2014年頃より「動画広告元年」という言葉が広まり、毎年「今年は動画広告が来る」と言われ続けていましたが、それは主にメディア側での変化・意識が大きかったように思われます。
それが特に2016年ごろから、ユーザ側の視点でも広告として動画に触れる機会が増えたと感じる方も多いのではないでしょうか。
以前に、ウェブ部で「動画広告」についてまとめましたが、今回は動画広告市場が伸びてきている直近の動向と、動画広告の活用方法についてまとめます。
参考)
流行の背景から設計のポイントまで分かる!「動画広告」のススメ(入門編)
目次
動画広告市場が拡大している背景
1-1.インターネット環境の整備
動画広告市場が拡大している背景として、まず、インターネット環境が整ったことが挙げられます。
ネット回線が速くなったことで、ここ数年で動画をストレスなく手軽に視聴できる環境が整いました。
1-2.スマートフォンの普及
スマートフォンの普及も動画広告を拡大させている要因です。
PCの利用頻度が少なかった携帯電話ユーザがスマートフォンに買い替え、よりリッチなコンテンツを閲覧する機会が増えました。
1-3.SNSの普及
Twitter、Facebook、LINEといったSNSの利用が拡大し、その中でユーザ同士が画像や動画コンテンツをシェアする頻度も増えたことも要因となっています。
もともとYouTubeなどの動画サイトを訪れていなかったユーザも、スマートフォンで動画コンテンツに触れることが日常となりました。
ユーザが動画を視聴しやすい環境が整い、SNSを中心に動画を受け入れはじめたことで、動画広告のフォーマットのなかったSNSメディアも動画広告をリリースしはじめました。
それまで動画広告といえば、YouTubeなどの動画サイトに、コンテンツとして動画の前後にCMのような形で広告を配信するのがメインでしたが、動画と相性のよいSNSが動画広告に乗り出したことで、動画広告市場が伸びています。
また、動画がユーザ同士でシェアしあうコンテンツとして普及したことで、広告としての動画もユーザに受け入れやすくなり、動画広告が普及してきていると言えます。
2.変化する動画広告の配信面と配信形式
動画広告のフォーマットは、大きく分けると「インストリーム」と「アウトストリーム」に分けられます。
・インストリーム
「インストリーム」とは、YouTubeのような動画コンテンツの前/途中/最後に配信される動画広告です。
配信されるタイミングにより名称があり、動画コンテンツの前に配信されるものを「プレロール(もしくは、プリロール)」、途中に配信されるものを「ミッドロール」、最後に配信されるものを「ポストロール」と呼びます。
また、数秒後にユーザが視聴選択できる「スキッパブル広告」と、強制的に最後まで視聴させる「ノンスキッパブル広告」に分けられます。
インストリームは、動画を視聴しようとしている(もしくは、視聴している途中/視聴し終えた)ユーザに配信できるため、動画そのものの視認率が高く、動画に関心のあるユーザに配信できるのが特長です。
商品やサービスの魅力を効果的にユーザに伝えることができます。
・アウトストリーム
一方、「アウトストリーム」は、ウェブサイト上の広告枠に配信される動画広告を指します。
配信面の形式によって呼び方が変わり、主に「インバナー」「インリード」「インフィード」の3つがあります。
通常のバナー広告のようなサイト上の広告枠に配信されるものを「インバナー」、記事コンテンツの記事中に配信されるものを「インリード」、SNSやキュレーションメディア内でフィードの中にコンテンツの一部のように配信されるものを「インフィード」といいます。
・かつての主流はインストリーム
2014年くらいまでは、YouTubeを中心としたインストリームが、動画広告の中心でした。
それまで、YouTubeのTrueViewインストリーム広告は、インストリームの特徴である動画視聴ユーザへ効果的に動画が配信できる、ということのみならず、サイト訪問をKPIとした場合にもクリック単価が数十円から数百円と安価に抑えられていたため、ブランディング(認知)のプロモーションから、販促系のプロモーションまで幅広く活用されていました。
TrueViewインストリーム広告のCPCが安価に抑えられていたのは、「動画を30秒再生するか、30秒未満の動画の場合は最後まで再生した段階で課金」という課金形式のためでした。
動画を30秒再生せずに動画をクリックしたユーザに関しては、無課金でサイトへ遷移させることができました。
しかし、2015年の仕様変更により、課金ポイントに「動画広告のクリッカブルエリアをクリックした時に課金」が加わったことで、CPCが数百円~数千円にまで高騰したため、販促系プロモーションには適さなくなりました。
・アウトストリームの普及で多くのユーザへ接触可能
