広告だけじゃない!サイト改善にも使えるマイクロコンバージョンの設定の仕方と活用法|ウェブ部

広告だけじゃない!サイト改善にも使えるマイクロコンバージョンの設定の仕方と活用法

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マイクロコンバージョンという言葉をご存知でしょうか?

マイクロコンバージョン(中間コンバージョン)は、ネット広告運用において、広告効果の改善のために用いられることが多いですが、サイトのUIや導線の改善においても活用できる指標です。

この記事ではマイクロコンバージョンとはなにか?、広告での活用も含めた4つの活用法について紹介します。

マイクロコンバージョンとは

Webマーケティングの魅力は、KPIを設定して様々な数字を計測して改善を行えることです。

ネット広告やWebサイトを改善するためには、Web上でのゴールであるCV(コンバージョン)を設定し、流入経路の評価やサイトの改善を行います。

ECサイトであれば「商品の購入フォームの送信」、BtoBのコーポレートサイトであれば「お問い合わせフォームの送信」などをCVとして設定していると思います。

しかし、CV数が少ない場合には、検証のための母数が足りずに、広告の改善やサイトの改善を正しく行えないなどで、スピーディーに改善することができません。

そういった場合に使うのが、マイクロコンバージョン(中間コンバージョン)という指標です。

最終的なCVよりも前のユーザ行動である「フォーム到達」や「詳細ページの閲覧」「一覧ページの閲覧」などをマイクロコンバージョンとして設定し、その指標をもとに改善を行います。

例えば、ECサイトでは、ユーザの行動フローは次の1~6のような流れが考えられます。図1

1~5は6に到達するまでのフローで、最終CVを6の「購入」に置くことが多いと思います。

2の「商品一覧」の閲覧数をマイクロコンバージョンとして遷移率を30%から35%まで改善(以降の遷移率には変化しないと仮定)すれば、最終的な売上を675万円伸ばすことが可能になります。

マイクロコンバージョンとライトコンバージョンの違い

マイクロコンバージョンに似たライトコンバージョンという言葉がありますが、この記事では次のように区別し、マイクロコンバージョンについての説明を行います。

マイクロコンバージョン

コンバージョンに到達するまでのプロセスでのページビューやクリック数など、改善施策を導き出すために仮に設定したコンバージョン

ライトコンバージョン

商品の購入や問い合わせなどの最終コンバージョン以外に設定した、メルマガ登録・ホワイトペーパーダウンロードなどのハードルの低いコンバージョン

つまり、最終コンバージョンであってもライトコンバージョンであっても、この記事ではそれぞれのCVRを改善するために使うことができる中間指標としてマイクロコンバージョンという言葉を使います。

マイクロコンバージョンを設定するときの大前提

マイクロコンバージョンは、様々な場所に適当に設定するのではなく、次のようなポイントに注目して設定し改善を行うことで効果的に使うことができます。

流入経路やユーザ属性を見極める

マイクロコンバージョンを設定する際には、流入経路やユーザ属性を見極めて、何を比較して検証をするかを決定する必要があります。

例えば、リスティング広告でのキーワード別の比較はもちろん、リスティング広告とディスプレイ広告の比較や、リスティング広告と自然検索の比較など、どの流入経路の費用対効果が高く注力すべきかを判断する場合には、最終コンバージョン手前のフォーム到達をマイクロコンバージョンとして設定すると良いでしょう。

それでも母数が足りない場合は、それよりも前のタイミングを指標として置くことも可能ですが、最終コンバージョンから離れるにつれて、検証結果がズレてしまう可能性が高くなります。

また、A/Bテストなどによる同一の期間での検証ではなく、1週目と2週目での比較など異なる期間で検証を行う場合は、それぞれの期間で流入経路やユーザ属性が偏らないようにして検証を行う必要があります。

さらに、どのような検証においても、流入経路やユーザ属性によって結果に大きなズレがないかを確認する必要があります。

 

ボリュームや傾向を見ながら設定する

フォーム到達以外をマイクロコンバージョンとして設定する場合には、サイトの中で一定のボリュームがあるページの前後に設定する必要があります。

例えば、トップページから詳細ページまでの導線として、検索ページと特集ページがあり検索ページがほとんど使われていない場合に、検索ページ内のクリックなどをマイクロコンバージョンとして設定しても検証になりません。

そもそも、検索ページを利用したユーザの方が最終的なCVRが高いのであれば検索ページへの遷移をマイクロコンバージョンとして設定し、検索ページへの導線を改善するという施策が必要になります。

また、検索ページを利用したユーザの方が最終的なCVRが低いのであれば、その導線を外すか検索ページの機能自体を大きく見直す必要があります。

マイクロコンバージョンを設定して改善を行う場合には、各ページのPVとCV貢献度を見て、どのページを優先的に改善するかを決めてから実施する必要があります。

図2

ユーザの態度変容が生じるタイミング

マイクロコンバージョンを設定するときには、ユーザの態度変容が期待できるタイミングに設定をする必要があります。

例えば、コラムからコラムへの遷移をマイクロコンバージョンとして設定し、それが改善されたとしても最終コンバージョンに影響する可能性は低いです。

コラムページから商品ページへの遷移やコラムページから一覧ページへの遷移など、「認知をした」という状態から「商品への興味を持った」状態へ態度変容が発生したと考えられるページに設定することでサイトの改善を行えます。

