品質スコアとは、Google広告やYahoo!広告などのリスティング広告(検索連動型広告)において重要な指標であることは認識されているが、その内容や影響を正確に把握していない運用者もいるだろう。また、施策の優先順位が分からず、闇雲に対策を繰り返してしまい、品質スコアが十分に改善しないケースも少なくない。
そこでこの記事では、品質スコアとは何かとその要素の解説に加えて、品質スコアを上げるためのメソッドを紹介する。
※Yahoo!広告において同項目は品質インデックスが正式名称であるが、混乱を避けるためにこの記事においては品質スコアと記載する。
目次
品質スコアとは?
品質スコアとは、検索連動型広告(Yahoo!プロモーション広告、Google広告)においてキーワードの品質を表す指標である。品質スコアはキーワード毎に自動的に決定されて、1~10の数値で評価される。
品質スコアが高いとどうなるのか?
それでは、品質スコアが高い(10に近い)とどういう影響が出るのだろうか?
- 広告の掲載順位が高くなる。(同じ入札価格であったとしても)
- キーワードの実際のクリック単価が低くなる。
- First Page Bid(1ページ目の最低入札価格)が低くなる。
- 広告表示オプション(サイトリンクなど)が表示されやすくなる。
- 広告が表示されやすくなる。(インプレッションシェア損失率が低くなる)
すなわち、品質スコアが高くなるとクリック単価が低く抑えられるため同じ予算でも多くのクリックを獲得することができ、また表示機会も増えるため効果の最大化も期待できる。
品質スコアの要素は?何によって決まるのか
品質スコアは広告が表示される度にキーワード毎に計算されるが、何を要素に品質スコアの値が計算されるのか見ていこう。
Google広告の場合
※品質スコアについて – Google 広告 ヘルプ
- キーワードの推定クリック率
- 表示URLの過去のクリック率
- アカウントの過去のデータ(クリック率)
- リンク先ページの品質(ページの関連性、情報の透明性、操作性)
- キーワードと広告の関連性
- キーワードと検索語句(検索クエリ)の関連性
- 地域別、デバイス別、掲載サイト別の掲載結果
Yahoo!広告の場合
※Yahoo!広告ヘルプ 品質インデックス
- アカウント内のすべての広告のクリック率
- アカウント内のすべてのキーワードのクリック率
- 同じ広告グループ内にあるキーワードと広告との関連性
- キーワードおよび広告と検索クエリとの関連性
- その他の関連性に関する要素
Google広告とYahoo!広告で公開されている情報は一部異なっているが、大凡でまとめると次の3つの要素を元に品質スコアが決定されることになる。
- クリック率
- キーワードと広告の関連性
- リンク先ページの品質(Google広告のみ)
品質スコアの適正値は?
品質スコアは高ければ高いほど良いが、全てのキーワードで品質スコア=10を目指すことは現実的ではない。下記の表は我々が運用する複数業種のアカウントの多数のKWについて、品質スコア毎のKW含有率および平均クリック率を調査したデータである。
※過去1年間で一定規模以上の検索数のあったKW(Google広告:約3000、Yahoo!プロモーション広告:約6000)を対象に調査。さらに業種に偏りのないように複数業種のアカウントからKWをピックアップした。
品質スコア毎のKW含有率
このデータから分かるように、品質スコアは5~7で両媒体ともに約50%となっているため、平均的には5~7を目指すように改善を行うべきであることが分かる。また、サービス名や社名などを含む指名KWと、それ以外の非指名KWによっても品質スコアは異なり、特に指名KWでは品質スコアが10となる場合も多い。このように、指名KWと非指名KWでどの程度の品質スコアを目指すのか区別したほうが良い。
品質スコア毎の平均クリック率
さらに品質スコア毎の平均クリック率のデータがこのようになるが、やはり品質スコアの高いKWほどクリック率が高いことが分かる。Google広告では掲載順位毎に品質スコアの基準となるクリック率が異なるため単純に掲載順位を上げれば良いわけではないが、1つの目安として上記の平均値を目指しても良いだろう。
品質スコア改善に最も効果的な3つの対策とは
我々が実際に運用したGoogle広告のアカウントの例を紹介する。どのKWも品質スコアが改善せず、主要なKW約300個の品質スコアの平均値が2.5という非常に低い数値であったが、たった3つの対策を確実に実行しただけで対策直後には4.7まで改善することに成功した。
このアカウントで実施した対策はたった3つである。
・広告グループの構成(KWと広告文の組み合わせ)を変更する
1つの広告グループに含めるKWは同じユーザーインサイトを持ったKWとし、異なるユーザーインサイトが含まれているのであれば、広告グループは別けて登録する。
・広告文には必ず検索KWを含める
非常に基本的な対策ですが、広告グループの構成を変更したうえで、広告文に必ず検索KWを含めるようにする。
・除外KWを徹底して登録する
部分一致やフレーズ一致のKWに対しては必ず検索クエリを確認したうえで、意図したものと異なる意味合いを持つ検索クエリは除外することを徹底する。
上記3つの対策が、このアカウントにおいては品質スコアを改善するときに最もインパクトが大きくて有効な手段であったのだが、その理由を正しく理解することで、他のアカウントにおいても有効な対策を取ることができる。以下、詳細を説明する。
品質スコア改善のために何をしたら良いのか?
品質スコアを改善するためには、単純にいうと前述の決定要素をそれぞれ改善すればよい。
- クリック率を向上させる。
- キーワードと広告の関連性を高める。
- リンク先ページを改修し品質を向上させる。
結論を先にいうと、この中で最も優先順位の高い項目を上げるとするならば、「キーワードと広告の関連性を高める」ことである。広告文のABテストを繰り返してクリック率を上げることも当然大事ではあるが、そもそもクリック率を向上させるためには結局KWと広告の関連性を高めることが前提になるはずであるし、またリンク先ページの品質は、よほどUIの粗末なサイト以外は基準をクリアしていることが多いからである。
それでは「キーワードと広告の関連性を高める」ために何をしたらよいか。細かく考えればいくつも対策はあるが、やはり基本的なことは前述した3つの対策が最も有効である。
広告グループの構成(KWと広告文の組み合わせ)を変更する
広告グループの構成を考える際の最も大事なことは、「そのKWを検索したユーザーは何の情報を求めているか?」ということを考えることに尽きる。その対策としては、1つの広告グループに含めるKWは同じユーザーインサイトを持ったKWとし、異なるユーザーインサイトが含まれているのであれば広告グループは別けて登録すべきである。
広告文には必ず検索KWを含める
検索KWを広告文に含めるということは単純に太字で表示されるから目立つということだけではなく、KWと広告の関連性が高いと見なされるための必須条件でもある。どのアカウントにおいても、最も基本的な対策として広告文に必ず検索KWを含めるようにすべきである。
除外KWを徹底して登録する
無駄なクエリが除外されるので、キーワード(クエリ)と広告の関連性が高まるということはもちろんであるが、結果的にクリック率の向上につながる。部分一致やフレーズ一致のKWに対しては必ず検索クエリを確認したうえで、意図したものと異なる意味合いを持つ検索クエリは除外することを徹底すべきである。
まとめ
ここまで述べてきたように、リスティング広告の効果を上げるうえで品質スコアの改善は非常に大切であり、改善のための対策も非常に多岐に渡る。ただし、闇雲に対策を繰り返すだけでは効果は見込めないし、品質スコアの改善以外の効果改善施策を行う時間までなくなってしまう。
リスティング広告の運用で求められるのは、品質スコアの本質を捉え最も効果の見込める対策を優先的に行うことである。