TrueViewのインストリームで販促系プロモーションの配信がしにくくなった一方で、最近ではアウトストリームが伸びています。
特にインフィード形式の配信が伸びています。
2014年ごろ、アウトストリームといえば、そのころ台頭しだした動画DSPを通じて配信されるインバナーでした。
インストリームは配信先が動画メディアに限定されるのに対して、どのようなサイトにも広告枠さえあれば配信できるインバナーは、配信量としては魅力的でした。
ただし、バナー枠内に配信されるためユーザに視認されているのか懸念がある中、課金形態もCPMのものが多かったため、販促系のプロモーションには効果が薄い結果となりました。
動画DSPを中心としたインバナーに次いで、SNSの普及とともに「インフィード」でのメニューが次々リリースされました。
インストリームほどではないものの、流れるタイムライン上に現れるインフィードは、インバナーより視認性が高く、ユーザが動画コンテンツを受け入れだしたタイミングでもあったために反応もよく、現在はこの形式が普及しています。
このインフィード形式の動画広告が増えたことが、体感として動画広告を目にする機会が増えたと感じる要因だと思います。
3.目的に応じた動画広告の活用方法
動画を広告として活用するとき、その目的は主に3つあります。
1.認知(動画を見てもらうこと)。
2.訪問(動画で興味をひいて、Webサイトを訪れてもらうこと)。
3.拡散(動画自体を話題にして、バイラルさせること)。
3.の拡散は、最終的な目的としては「認知」ですが、ユーザへ求めるアクションが異なるので、分けて考えます。
どこに優先度を置くかによって、使用するメディアや手法・KPIが変わってきます。
1.認知(動画視聴)が目的であれば、視聴単価・視聴完了単価ができるだけ安価におさまるもの。
2.訪問(サイト訪問)が目的であれば、クリック単価が安価におさまるものを中心にメニューを組む必要があります。
3.拡散(バイラル)が目的であれば、シェア・リツイートを成果と設定してSNS広告を運用するべきです。
次に、主なメディアについてまとめます。
・YouTube(TrueView インストリーム広告)
概要:
YouTube上で、ユーザが動画視聴前に流れる広告です。
課金:
動画を30秒視聴(30秒以下の長さの動画の場合は動画視聴終了)、または、動画内のクリックできるエリアでアクションした場合に課金となります。
外部リンクは次の2つが設定できます。
①コンパニオンバナー(PC = YouTube 限定/AdWords管理画面で設定)
②Call-to-Actionオーバーレイ(PC、モバイルとも設定可/ AdWords管理画面で設定)
ターゲティング:
Google Adwordsと同様に、地域や年齢・性別、インタレスト、リターゲティングなどのターゲティング配信が可能です。
参考:
・Facebook(Marketplace広告)
概要:
Facebook上で、PC右横、ニュースフィード面(PC&モバイル)にFacebookページの投稿した動画を広告としてインフィード配信
課金:
インプレッション課金、または10秒以上の再生時(広告目的が”動画の再生”の場合)
ターゲティング:
登録情報とFacebook上での行動によってターゲティング可能。
デモグラフィックデータ(性別・年齢)は登録情報から、
「趣味・関心」は趣味・関心リストに登録されたもの、アクティビティ、学歴、役職、「いいね!」したページ、所属グループなどから判断しています。
参考:
概要:
Twitterのタイムライン上にツイートのひとつのような形式でインフィード配信
課金:
動画が3秒間再生、もしくは、動画をクリックしたタイミングで課金
「動画の50%表示で2秒再生されたタイミングでの課金(MRC再生課金)」
もしくは、
「動画が100%表示で3秒以上再生されたタイミングでの課金」
ターゲティング:
ツイート内容・検索した言葉からキーワードターゲティング、フォローしているユーザ、デモグラ、エリアなど
参考:
・LINE
概要:
LINE内のTimelineと、LINE NEWSにインフィード形式で配信
課金:
CPM配信
ターゲティング:
年齢・性別、エリア(都道府県)、興味関心、リターゲティング
参考:
まとめ
動画広告は一部のCMを行っている企業が、Web上で配信するだけの活用から、Web向けのオリジナルの動画素材を使用してのキャンペーンや商品理解促進に使用されるようになっています。
受け手(動画視聴者)も、動画をWeb上で見ているユーザのみならず、SNS利用者へと広がったことで、リーチできるターゲットも大幅に拡大しました。
この環境が整った現在こそ、動画広告を検討するよいタイミングです。
今回の記事を参考にしていただき、ぜひ、動画広告の活用についてあらためて検討してみてはいかがでしょうか。