態度変容とは

態度変容とは個人の行動を決定する心理的状態の変化を指す言葉です。

マーケティングでは、最終的な購買に近づく(近づける)ための変化と言い換えることができます。

ユーザの態度変容は次のようなコンセプトダイアグラムを作成し可視化することで、はっきりと認識することができます。

図3

 

マイクロコンバージョン4つの活用法

先ほど紹介したようなポイントを意識すると、次のようにマイクロコンバージョンを設定し、集客やサイトの改善に活用できます。マイクロコンバージョンの活用事例や活用方法について4つ紹介します。

 

 1. リスティング広告など集客の最適化

特にBtoBのリスティング広告では、対象となるキーワードが少ないために流入が少なく、CVが少ない状態での運用となる場合があります。

効果の高いキーワードを検証するのが難しく、CVが少ない段階ではCPCが高いビッグワードをコストばかりがかかるキーワードと判断してしまい、停止の判断をする可能性が高いです。

しかし、マイクロコンバージョンを用いれば適切に判断できるケースがあります。

例えば、「見積もり」ボタンのクリック数をマイクロコンバージョンとして計測すれば、多くの母数からキーワードごとのCPAを比較できるようになります。

図4

すべてのビッグワードのCPAが高いのではなく、「一部のビッグワードのCPAが高いのみで、たまたま最終CVが少なかった」といった判断ができ、ビッグワードを全て停止するのではなく、無効なビッグワードのみを停止させ、効果的な運用が可能になります。

図5

具体的な事例は「CVRが1.5倍!成果を高めるBtoBリスティング広告の具体的手法」の「事例③マイクロコンバージョンによりビッグキーワードの効率化を図ったC社」に記載しています。

https://medix-inc.co.jp/webbu/btob-listing-advertising-599

 

2. CVが少ないサイトでのUI改善

リスティング広告の改善にも似た使い方ですが、マイクロコンバージョンはUI改善にも利用できます。

UI改善のためにA/Bテストを実施しようとしても、CVが少なければ検証に膨大な時間がかかってしまいます。

例えば、「詳細ページ」の「問い合わせボタン」のデザインのテストであれば、「問い合わせ」ページへの到達数をマイクロコンバージョンとして設定すれば、どちらのパターンの方が優れているかを短期間で検証できます。

ただし、UI改善の場合に注意したいのが、変更内容によって「誤った」クリックによる遷移数が増え、結果としては最終CVが減ってしまうというケースです。

UI改善でマイクロコンバージョンを活用するときには、特に大きな変更を加える場合など、マイクロコンバージョンによって測れるものかを考える必要があります。

 

3. ECサイトの購買導線の改善

冒頭の説明で、ECサイトのユーザの行動フローを紹介しましたが、ECサイトのようなフローが明確なサイトでは、それぞれの遷移数をマイクロコンバージョンとして購買導線の改善を行うことで、利益の大幅な向上を期待できます。

ユーザが次のページに遷移するような施策(しない原因となっている問題の修正)を繰り返しそれぞれの購買導線の改善を行いましょう。

すでに一定のCVがあるサイトの場合は最終CVに近いページから改善を進めCVが少なくカートへの遷移等も少ないサイトの場合は、サイトのメインコンテンツとなる商品詳細ページや一覧ページから改善を進めると効果的でしょう。

 

4. 態度変容を発生させるコンテンツを用いた導線の変更による改善

BtoBやIT系の商品やサービスでは、そもそもどのような悩みを解決できるものなのかをユーザが理解できずに離脱してしまうケースがあります。

そのような場合には、ユーザの態度変容を発生させるコンテンツを導線として追加することで、CVRを改善することができます。

取扱商品点数が多岐にわたるPC関連のハードウェアを取り扱うメーカーA社のサイトでは、トップページに商品のカテゴリや詳細ページへの導線を中心に設置していました。

しかし、商品点数があまりに多かったため、ユーザが自分に必要な商品にたどり着きにくく、離脱率が高いことが問題となっていました。

そこで、ユーザの悩み別の解決策を紹介するコンテンツを作成し、この課題を改善するにはこの商品といったレコメンドを設置したり、ハードウェアのスペックを一目で確認できるビジュアル化された一覧表を作成し、そこから商品詳細ページへの到達をマイクロコンバージョンとしてサイトの改善を行いました。

結果として、トップページに悩み別のコンテンツを設置することで、ユーザが商品を購入する必要だと考える態度変容が起き、マイクロコンバージョンである商品詳細ページへの到達が増加しました。

さらに、セッションあたりのPVは約3倍、滞在時間は約4倍、全体のCVも倍増という結果になりました。

新しいコンテンツや導線を追加し、効果を検証する場合にマイクロコンバージョンを活用し、スムーズな検証が可能となった事例です。

 

まとめ

マイクロコンバージョンは、広告の最適化やサイトの改善など、様々なケースで利用できる指標です。

CVが少ないから「広告の効果がわからない」「A/Bテストが実施できない」と考えている場合は、マイクロコンバージョンを活用しましょう。

また、ECサイトでは購買導線の改善に、理解が難しい商材では導線の変更による改善など、マイクロコンバージョンは様々な活用方法があります。

マイクロコンバージョンをまだ活用していなかったり、リスティング広告の運用でしか活用していない場合は、ほかの使い方を試してみてはいかがでしょうか。

 

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