンツを書く上で最も重要となるキーワードのリサーチの仕方とキーワードの選び方について説明します。
1つひとつ詳しく説明していきますので、ぜひコンテンツを作成する上での参考にしてください。
A,単一キーワード・複合キーワードの洗い出し
まずは、施策のメインとなる単一キーワードを決めます。これは、通常のSEOでの注力キーワードで問題ありません。
自社のサービスに親和性の高いキーワードでありながら、競合他社が強いためになかなか上位表示に苦戦しているキーワードなどもあるかと思います。
例えば、派遣人材会社では「派遣」もしくは「◯◯(業種)+派遣」、化粧品会社では「化粧水」「美容液」などです。
キーワードが決定したら、コンテンツSEOで上位表示を狙うテールキーワードを調査します。
Googleのキーワードプランナーを使い、関連ワードの一覧を出します。
その他、検索窓にキーワードを入れた際にでてくる関連ワードも対策キーワードに含めます。
現在のGoogleは、文字列のみでコンテンツを評価しておらず、文脈も理解していると考えられています。
キーワードの有無のみならず、関連キーワードに関するコンテンツを持っているか否かで、単体キーワードの上位表示状況が変わります。
例えば、「魚」で検索した結果には、サジェストやキーワードプランナーで出てくる「魚漢字」「魚図鑑」「魚レシピ」など関連ワードに関するコンテンツを持ったサイト(ページ)が上位表示されているのがわかります。
コンテンツSEOでは、関連キーワードに関するコンテンツを増やしていくことで、テールキーワードでの上位表示をまずは目指します。
それにより、テールキーワードからの流入を増やします。
それぞれ、検索数は少ないものの、継続的に記事をあげることで、対策ワードの数を増やし、結果的に検索からの流入を全体的に増加させます。
合わせて、注力キーワードの順位も追っていきます。
関連キーワードのコンテンツが増えることで、コンテンツ量が競合他社へ近づき、ビックキーワードへの順位波及を狙います。
ただし、こちらは時間のかかる施策ですので、他のSEO施策と併せて長い目で追っていく必要があります。
B,キーワード選定
次に、Aで洗い出したキーワードのうち、次を除きます。
- 自社サービスと無関係なもの
- 競合他社名が含まれたキーワード
- 自社サイト上に掲載することはできないもの
これらを除いたものを対策キーワードの一覧とします。
また、Googleのキーワードプランナーで関連ワードを出すと、「関連性の高い順」に出るので、上位にあるキーワードほど優先的に、重要度が高いと判断し、キーワードを選定します。
4-2.記事内容の設計
対策を行うキーワードが決定したら、それぞれのキーワードに対してコンテンツ(記事)を作成していきます。
それぞれのキーワードでどのようなコンテンツ(記事)を書くべきかを、検索するユーザの気持ちになって考えます。
例えば、「美容液」の関連キーワード「美容液 効果」についてであれば次のようなものが考えられます。
- 美容液が効果的な場面、使い方
- 美容液の種類別の効果
- 効果を発揮できる目的にあった美容液の選び方
実際に検索をしてみて、上位表示されているサイトの内容を確認してみるのも一つの方法です。
上位表示されているサイトというのは、Googleが評価しているサイトですので、そのサイトに書かれている内容を網羅することが、上位表示につながります。
対策キーワードとコンテンツ(記事)、ターゲットユーザを整理して一覧にしておくと、進行がしやすくなります。
設計ができたら、実際に記事を作成し、アップしていきます。
適切な「文字数」についてはお問い合わせをいただくことがありますが、特に規定はありません。
そのキーワードを検索したユーザの要望を満たすのに、過不足ない内容をまとめることが重要です。
1つの目安として、1500~2500文字くらいあれば、ある程度の内容を含められると考えています。
また、自社で記事を作成するのが難しい場合は、制作会社やSEO会社で記事納品のみの代行を行う会社や、設計から記事納品まで行う会社もありますので、1つの選択肢として検討してもよいかと思います。
4-3.効果計測
冒頭で触れましたが、コンテンツSEOの目的は下の2点です。
——————————————————–
【目的1】下層ページにアップしたコンテンツページを受け皿として、テールキーワードでの順位を上げる
【目的2】下層ページに関連コンテンツを量産することにより、波及効果として上層ページでビックキーワードの順位を上げる
——————————————————–
【目的2】に関しては、対策キーワードの上位表示難易度や競合サイトの状況にもよりますが、時間がかかるケースが多いので、じっくり取り組む必要があります。
開始当初はまず、【目的1】のテールキーワードでの流入数増加をKPIとします。
効果計測は、Googleアナリティクス(GA)などの解析ツールと、GRCなどの順位計測ツールを利用し、次の4点をKPIとして定点的に計測を行います。
- SEO(オーガニック)流入数(サイト全体)
- SEO(オーガニック)流入数(記事アップディレクトリ内)
- オーガニック流入キーワード数
- 注力キーワードおよび関連キーワードの順位変動
レポートサンプル (※数値や順位は架空のものです)
記事アップディレクトリ内でのオーガニック流入数や、オーガニック流入キーワード数により、コンテンツをアップしたことによる直接の効果(目的1)を確認し、サイト全体でのSEO流入数の増加にて、上層ページへの波及効果(目的2)を確認します。
また、注力キーワードや関連キーワードの順位変動を確認することで、狙い通りに対策キーワードでの順位上昇ができているかを確認し、順位が出ていない場合などは、コンテンツの見直し・リライトや、別視点でのコンテンツの追加を検討します。
5.最後に、コンテンツSEOを始めるにあたって
コンテンツSEOを実施・検討するときに大事なのは、徐々にその効果が出てくる、長期的な視点が必要な施策であることを理解することです。
数ヵ月間記事をアップしていると、少なからず新たに上位表示されるキーワードが出てきます。
その検索数は少ないため、初速のインパクトは小さいはずですが、継続していくことで、確実にトラフィックは増えていきます。
また、あくまでコンテンツは肉付けですので、骨格となる内部施策が十分になされていて始めてその効果が発揮できます。
これからのSEOでコンテンツが重要なのはもちろんですが、その効果が十分でないときは、あらためて内部施策についても見直して、サイト全体としてSEO対策を行っていただければと思います。